[オタワ 21日 ロイター] – カナダ銀行(中央銀行)は21日、政策金利である翌日物金利の誘導目標を過去最低水準の0.25%に据え置くことを決定した。ただ、経済見通しを大幅に引き上げたほか、経済のスラック(需給の緩み)の吸収は2022年下半期になるとの見方を示し、来年にも利上げに踏み切る可能性をほのめかした。

また、毎週の国債の純買い入れ目標を30億カナダドル(24億米ドル)とし、従来の40億カナダドルから縮小することも決定。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が与える潜在産出量への悪影響は以前ほど大きくないとの見解を示した。

据え置きは予想通り。中銀は声明で「経済のスラックが吸収されるまで金利を実効下限で維持することに引き続きコミットしている」と指摘。中銀の最新予測に基づけば、スラックの吸収は22年下半期になるとした。1月時点では23年中としていた。

また同日発表した金融政策報告書で、21年の経済成長率見通しを1月時点の4.0%から6.5%に引き上げた。一方、22年は3.7%と従来の4.8%から引き下げ。カナダ最大の貿易相手国である米国の今年の経済成長率見通しは7.0%と従来の5.0%から引き上げた。

インフレ率は今後3%程度まで伸びる一方、年後半には約2%に落ち着き、来年初頭にはさらに鈍化する見込みとした。カナダ統計局がこの日発表し3月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比の伸びが2.2%と、前月の1.1%の2倍となった。

カナダ中銀のマックレム総裁は記者団に対し、経済がフル稼働するまでは利上げを行わないと明言する一方、そうした条件が満たされたときに利上げしないという保証はないと表明。「条件が満たされたときに何を行うかについては、そのときに判断しなければならず、機械的には決められない」とした上で、「われわれは完全な回復を待ち望んでおり、鶏がふ化するまで数えるつもりはない」と語った。

RBCエコノミクスのシニアエコノミスト、ジョシュ・ナイ氏は「今回の声明は、過去1年間に実施された大幅な金融政策支援の解除に向けた地ならしであり、一段とタカ派的な内容だった」と分析した。

中銀は雇用について、最近の伸びはポジティブだが、完全雇用に達するにはかなりの時間を要する可能性があると警告。人口増加に伴い、パンデミック前の就業率に戻るには47万5000人分の雇用を増やす必要があるとした。

政策決定を受け、カナダドルは対ドルで1.2%高の1米ドル=1.2459カナダドルと、昨年6月以来の大幅な伸びとなった。カナダの2年債利回りは約4ベーシスポイント(bp)上昇し0.344%。

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