令和3年12月21日動画が再生できない方はこちら(政府インターネットTV)
【岸田総理冒頭発言】
昨日、令和3年度補正予算及び関連の政府提出法案が無事成立をし、第207回国会が閉会いたしました。そして、同僚議員を始め、全ての関係の皆様の協力に対し、心より感謝を申し上げます。
今国会では、できる限り私の考えを丁寧に説明させていただきました。自治体や現場の皆さんの意見に耳を澄ませながら、国会論戦の中で頂いた御意見も踏まえ、国民感覚に沿うように、方針、変更すべきと感じたことは、政治として思い切ってかじを切りました。大切なことは、国民の思いをしっかり受け止めることです。例えば子育て世帯への給付金です。厳しい年末を迎える中、御家庭においても、この厳しい状況の中におられる方も多いかと思います。支援を迅速にお届けすることが何よりも大事であると考えています。年末年始、国、地方の現場の皆さんには御負担もおかけいたしますが、国民のためと思って、御協力を頂けるよう、心からお願いをしたいと思っています。
コロナ禍という前例のない、先が見通せない状況の中で、国民の皆さんが少しでも安心して仕事に励み、日々の暮らしが送れるよう、政府として全力を尽くしてまいります。そのために、まず思い切った内容の大型経済対策を年内に国民の皆さんにお届けいたします。同時に、ウイルス変異株などの新しい状況に対して、慎重な上にも慎重を期し、先手先手で対策を打ってまいります。総選挙後の第2次岸田内閣発足以来40日余り、こうした方針の下、スピード感を何よりも重視して、政府・与党の先頭に立ってまいりました。
昨日の補正予算成立により、事業規模78.9兆円のコロナ克服と新時代開拓のための経済対策がいよいよ実行段階に入ります。未知のリスクである新型コロナに対し、全世界の政府、医療機関、国民が手探りで闘うことを強いられています。そうした中、私は、新型コロナとの闘いにおいて、丁寧な説明、迅速な行動との方針を徹底しています。政府の方針や考え方の全体像を丁寧に説明し、迅速に実行していくことで関係者の協力を効率的に進め、公共心の高さ、団結の強さという日本社会の強みを最大限いかして、新型コロナとの闘いに臨んでいきたいと考えています。皆さんお一人お一人の協力を頂きながら、国民の命と健康を守り抜くため、力を尽くしてまいります。
未知のリスクである新型コロナへの対応は、毎日が試行錯誤の連続です。国民のためにより良いと思えば、経緯にとらわれず、迅速に対応を改めていくことも政治の役割です。新型コロナの感染が拡大し始めたばかりの昨年の春は、未知のウイルスへの不安の中、多くの国民の皆さんがマスクが全く手に入らず、お困りでした。政府が布製マスクを全国民に配布するとしたことで、その後マスクの製造、流通が回復し、今ではマスクの不足に対する心配は完全に払拭されるなど、所期の目的は達成されました。その後、政府は5億枚を超える高性能マスクの備蓄を保有しており、いざという事態に十分対応できる状況になりました。財政資金、効率化の観点から、布製マスクの政府の在庫について、御希望の方に配布し、有効活用を図った上で、年度内をめどに廃棄を行うよう、指示をいたしました。
12月6日の所信表明演説において、コロナ対策、経済対策、外交・安全保障、憲法改正など、内閣が直面する諸課題について、考え方を詳しく申し上げました。本日の会見では、私が所信表明を行った後に政策の方針や実行面で進展があった7項目について簡潔に説明をいたします。
第1に、水際対策です。外国人の新規入国停止などの水際対策を11月29日より、1か月をめどとして講じてきましたが、オミクロン株の感染力、重症化リスクなどに関する科学的な評価がいまだ確立してはおりません。このため、年末年始の状況を見極めつつ、当面の間、水際対策を延長することといたしました。関連情報の収集に全力を挙げつつ、ワクチンの3回目接種や、飲める治療薬の普及など、国内対応体制の準備を加速化いたします。
第2に、国内における感染封じ込め対策の強化です。全ての国内感染者について、オミクロン株の検査を行うことで、早期探知を徹底いたします。これに加え、オミクロン株の濃厚接触者に対しては、自宅待機要請ではなく、14日間の宿泊施設での待機を要請するなど、感染封じ込め対策を強化してまいります。
第3に、予防・検査・早期治療のための包括強化策です。ポイントのみ申し上げます。包括強化策の第1の柱は、ワクチン接種の前倒しです。医療従事者と重症化のリスクが高い65歳以上の高齢者、約3,100万人の方々を対象に、3回目のワクチン接種を前倒しで行います。
