先週は「経済のジャパナイゼーション(日本化)」、今週は「トランプ氏の返り咲き」。インフレ抑制で手をこまねいていると米国は大変なことになると、サマーズ元米財務長官の表現は日を追うごとに緊迫感を増しています。10月の米消費者物価指数(CPI)がもたらした衝撃に続いて、この日は石炭価格の急上昇が明らかになりました。電気代など家計への圧迫が2024年の大統領選挙まで続けば、サマーズ氏の警告が現実味を帯びてくるかもしれません。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

最低でも3%

米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレを抑制するために、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を最終的に3%以上に引き上げることになるだろうと、2人の前地区連銀総裁が述べた。ダドリー前ニューヨーク連銀総裁は政策金利が行き着く水準について、「恐らくは3~4%だろう」と答えたが、先行きの視界は良好ではないと続けた。リッチモンド連銀のラッカー前総裁も別のインタビューで、「3.5%あるいは4%はあり得そうだ、それ以上になると経済をリセッション(景気後退)に追い込む」と話した。

家計を直撃

世界的な電力危機による一般炭需要の拡大を受け、米国の石炭価格は約12年ぶりの高値に上昇した。中央アパラチア産石炭の価格は先週10ドル余り上昇し、1トン=89.75ドルと、2009年以来の高値となった。米電力大手は、暖房シーズンの料金が1カ月当たり約11ドル(約1300円)上がる可能性があると顧客に伝えている。米電力各社が石炭消費量を増やす中、米採掘各社は生産量を増やすのに苦労しており、これが在庫減少と価格上昇を招いている。

恐怖のシナリオ

サマーズ氏は過度なインフレへの対処に失敗すればトランプ前米大統領の返り咲きをもたらす可能性があると警告した。同氏は一連のツイートで、連邦準備制度理事会(FRB)の人事ではインフレ抑制という課題を認識する必要があり、それが金融政策全般に反映されるべきだと述べた。「過度のインフレとそれが制御されていないという感覚が、ニクソンとレーガンの当選を後押しした。トランプ氏が権力を取り戻すリスクもある」とした。

脱オランダ

英・オランダ系の石油会社ロイヤル・ダッチ・シェルは15日、株式構造を簡素化する計画を発表した。税法上の拠点をオランダから英国に移し、社名も「シェル」に変更する。ロイヤル・ダッチ・シェルは現在、英国で法人登記する一方、税法上の本拠地をオランダに置いてる二重株式構造となっている。社名変更や企業構造の簡素化は、オランダのロッテルダムで来月10日に開催予定の株主総会で投票に諮られる。

記録ずくめ

11月のニューヨーク連銀製造業景況指数は予想を上回る上昇となった。受注の伸びと雇用の加速が寄与。販売価格の指数は統計でさかのぼれる2001年以降で最高を記録。仕入れ価格は過去2番目の高さ。旺盛な需要で雇用も伸び、雇用者数の指数は8.9ポイント上昇して過去最高の26.0に。週平均就業時間の指数も上昇。一方、6カ月先の見通しでは、景況指数が前月の52.0から36.9に低下した。

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