[東京/ローマ 8日 ロイター] – 20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は7日、新型コロナウイルス禍で打撃を受けている国々を支援するため、国際通貨基金(IMF)の準備資産である特別引き出し権(SDR)を6500億ドル増額し、新たに配分する方向で合意した。
共同声明では「新型コロナの世界的大流行(パンデミック)に伴う課題に対処するため、脆弱な国々への支援をさらに強化する」とした上で、必要な限り財政や経済的な支援を維持すると改めて表明。IMFに対し「準備資産を補うという長期的な世界のニーズに応えるため、6500億ドルの新規SDRの一般割り当てについて包括的な提案を行う」よう求めた。
また、最貧国を対象とした債務支払猶予イニシアチブ(DSSI)の期限を年末まで半年間再び延長することでも一致。大手ハイテク企業など多国籍企業に対する法人税の世界的な最低税率導入については、経済協力開発機構(OECD)の取り組みを踏まえ、7月までの合意を目指すとした。声明では、トランプ前米政権時に削除された「保護主義との闘い」の文言も復活した。
為替については「強固なファンダメンタルズや健全な政策は、国際通貨システムの安定に不可⽋」とし、「為替レートは根底にある経済のファンダメンタルズを反映することに引き続きコミットし、為替レートの柔軟性は経済の調整を円滑化しうることに留意する」と明記した。
さらに「外国為替市場の動向に関して引き続き緊密に協議する。為替レートの過度な変動や無秩序な動きが、経済及び⾦融の安定に対して悪影響を与え得ることを認識する」との認識も盛り込んだ。引き続き「通貨の競争的切下げを回避し、競争⼒のために為替レートを⽬標としない」とした。
麻生太郎財務相はG20後、記者団に対し、共同声明に盛り込まれた為替に関する文言について、経済のファンダメンタルズを反映させるべきとする「従来の考え方を明確化した」と説明した。
DSSIの再延長に関しては「延長されたことを歓迎するとともに、(DSSI後の債務措置の)共通枠組みに中国国家開発銀行を含め、すべての債権者に参加してもらうことが必要」と述べた。国際開発協会(IDA)の前倒し増資検討では「12月までの合意を含め、G20が主導的役割を果たすべきと申し上げた」とした。
また、法人税の国際最低税率導入について、「法人税の引き下げ競争に歯止めかける観点から重要と申し上げた」と語った。