【ワシントン=田島大志】米政府のアンソニー・ファウチ首席医療顧問は5日の米CNNの番組で、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」感染後の症状について、「さほど深刻ではないようだ」と述べ、重症化率は高くない可能性を指摘した。一方で症例の少なさから「断定は時期尚早だ」とも強調した。
ファウチ氏は、「オミクロン株が強い感染力を持っていることは明らかだが、重症度に関しては少し勇気づけられるシグナルが出ている」と語った。その上で、「デルタ株ほど重症化しないと断定する前に、極めて慎重にならなければならない」とも述べ、さらに症例の精査が必要だとした。南アフリカなどに出している渡航中止勧告については、「妥当な期間で解除できるようにしたい」とも語った。
感染予防対策として、「ワクチンの追加接種を受ければ免疫力が上がり、オミクロン株が国内で広がっても、かなりのレベルで守られる」と促した。
一方、米疾病対策センター(CDC)のロシェル・ワレンスキー所長はABCニュースで、「オミクロン株は変異により、治療薬の効果が下がったり、免疫を回避したりする可能性があり、注意深く観察している」と語った。
世界各地の感染拡大は止まっていない。AFP通信によると、デンマークの保健当局は5日、オミクロン株の感染者が183人に達したと発表した。3日までに18人の感染が確認されていたが、わずか2日間で10倍以上に増えた。ロイター通信によると、東欧ルーマニアや南米チリでも4日、初めて感染が確認された。