第2の柱は、飲める治療薬の提供開始です。薬事承認を得次第、160万回分確保したメルク社の治療薬を年内から医療現場にお届けいたします。ファイザー社の治療薬200万回分については、来年早い時期から医療現場にお届けできるよう、準備を進めます。今夏の感染拡大時には、新規陽性者が累積で90万人程度発生し、うち重症化リスク保有者は、専門家によると20万人程度とされました。メルク社の治療薬160万回分というのは、感染力が今夏の2倍になり、かつ中期的な感染拡大が続いた場合でも、軽症者を含め、重症化リスクを有する方全てに対応するのに十分な量であります。
第3の柱は、無料検査体制の抜本強化です。まずはワクチン接種を受け入れられない方を対象に、年内から予約不要の無料検査を全ての都道府県で開始いたします。これから年末年始を迎え、人との接触機会が増えることが想定されます。3密の回避やマスク着用、手洗いを始め、基本的な感染対策への御協力を改めてお願いいたします。海外専門家の中には、オミクロン株への対策として、風邪の初期症状がみられる方は外出を極力控えるよう呼び掛けるべきとの意見もあります。我が国では市中感染が生じている状況ではありませんが、念には念を入れた対応をお願いいたします。
第4に、新型コロナでお困りの方への支援です。年末を控え、生活が苦しく、年越しに不安を抱える方の声に応えるため、私から補正予算の早期執行を関係大臣に指示いたしました。経済的に困難な学生に対する10万円の給付、住民税非課税世帯に対する10万円の給付などの支援を重層的に講じ、順次、年内から幅広く、新型コロナでお困りの方を支援してまいります。
12月28日には、孤独・孤立対策の重点計画を取りまとめます。官、民、NPO(特定非営利活動法人)が連携し、生活困窮者支援、自殺防止、子どもの貧困などの問題に取り組んでまいります。何かお悩みのある方は、お一人で抱え込まず、是非国や自治体、あるいはNPOの相談窓口に御連絡頂きたいと思っています。
新型コロナによる直接的な影響以外にも、ガソリン価格の高騰、軽石や赤潮による被害、米価下落など、国民生活に大きな影響を与えています。政府は、こうした問題にもきめ細かく対応してまいります。足元では、生乳の需要減少が大きな問題になっています。生乳の大量廃棄を防ぐため、特に需要が減少する年末年始に、牛乳をいつもより1杯多く飲んでいただく、料理に乳製品を活用いただくなど、国民の皆さんの御協力をお願いいたします。
第5に、新しい資本主義です。デジタルやカーボンをキーワードとして、大きく変化するこの経済社会において、新たな価値を生み出すための鍵である人への投資を強化してまいります。国だけでメニューを作って支援を行うというこれまでの手法は、明らかに限界に来ています。政策の企画立案段階から民間の発想を取り入れることといたします。非正規の方を含め、約100万人の方の能力開発、再就職、転職によるステップアップを支援する際に、働く従業員の方、企業経営に携わる方など多くの国民の皆さんの声を伺った上で制度設計を行う、新たなやり方にチャレンジをしてまいります。近日中に皆さんの御意見の募集を開始いたします。是非積極的な御提案をお寄せください。
新しい資本主義の大きな特徴は、分配を成長への道筋としてど真ん中に位置づけるということです。分配を行うことで、成長を支える新たな需要を創出し、次の成長につなげます。
分配政策の重要な柱の一つは、企業による賃上げです。あらゆる手段を講じて企業が賃上げをしようと思える雰囲気を醸成することが重要です。そのためにも、国が率先して公的価格の引上げを行います。介護、保育、幼児教育などの現場で働く方の給与を来年2月から恒久的に3パーセント引き上げます。看護は、来年2月から1パーセント、10月から恒久的に3パーセント引き上げます。加えて、中小企業が賃上げをした場合に、その分を適切に価格転嫁できるよう、私から産業界に広く協力を要請するとともに、そのための施策パッケージを12月27日に取りまとめます。来年1月から3月を集中取組期間とし、政府を挙げて取り組みます。
公正取引委員会と中小企業庁が事業所管官庁と連携し、問題となる事例を幅広く把握するための仕組みを作ってまいります。問題が多い業界に対しては、立入調査や要請を行い、価格転嫁を行いやすくしてまいります。多くの中小企業が直面する急速な原材料費とエネルギーコストの上昇についても、同様に価格転嫁対策を進めてまいります。賃上げを通じた分配は、コストではなく、未来への投資です。きちんと賃金を支払うことは、企業の持続的な価値創造の基盤になります。この点を企業の株主にも理解してもらうことが必要です。人の価値を企業開示の中で可視化するため、来年度、非財務情報の見える化のルールを策定いたします。
