[ニューヨーク 6日 ロイター] – 米労働省が6日発表した7月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比94万3000人増加した。前月の93万8000人に続く伸びとなり、サービス業の労働需要が高まる中、米経済が力強い勢いを保ったまま下半期に入ったことが確認された。

市場関係者のコメントは以下の通り。

●テーパリング発表は次回の雇用統計後

<OANDA(ニューヨーク)のシニア市場アナリスト、エドワード・モヤ氏>

予想を上回り、ドル相場が大きく上昇した。米連邦準備理事会(FRB)がテーパリング(量的緩和の縮小)について近く何らかの発表を行うとの市場の見方をおおむね裏付けるものだった。

米経済が正しい軌道に乗っていることが示され、あともう1カ月分の雇用統計の発表後に、FRBはテーパリングについて何らかの発表を行うだろう。

●デルタ変異株の動向注視

<TDアメリトレードのチーフ市場ストラテジスト、JJ・キナハン氏>

間違いなく良い内容だった。あえて批判するとすれば、建設がほぼ横ばいだったことが多少残念だ。小売りはわずかながら減少したが、これは夏に向けて多くの人が雇用されたためで、季節要因も影響した可能性がある。その他の分野は全体的にかなり健全。政府部門の伸びは教員の採用に伴うもので驚きはない。

医療やサービス業も好調。運輸・倉庫が5万人増加したことは人々が仕事に復帰していることを示すものでとても良い兆候と言える。

こうした中、感染力の強い新型コロナ変異ウイルス「デルタ株」の動向には注意を要する。アマゾン・ドット・コムAMZN.Oは新型コロナの感染拡大に伴い社員の在宅勤務期間を来年1月まで延長するなど、デルタ株の影響が企業にも広がっており、来月発表される次回の雇用統計でその辺りがより明確になるかもしれない。

●雇用堅調でインフレリスク増大も

<オックスフォード・エコノミクス(ニューヨーク)のリードアナリスト、ジョン・カバナン氏>

連邦準備理事会(FRB)のクラリダ副議長とサンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は最近の発言で、FRBがテーパリング(量的緩和の縮小)の準備を進めていることをやや強めに示唆したが、今回の雇用統計が予想を上回ったことで、こうした発言内容が一部裏付けられた。

ただ、雇用状況が力強いことは、将来的なインフレ高進リスクが増大する可能性があることも示している。