【ワシントン=黒瀬悦成】米議会の超党派組織「中国問題に関する米連邦議会・行政府委員会」(CECC)は27日、来年の北京冬季五輪の有力スポンサーである米企業5社を招いてオンライン公聴会を開いた。議員らは、中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区で中国政府によるジェノサイド(民族大量虐殺)が展開されているにもかかわらず、スポンサー企業が営利を優先させていると厳しく非難した。
出席したのは、コカ・コーラとクレジットカードのビザ、民泊仲介のエアビーアンドビー、IT大手のインテル、一般消費財メーカー世界最大手のプロクター・アンド・ギャンブルの役員。
各社の役員は、中国による人権侵害を理由に北京五輪の開催地変更または延期を支持するか聞かれた際、いずれも「私たちは開催地選定に関与していない。私たちは開催地がどこであれ、選手を応援し支える」と述べるにとどめた。
国務省が新疆ウイグル自治区での人権侵害をジェノサイドと認定したことに関しては、インテルの役員が「国務省の結論を信じる」と述べた以外は、各社とも明確な論評を避けた。インテルは新疆ウイグル自治区で事業を展開していない。
コカ・コーラの役員は、議員の一人から新疆ウイグル自治区での人権侵害を非難するかどうか繰り返し聞かれても、「私たちは全ての人権を尊重する」と答え、ウイグルに関する直接の言及を最後まで回避した。
共和党のコットン上院議員は、各社の役員が「中国共産党の反発を買う発言をするな、との指示を(上司から)受けて公聴会に出席している」と批判し、役員らの証言は「情けなく、恥ずべきだ」と切り捨てた。
CECCは23日、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長あてに「ジェノサイドと人道に対する罪を犯している中国で五輪が開かれてはならない」として、北京五輪の延期と開催地変更を求める書簡を送った。