デジタル田園都市国家構想についての議論もどんどん進んでいます。デジタル臨調において、行政が遵守すべきデジタル原則を策定し、その原則に合うように、4万件の法律、政省令、通知などの一括見直しを行います。来春には、制度の一括改正のプランを取りまとめます。例えば制度改革により、道路やプラントなどインフラメンテナンスの規制や自動車の定期点検、介護施設における人材配置規制などの合理化を進めてまいります。
デジタルインフラについては、来年3月までに整備計画をお示しいたします。日本全国どこにいても自動走行などの高速・大容量のデジタルサービスを低遅延で使えるよう、十数か所の地方データセンター拠点を5年程度で整備いたします。5Gは現在3割程度の人口カバー率を、2023年度に9割に引き上げるとともに、光ファイバーは2030年までに99.9パーセントの世帯をカバーすべく、取り組みます。誰一人取り残されず、全ての人がデジタル化のメリットを享受できる社会の実現を目指してまいります。高齢者を始め、デジタルに不慣れな方などをサポートするために、1万人以上のデジタル推進委員を全国津々浦々で展開します。先日、車座対話の一環として訪問した会津では、自治体、企業、住民、大学が連携し、正にデジタル田園都市と呼ぶべき新たな時代の地域づくりを進めていました。住民と協力しながら、デジタルの社会実装を進め、新しい時代の地域づくりを推進するハブとなれる経営人材を国内100地域に展開いたします。
気候変動問題について、2030年度、46パーセントの削減、2050年カーボンニュートラルの目標、これはもちろん堅持いたします。私は、気候変動問題は新しい資本主義の中心に位置する問題であると捉えています。エネルギー基本計画といった供給側目線での目標を出すだけではなく、経済社会や産業全体が直面する数世代に一度の変革を我が国がどう成し遂げるか、経済社会変革の全体像と併せて道筋を丁寧に示すことが重要です。年明けには、新しい資本主義実現会議の議論と気候変動問題に関する議論をどのように連携させていくか、お示ししたいと思っています。
第6に、外交・安全保障です。来年は、積極的に首脳外交を推し進める1年にしたいと思っています。先般、オンラインで開催された民主主義サミットに参加いたしました。自由、民主主義、人権、法の支配といった我々が大切にする基本的価値を損なう行動に対して、同志国が一致してワンボイスで臨んでまいります。
日程は調整中ですが、バイデン大統領と早期に会談を行い、日米同盟の抑止力、対処力を一層強化していくとともに、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた協力を新たなレベルに引き上げてまいります。
経済面では、私が掲げる新しい資本主義の考え方を説明し、ビルド・バック・ベターを掲げるバイデン大統領との連携を深め、グローバルな議論をリードしてまいります。
私が目指す核兵器のない世界の礎石と言うべきNPT(核兵器不拡散条約)の運用検討会議が、7年ぶりに、年明け1月4日から、ニューヨークにおいて開催されます。極めて重要なこの会議を成功させるために、我が国として全力を尽くしてまいります。
先般のアフガニスタンにおける経験を踏まえ、海外で邦人が危機に晒(さら)された際の輸送に万全を期すため、自衛隊法の改善について検討を指示いたしました。
第7に、憲法改正です。今国会では、私が総理大臣になってから初めての憲法審査会が開催されました。国会において、憲法改正についての議論が始まったことを歓迎いたします。通常国会では、更に議論が深まることを心から期待いたします。併せて、自民党総裁として、党改革を進めてまいります。年明けから、地方の意見も聞きながら、更に議論を加速させていきます。
この国会中には、統計の信頼性や公文書の在り方に関し、様々な御指摘を頂きました。私は、いずれも国民の皆さんから政治への信頼を得るために大変重要なものであると考えています。法曹界の専門家にも参画してもらった上での統計の二重計上問題についての厳正な事実究明や、公文書に関する、裁判手続に沿った、中立、真摯、丁寧な対応を行うことが国民の信頼回復のためには不可欠です。関係省庁がこうした対応をしっかり行うよう、厳しく、監督、指導してまいります。
今年も残すところあと僅か、10日となりました。年内に予算を編成すべく、引き続き手綱を緩めず取り組んでまいります。年が明ければ、すぐに通常国会です。令和4年度予算、そして税制関連法案の早期成立や新型コロナ対応、新しい資本主義の実現などに向けた重要法案の成立に向け、力の限り尽くしてまいります。今年より来年が良くなる、未来に対する希望を持てる日本を作るため、来年も挑戦をし続けます。国民の皆さんの御協力を心からお願い申し上げます。
【質疑応答】
(内閣広報官)
それでは、これから皆様より御質問を頂きます。
指名を受けられました方は、お近くのスタンドマイクにお進みいただきまして、社名とお名前を明らかにしていただいた上で、1人1問御質問をお願いいたします。
