[ロンドン 18日 ロイター] – 10月31日から11月12日にかけて、200近い国の代表がスコットランドのグラスゴーに集う。国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)のためだ。目的は、2015年に採択されたパリ協定に基づく地球温暖化への対策を強化することだ。
世界各地で異常気象が起きる中、気候変動に関する国連の報告書が「地球温暖化が手に負えない状況に近づきつつある」と警告していることを受け、今回の会議で各国政府が示す動きが対策の成否を左右することになる。
解決すべきいくつかの問題点を整理してみよう。
<排出削減目標>
6年前のパリにおけるCOP21では、地球温暖化による気温上昇を最大でも摂氏2度、理想的には1.5度に抑えるため、各国は温室効果ガスの排出量削減に合意した。この目標を達成するには、排出量を2030年までに半減、今世紀半ばにはネット(実質)ゼロにする必要がある。
昨年はコロナ禍により国連の会議が延期されたため、各国がさらに厳しい排出削減目標(国別削減目標、NDC)を公約する期限は今年とされている。
7月末までに提出された新規、もしくは改訂後のNDCについて国連が分析したところ、提出済みの113カ国の合計では、2030年までに排出量を2010年の水準から12%削減することになっている。
だが、191のパリ協定締約国・地域すべてについて入手可能なNDCを見ると、2010年との比較で、2030年の温室効果ガスの排出量は16%増になると国連は指摘している。
これまで約120カ国が改訂後のNDCを提出しているが、目標達成に向けた共通のスケジュールは存在せず、一貫性に欠けている。また、NDCにおけるアプローチにはばらつきがあるため相互比較は難しい。
各国の交渉代表は、さらに今後の排出削減に向けた共通スケジュールについても合意する必要がある。
主要な排出国である中国、インド、サウジアラビア、トルコは、4カ国合計で世界の温室効果ガス排出量の約3分の1を占めているが、より厳しい目標を盛り込んだNDCをまだ提出しておらず、COP26での提出が求められている。
<開発途上国への財政支援>
すでに2009年の時点で、先進諸国は気候変動に伴う影響への開発途上国の対応を支援するため、2020年まで年間1000億ドルを拠出するとの合意に達していた。
だが、経済協力開発機構(OECD)による最新のデータでは、先進諸国の政府が気候変動に対して脆弱な諸国のために拠出した金額は、2019年には796億ドルであり、2018年の783億ドルに対して2%増にとどまっている。
富裕国が年間1000億ドルという支援目標を達成していないということは、気候変動の協議における信頼関係を壊しかねないと専門家たちは語る。さらに、2025年以降に向けた新たな財政支援目標も策定していく必要がある。
<損失の補償>
各国政府は開発途上国が被る気候変動の影響に対処することに合意したが、貧困国の多くが議論の主題としている法的責任や補償について、詳細は何も決まっていない。
気候変動に対して脆弱な諸国への技術支援を実現するためのプラットフォームは2019年に発足したが、開発途上国は、財政支援を含めたより強固なメカニズムを求めている。
<化石燃料>
英国で開催されるCOP26で議長を務めるアロック・シャルマ氏は、COP26を機に石炭火力発電を過去のものにしたいと語った。
国連は、OECD加盟国に対して2030年までに石炭の利用を段階的に廃止するよう呼びかけているが、このスケジュールについて主要20カ国・地域(G20)の環境担当相の間では合意が得られていない。
<第6条問題>
パリ協定第6条は、カーボンマーケット(炭素市場)の役割に関するものだが、協定が採択された後もまだ決着がついていない。この件についての進捗は、前回2019年のCOP25の協議で頓挫してしまった。
第6条は、排出量削減の「二重計上」を避けるため「強固な計算方法」の導入を求めている。また同条は、低炭素プロジェクトによる排出量削減で得られた「カーボンクレジット」取引の中心となる国連主体のメカニズムの確立も掲げている。
(翻訳:エァクレーレン)