[14日 ロイター] – 米ダラス地区連銀のカプラン総裁は14日、労働力と一部のモノの需給不均衡に起因する物価上昇に懸念を示した。
カプラン総裁は、労働力や一部のモノを巡る需給不均衡の解消にはしばらく時間がかかると指摘。需給不均衡がインフレ高進につながるかどうか、注意深く見守っていると述べた。
その上で、新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的大流行)から回復し始め、「大幅な進展」が得られていると一段と明確になれば、テーパリング(量的緩和の縮小)を巡る討議を始める必要があるとの考えを示した。
多くの連邦準備理事会(FRB)当局者は、物価に対する上昇圧力は一過性のものとの見解を表明。ただ、はっきりした物言いで知られるカプラン総裁は往々にして他のFRB当局者と異なる見解を表明することがあり、今回も一過性のものか確信できないと表明。「どの程度継続するかによるが、インフレ見通しに根強く反映され始めるか分からない。インフレ見通しが上向き、2%にしっかりととどめるとの目標に整合的でない水準にインフレが上昇する可能性がある」とし、「こうしたことを懸念している。これが自分にとってのリスクになっている」と述べた。
また、世界的な半導体不足の影響を受けている産業では、問題解決に最大2年かかるとの見方も出ていると指摘。半導体だけでなく、他の多くの産業でもどの程度ボトルネックが続くのか分からないとし、「一段の財政政策が実施され、一部の製品に対する需要が高まる可能性がある。こうしたことが実際に不確実性につながっている」と語った。
IIIキャピタル・マネジメントのチーフエコノミスト、カリム・バスタ氏は投資家への報告書で「供給に対する衝撃がインフレ見通しに影響を及ぼさない限り、中央銀行は通常は重視しない」と指摘。ただ「インフレ見通しがかなり揺れ動いているにもかかわらず、これだけ多くのFRB当局者が『しっかりと抑制されている』と発言しているのは驚きだ。奇跡的に現在の水準にとどまれば、しっかりと抑制されていることになるが、現実は異なるように見える」と述べた。