まず、幹事社2社から御質問を頂きます。
西日本新聞、古川さん、どうぞ。
(記者)
西日本新聞の古川と申します。よろしくお願いいたします。
先ほど総理は国民の思いを受け止めるのも政治の役割だというお話をされましたけれども、10万円の給付をめぐっては、やはり地方や現場は混乱した感は否めないと思います。総理は「聞く力」を掲げておられますけれども、より制度設計に入る前、もしくはもっと早く「聞く力」を発揮することはできなかったのでしょうか。総理御自身は「聞く力」についてどのように評価されているのでしょうか。
また、今後「聞く力」による政策変更のリスクに対してはどのように対処されるのか、お考えをお聞かせください。よろしくお願いします。
(岸田総理)
御指摘の給付等の政策については、衆議院選挙が終わって年末までにどうしてもこの様々な支援を国民の皆さんに届けなければならない、そういった思いで様々なこの政策、対策を用意させていただきました。そして自治体の皆さんの意見、そして国会での議論、これをできる限り幅広く受け止めた上で、変更すべきと感じたことについては政治として思い切ってこの判断をした、こういったことであります。
大切なことは、要は国民の利益になるようにするためにはどうしたらいいか、国民の利益になるように常に制度の見直しを行っていく、こういった姿勢であると思っています。新型コロナという危機の最中(さなか)にあって、この危機を管理し、そして克服していく、こうしたことを最優先にしていかなければと思っていますが、その際にスピード感、これを最優先にした機動的な対応を図っていきたいと存じます。これからもこういった姿勢は大事にしながら政治を進めていく、これが結果として国民の皆さんのためになると信じて努力を続けていきたいと思っています。
(内閣広報官)
続きまして、NHK、長谷川さん。
(記者)
幹事社のNHKの長谷川と申します。
冒頭でも触れられました水際対策についてお伺いします。当面の間、現在の水際対策を延長されるとおっしゃられましたけれども、これは現状どの程度まで延長するお考えでしょうか。また、今後の水際対策を更に強化するお考えというのはありますでしょうか。
それから、北京オリンピックへの対応に関しまして、現在、政府関係者を派遣しないと表明する国が相次いでおりますけれども、改めまして日本政府としての対応をお伺いしたいと思います。
(岸田総理)
まず水際対策ですが、外国人の新規入国停止などの水際対策、11月29日から1か月をめどにということで対策を講じてきましたが、今現在、オミクロン株の感染力ですとか重症化リスク、こうした科学的な評価、確立しているとは言えないと思っています。こうした状況ですので、年末年始の状況をしっかり見極めた上で、当面の判断をしなければいけない。ですから、年末年始の状況を見極めつつ、当面水際対策、延長することといたしました。
引き続き、まずは情報収集に全力を挙げるわけですが、併せて、国内において、ワクチンの3回目の接種あるいは経口治療薬の普及、こうした国内対応体制の準備を加速化していきたいと思っています。そして、国内については、全ての国内感染者についてオミクロン株の検査を行うことで早期探知を徹底していきたいと思っています。そして、オミクロン株の濃厚接触者に対しては、自宅待機要請ではなくして、14日間の宿泊施設での待機要請をするなど、この感染封じ込め、強化していきたいと思っています。
そして、北京オリンピックへの対応ですが、日本政府の対応としては、適切な時期にオリンピック・パラリンピックの趣旨や精神、あるいは我が国の外交の観点、様々な点を勘案して我が国の国益に照らして判断をしていく、こうした方針で臨んでいきたいと思っています。今しばらくしっかりと諸般の事情、総合的に勘案して判断していきたい、このように思っています。
(内閣広報官)
ここからは幹事社以外の方から御質問をお受けいたします。御質問を希望される方は挙手をお願いいたします。こちらで指名いたしますので、マイクにお進みください。
では、小山さん。
(記者)
毎日新聞の小山です。よろしくお願いします。
10万円相当の給付、この辺りが契機になったと思うのですけれども、世論の中でばらまき批判とか財政規律の緩みを懸念する声が増え始めています。6月の骨太の方針ではプライマリーバランスの黒字化目標について、今年度中に2025年度の黒字化目標を再確認するというふうにしていますけれども、この再確認するというのは、よほどのことがない限りこの目標年度に沿って、目標年度を確認するために検証作業をするということでしょうか。その辺、よろしくお願いします。
(岸田総理)
