[モスクワ/ブリュッセル/キエフ 10日 ロイター] – ロシアは10日、旧ソ連のウクライナとジョージアの将来的な北大西洋条約機構(NATO)加盟を巡る2008年の確約を撤回するよう要請した。同時に、NATOに対しロシアと国境を共有する国に兵器を配備しないと確約するよう求めた。
こうした中、欧州連合(EU)はこの日、ロシアがウクライナを侵攻すれば代償を払うことになると改めて警告した。
ロシア外務省が発表した声明によると、ロシアは定期的な防衛協議開始のほか、ウクライナのNATO加盟に対しロシアに実質的な拒否権を与えることなどを提案した。
NATOはウクライナを加盟させ、ロシアを標的とするミサイルシステムを同国に配備する方向に動いているとし、「こうした無責任な行動は、ロシアに対する容認不可能な安全保障上の脅威となり、欧州における大規模な紛争に至る、深刻な軍事上のリスクが誘発される」と警告。「欧州安全保障の根本的な利益のために、『ウクライナとジョージアは将来的にNATOに加盟する』とした08年の確約は、正式に撤回される必要がある」とした。
これに対し、NATOのストルテンベルグ事務総長は、NATOの姿勢は変わらないと強調。「どのような安全保障体制に属したいのかを含め、あらゆる国が自国の道を選択する権利を有することは基本原則だ。NATOとウクライナの関係を決定するのはNATO加盟30カ国とウクライナであり、他の国ではない。大国が影響力を持ち、他の加盟国の行動をコントロールできるようなシステムをロシアが再構築しようとしていることは容認できない」と述べた。
また、EUの執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン委員長はドイツのショルツ新首相との共同記者会見で「侵攻には代償を払う必要がある」と指摘。ただ、ロシアが侵攻に踏み切った際に他のパートナー国と共に導入する可能性のある対ロシア追加経済制裁について、公の場で協議しないとし、「ロシアの行動次第だが、EUはロシアとの良好な関係を望んでいる」と語った。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、紛争が続いているウクライナ東部とクリミアの将来を巡る住民投票の実施を否定しないと表明。実施の方法や時期については明らかにしなかったものの、和平プロセスの進展とロシアとの対立解消に向けた選択肢の一つになるとの考えを示した。