「悪いリセッション(景気後退)」予想は1年で、「ゴルディロックス(適温経済)」予想に変わりました。米銀JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は昨年の株主宛て書簡で、「2008年の危機と同様の金融ストレスを伴う悪いリセッション」を警告していました。前例のない規模の金融・財政政策がこの変化を後押ししたことは明白ですが、ワクチン普及にもかかわらず感染例が増えている現状に加えて、増税やインフレへの警戒もあります。危機に強い米国を称賛するのはまだ早いかもしれません。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
「しばらくかかる」
米連邦公開市場委員会(FOMC)が3月16、17両日に開いた会合の議事要旨には、「最大限の雇用と物価安定に向け一段と顕著な進展が実現するには、しばらく時間がかかる公算が大きいだろうと参加者らは認識した」と記された。資産購入ペースの変更を正当化するだけの顕著な進展があったと判断できるようになるその十分前に、委員会が明確な意思伝達を図る重要性も強調されたという。
恩恵>リスク
英国はアストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチンを30歳未満に投与しないよう勧告した。同国および欧州の医療当局は、アストラ製ワクチンとまれな脳血栓症との間に因果関係が存在し得ると指摘しつつ、同ワクチン接種による恩恵はそのリスクより大きいとの見解で一致している。EMAによれば、4月4日までに英国と欧州で同ワクチンの接種を受けた人は3400万人。このうち報告された血栓症例は222件。
2.5兆ドル
イエレン米財務長官はバイデン政権による新たな法人税制案について、全ての米国在住者にとってより公平なものになると発言。企業が投資や利益を国外に移すインセンティブを排除し、国内での極めて重要なニーズに充てる資金を増やすための計画だと説明した。財務省の試算によれば、税収は15年間に約2兆5000億ドル増えることになり、期間8年のインフラ投資計画はそれで賄われる。
ずっと先の話
シカゴ連銀のエバンス総裁は米長期国債利回りの最近の上昇について、米経済の見通しが明るさを増していることを反映しているとし、重大視しない考えを示した。総裁は講演後の質疑応答で、インフレ率が3%でも一定の期間は「歓迎されよう」と述べた上で、高インフレの状況になれば金融当局が政策を調整するはずだと表明。「ただそれはずっと先の話だ」と述べた。
長いブーム
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは、パンデミック後の経済ブームが2023年にかけても容易に続く可能性があると株主宛て年次書簡で述べた。成長率は高く持続的で、インフレ率がゆっくり上昇するというゴルディロックス状態になる可能性がある一方、ウイルスの変異株のほか、早期利上げにつながるインフレ加速が懸念材料になり得ると指摘した。
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