新型コロナウイルスに感染して回復した人の抗体を国立感染症研究所などのグループが長期間にわたって調べたところ、回復してからの期間が長いほど感染を防ぐ効果の高い抗体が増えていることが分かりました。グループでは質のいい抗体ができる仕組みが解明できればワクチンの開発などに役立つとしています。これは国立感染症研究所治療薬・ワクチン開発研究センターの高橋宜聖センター長らのグループが発表しました。
グループは去年11月までに新型コロナウイルスに感染し回復した30人から定期的に血液を提供してもらい、抗体の効果が期間がたつとどう変化するのかを培養細胞を使った実験で調べました。
その結果、発症から3か月程度までの血液に含まれていた抗体と比べて半年以上たってからの抗体ではウイルスが細胞に感染するのを防ぐ効果が、ブラジルで確認された変異ウイルスの「ガンマ株」では平均で5.9倍、南アフリカで確認された「ベータ株」では平均で5.1倍高かったということです。
グループではあくまで細胞での実験だとしたうえで、感染から時間がたつとより質のいい抗体が多く作られ変異ウイルスに対しても抵抗力が上がる可能性があるとしています。
高橋センター長は「質のいい抗体ができる仕組みを解明できれば、さまざまな変異ウイルスに効くワクチンの開発に応用できる可能性がある」と話しています。