[フランクフルト 28日 ロイター] – 欧州中央銀行(ECB)は28日の理事会で、現行の金融政策を維持することを決定した。市場で物価上昇に対応するためにECBは来年にも利上げを迫られるとの見方が出る中、ラガルド総裁は理事会後の記者会見で、来年には物価圧力は緩和するとの考えを示し、こうした見方を退けた。
他の主要中銀が金融引き締めに向けた動きを示唆する中、ラガルド総裁は、今回の理事会ではインフレが主要な議題になったとし、 「とにかくインフレ、インフレ、インフレについて議論した」と述べた。その上で、ECBのスタンスについて検証した結果、正しいとの結論に達したと述べた。
総裁はユーロ圏の物価を一時的に押し上げている要因として、エネルギー価格の上昇、需給の世界的なミスマッチ、ドイツの付加価値税減税の終了など一過性のベース効果の3点を挙げ、「インフレ率の低下には以前の予想よりも時間がかかるものの、こうした要因は来年にかけて緩和していくとみられる。インフレ率はECBの中期目標である2%を下回ると引き続き予想している」と語った。
ECBは、インフレ率が展望期間の半ばまでに目標値に戻り、その水準に定着するまで利上げは実施しないとのガイダンスを示しているが、ラガルド氏はこれについて「(こうした条件は)現時点の分析では明らかに達成されておらず、近い将来にも明らかに達成されない」と述べた。
ECBは今回の理事会で、中銀預金金利をマイナス0.5%に据え置くことを決定。パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の買い入れ規模の総枠も維持することを決定した。
12月の次回理事会でPEPP終了の是非について決定するとみられている。