[ワシントン 14日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)は14日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、米経済の強含みを受け、7月初旬まで幅広い分野で雇用が増加しており、特に高い技術を必要としない職種でその傾向が顕著に表れているとの認識を示した。

一方で、物価も力強く「平均を上回るペース」で上昇していると指摘。「一部の企業はインフレ圧力は一過性だと捉えているが、大半の企業は今後数カ月間で仕入れコストや販売価格が一段と上昇すると予想している」とした。

全体的には、5月下旬から7月上旬にかけた米経済について「緩やかながら堅固な成長」を示しているとの文言が示され、2018年初頭以降で最も強い表現となった。

一方で、新型コロナウイルス禍からの経済再開に伴うサプライチェーン(供給網)の混乱が当局の想定よりも長期化するとの懸念が企業間で強まっていると指摘。「需要の見通しはさらに改善する一方、多くの企業が供給制約の緩和について不安や悲観的な見方を示した」とした。原材料や労働力の不足配送の遅れ多くの消費財の在庫不足など、供給面での混乱が広まった。

雇用については全12地区で増加。そのうち3地区では労働市場の改善が「中程度または堅調」と評価した。労働力の需要は健全かつ広範囲に及んでおり、技能職への需要が最も高かった。賃金は平均して緩やかなペースで伸び、低賃金労働者は平均以上の賃上げを享受。企業が希望する水準の人員を確保できない理由としては、労働力不足などが挙げられた。

セントルイス連銀の報告書では「ケンタッキー州のあるレストランでは時給16ドルで募集をかけたが、応募者は一人もいなかった」とした。

物価は平均を上回るペースで上昇。7つの地区で大幅に伸びたほか、残りの地区は緩やかな上昇となった。建設コストが高止まりしたものの、木材価格はやや緩和した。

平均以上の成長を示したセクターは、運輸、旅行・観光、製造、非金融サービスなど。エネルギー部門は多少改善する一方、農業はまばらだった。

今回の報告は7月2日までに全12地区で入手された情報に基づきボストン地区連銀がまとめた。