[ワシントン 11日 ロイター] – 米労働省が11日発表した7月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前年同月比5.4%上昇と、コロナ禍が引き起こした供給網の混乱が続く中、13年ぶりの高水準にとどまった。

一方、前月比では0.5%上昇と、6月の0.9%上昇から鈍化し、インフレがピークを付けた兆候も垣間見られ、インフレ上昇が一過性という米連邦準備理事会(FRB)の認識を支える可能性がある。

市場予想は前年同月比が5.3%上昇、前月比は0.5%上昇だった。

変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は前月比0.3%上昇した。市場予想は0.4%上昇だった。6月は0.9%上昇していた。7月は4カ月ぶりの小幅な伸びにとどまったほか、伸び鈍化は2月以来初めて。

コア指数の前年同月比は4.3%上昇。6月は4.5%上昇していた。前年同月比は、昨年春に見られた軟調な物価の影響で押し上げられていたが、こうしたいわゆるベース効果は薄れている。

内訳では、ここ数カ月インフレ上昇分の多くを占めていた中古車・トラックが0.2%上昇と、6月の10.5%上昇から大きく鈍化。航空券は0.1%下落した。

一方、新車は1.7%上昇し、3カ月連続で1.5%を超える伸びを記録。家賃やエネルギーも上昇するなど、物価圧力の高まりが急速に衰えない可能性も示唆された。レストラン・バーも0.8%上昇と、伸びは4カ月連続で加速している。

米ホワイトハウス高官はロイターに対し、自動車価格や航空券などの新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響を受けていた項目の過熱は収まり、総合CPIの87%を占める他の項目の価格上昇は3カ月連続で鈍化していると指摘し、インフレが一過性とする政権の見通しと一致していると述べた。

クレスト・キャピタル・マネジメントの最高投資責任者、ジャック・アブリン氏は「FRBのシナリオと合致する内容となり、FRBは現行の戦略維持が可能となる。ジャクソンホール会議がリスクであることは確かだが、今回のCPI統計によって、そうしたリスクは幾分和らぐ可能性がある」と述べた。

FRBはここ数カ月間、大規模な債券買い入れの縮小開始と利上げの時期を検討しており、物価上昇圧力を注視している。

FRBが物価の目安とするコア個人消費支出(PCE)価格指数は6月に前年同月比で3.5%上がり、上昇率は1991年12月以来、29年6カ月ぶりの大きさとなった。一部の政策当局者の間で物価圧力への懸念が高まっている。