[ワシントン 30日 ロイター] – 米商務省が30日に発表した3月の個人消費支出(季節調整済み)は前月比4.2%増加し、寒波の影響で1%落ち込んだ前月から持ち直した。政府の大規模な財政出動により個人所得は2割以上増加しており、今後も消費の拡大が続きそうだ。

市場予想は4.1%増だった。物価調整後の個人消費は3.6%拡大。前日発表された第1・四半期の米国内総生産(GDP)統計でも、個人消費は10.7%増と力強い伸びが確認された。

個人所得は21.1%増加。前月は7%減少していた。3月は政府の追加コロナ経済対策の一環として低中所得層の大部分が1400ドルの小切手を受け取った。

一方、貯蓄率も前月の13.9%から27.6%に上昇し、現預金の積み上がりが鮮明となっている。家計の余剰貯蓄は少なくとも2兆ドルを超えるとみられており、今後の個人消費の起爆剤として期待されている。

シチズンズの消費者金融部長、ブレンダン・コフリン氏は「経済が完全に危機を脱したわけではないものの、景気回復は始まっている」とした上で、「ワクチンの継続的な展開が後退しない限り、個人消費は年後半の力強い成長を後押しするだろう」と述べた。

こうした中、個人消費支出(PCE)価格指数は、食品・エネルギーを除くコアベースの伸びが前月比0.4%と、前月の0.1%から拡大。連邦準備理事会(FRB)が物価の目安として注目する前年比の数字も前月の1.4%から1.8%に拡大し、昨年2月以来の高い伸びとなった。

物価に加え、賃金にも上昇圧力が見られる。労働省がこの日発表した第1・四半期の雇用コスト指数(ECI)は前期比0.9%上昇したほか、賃金・給与も1%上昇し、ともに14年ぶりの高い伸びを記録した。

FRBのパウエル議長は物価の高進が一過性にとどまると強調するが、市場では疑問視する声も聞かれる。

ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミスト、サラ・ハウス氏は、「手に負えないほど労働コストが上がっているわけではないにせよ、足元では過去のサイクルの初期段階よりも明らかに賃金圧力がかかっている」と指摘。「完全雇用に達する前から労働コストが上昇していることから、インフレ率は経済再開に伴い上昇した後も、過去のサイクルで見られたような、さえない水準を上回り続けると考えるのが妥当だ」と述べた。