• 主要経済国の景況指数は予想を下回っている-ゴールドマン
  • 新興国と先進国の回復格差は「悪くなる一方」-ナティクシス

新型コロナウイルスがパンデミック(世界的な大流行)となって以来2度目の夏が終わろうとしている世界では、デルタ変異株の感染拡大による経済回復の遅れが顕著になってきた。

  8月の米雇用者数は急減速した。空港でのチェックインやホテル、レストランの予約など需要鈍化を示す兆候はあらゆるところに見られる。ドイツの企業景況感は悪化し、中国ではサービスセクターが軟化。世界の製造業活動を示す指数は低下した。

  ゴールドマン・サックス・グループによれば、主要経済国の景況活動を示す指数は予想を下回っている。シティグループはセクター間、地域間のばらつきが深刻化しながら、経済の回復はペースが鈍る可能性があると警告した。

  IIFのチーフエコノミスト、ロビン・ブルックス氏は「デルタ株の広がりで経済再開のプロセスに遅れが生じ、世界の成長見通しを下方修正せざるを得なくなっている」と指摘した。

  このつまずきで、中央銀行による資産購入のペース減速や政策金利の引き上げが遠のく可能性がある。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は8月末、パンデミック収束が遅れるなかで労働市場のスラック(たるみ)が続く可能性を警告した。

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  アジア全体で製造業や輸送業全般に問題が生じ、複雑に絡み合う供給不足が世界で顕在化するに至った。HSBCホールディングスのロンドン在勤チーフ・グローバル・エコノミスト、ジャネット・ヘンリー氏によれば、そうした混乱は個人消費の足かせとなり得るほか、財の価格を押し上げる恐れがある。

  ワクチン接種率が全般に高く、経済再開が続いている欧米諸国では成長が比較的持ちこたえられるが、「こうした経済も、マレーシアの工場閉鎖といった外国で起きるデルタ株関連の障害から影響を受ける可能性がある」と同氏は説明した。

  ナティクシスのアジア太平洋チーフエコノミスト、アリシア・ガルシアエレロ氏は、回復スピードにおける新興国と先進国の格差は「悪くなる一方だ」と述べた。

原題:Delta Surge Means This Is as Good as it Gets for Global Growth(抜粋)