5分で完了する唾液検査のイメージ(NOK提供)
5分で完了する唾液検査のイメージ(NOK提供)

約5分間の唾液検査で新型コロナウイルス感染を高精度で識別する手法を大阪大産業科学研究所などの研究グループが開発し、17日、英科学誌ネイチャーコミュニケーションズに発表した。遺伝子などを調べるために30分~2時間程度かかる抗原検査やPCR検査と異なり、人工知能(AI)を活用して電流の変化の特徴から新型コロナウイルスの有無を調べる手法で、検査時間を大幅に短縮した。

検査に使う機器は持ち運びが可能で、難しい処理も必要ないことから、グループの谷口正輝教授は「大規模なイベントや空港など幅広い場面で活用できる可能性がある」としている。

グループによると、唾液中に含まれる微粒子をシリコン製の板に開けた直径300ナノメートルの穴に通し、流した電流の変化から微粒子の形状や大きさを識別。あらかじめ新型コロナウイルスが通った場合の電流の特徴を学習させたAIで、新型コロナの有無を判定する。

PCR検査と同じ唾液で調べたところ、陽性では90%、陰性では96%で結果が一致。今春の選抜高校野球大会でも選手175人の検査を行い、PCR検査と同じく全員陰性との結果を得られた。谷口教授は「現状の検査AIの学習を進めるなどしてさらに精度の向上を図りたい」と語った。