[ニューヨーク 8日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では、週間新規失業保険申請件数の予想外の増加を受けた米国債利回りの低下を受け、ドル指数が約2週間ぶり低水準となる中、円が対ドルで約2週間ぶりの高値を付けた。

労働省が朝方発表した4月3日までの1週間の新規失業保険申請件数は74万4000件と、前週の72万8000件から悪化し、予想の68万件も上回った。労働市場の改善を過小評価している可能性があるとの見方も出ているが、ドル相場に影響が及んだ。

主要6通貨に対するドル指数は0.35%安の92.091と、3月23日以来の低水準を付けた。

連邦準備理事会(FRB)が前日に公表した3月16─17日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、政策担当者が新型コロナウイルスによるリスクが根強く、先行きはなお「極めて不確実」という認識で一致したことが判明。

ウエスタン・ユニオン・ビジネスソリューションズのシニア市場アナリスト、ジョー・マニンボ氏は「労働市場が望ましくない方向に向かっていることで、FRB議事要旨の内容が改めて確認された」とし、「FRBのハト派的なスタンスが裏付けられたことで、米国債利回りとドル相場は抑制され続ける」との見方を示した。

FRBのパウエル議長はこの日、国際通貨基金(IMF)のバーチャルセミナー参加し、「価格への上昇圧力が物価上昇という形で消費者に転嫁される可能性はあるが、一時的となるだろう」と述べ、景気支援策の引き揚げは程遠いことを示唆した。

米10年債利回りはオーバーナイトの取引で1.63%を下回る水準に低下した後、1.632%近辺で推移。国債利回り低下でドルの魅力が薄れたことで、円が対ドルで約2週間ぶりの高値を付けた。

失業保険申請件数の増加がドルの重しになったことで、カナダドルが対米ドルで上昇。1週間ぶりの安値から回復した。