財政についてですが、まず、今は新型コロナという危機の最中にあり、必要な財政支出は躊躇(ちゅうちょ)なく行い万全を期さなければいけない、こうした段階にあると思います。そういった思いで大規模な経済対策を用意したということであります。そして、経済あっての財政であり順番を間違えてはならない、こういったことは再三申し上げております。
他方で、足元で新型コロナ対策あるいは経済対策を行うということ、これは中長期的に財政健全化に取り組むことと決して矛盾はしないと考えています。まずは新型コロナの危機を乗り越え、そして日本の経済をしっかり立て直す、そしてその上で財政健全化についても考えていく、こうした順番で取り組んでいくというのが基本方針であります。こうした考え方、先日、自民党において総裁直属の財政健全化推進本部を創設し、私自身、第1回の役員会に出席いたしましたが、今、申し上げた基本的な考え方は申し上げさせていただいたところであります。
そして、プライマリーバランスの黒字化目標、おっしゃるように骨太の方針2021に書いてあるように、本年度内に目標年度を再確認するという方針でありますが、よほどのことがないと延ばさないのかという御質問ではあったと思いますが、これはもうここに書いてあるとおりでありまして、目標年度を本年度内にしっかり議論をして、そして必要な検証を行い、この目標年度について再確認をする、こうした取組を進めていきたいと考えております。ここに書いてあるとおり、これ以上でもこれ以下でもありません。
以上です。
(内閣広報官)
それでは、次の質問、池尻さん。
(記者)
朝日新聞の池尻です。よろしくお願いいたします。
改めてのことで、また教えていただきたいのですけれども、今国会中に森友問題をめぐる改ざんの問題で、近畿財務局に勤められていた赤木さんの御家族が起こしていた損害賠償の訴訟について、国は一転して賠償責任を認めました。御家族の願いは真相究明にあったと思います。今回の決定は御家族の中には落胆の声が上がっています。首相はこれまで政治的に説明が必要であるなら説明をするとおっしゃってきました。今後も首相は自ら対応されるおつもりはないのでしょうか。国交省の書き換えの問題のように第三者委員会を立ち上げるなど対応される考えはありませんでしょうか。教えてください。
(岸田総理)
御指摘の点については、今回の訴訟、財務省において裁判所の訴訟指揮に従って訴訟を進め、そして損害賠償の賠償請求、これを全面的に認めたというものでありました。14日の日に私自身、財務省から報告を受け、損害賠償責任を認めるということを承知したということであります。
この森友学園問題については、私自身、総理大臣就任して以来、財務省には裁判所の訴訟指揮に従って丁寧に対応するよう指示をし、そして、今回の報告に当たっても、これまでどういった取組をしてきたのか、いわゆる赤木ファイルの提出を始め、財務省のこうした説明努力についていま一度確認した上で、2つ指示を出しました。1つは、今回の損害賠償に関する訴訟とは別に、情報公開に関する訴訟が行われています。別の訴訟が継続中でありますので、その別途の訴訟について引き続き丁寧に対応すること。そして、併せて、様々な場において今後とも真摯に説明を尽くしていく、こうしたことを指示した次第です。私自身も今後ともこの問題に真摯に向き合っていく、説明責任を果たしていくべく努力をしていかなければならないと思っています。
以上です。
(内閣広報官)
それでは、次の方、室井さん。
(記者)
TBSの室井です。よろしくお願いします。
外交についてお伺いします。先ほど総理は改めて、訪米について、バイデン大統領との会談について意欲を示されましたけれども、実際のところ、なかなか決まらないのが現状だと思いますけれども、それについてどういう理由があるのかということを教えてほしいのと、通常国会までに決まらない場合、他の国との会談を考えているのか、あるいはアメリカをあくまで優先させるのかということも教えてください。
(岸田総理)
まず、日米同盟は我が国の外交・安全保障の基軸であり、米国のトップ、バイデン大統領と早期に対面でお会いし、様々な課題についてこの思いを共有する、あるいは個人的な信頼関係を醸成していく、これは極めて重要な課題であると認識をしています。そういったことから、既にCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)の際にお会いした際に、できるだけ早期に訪米をして首脳会談を持ちたいということを申し上げているわけです。
そして、その後、調整は続いていますが、米国の国内における政治の様々な動き、さらには、米国においては今、新規感染者の7割がオミクロン株であるということが報じられている、この変異株の状況も大変深刻な状況にあるようであります。こうした様々な状況の中で調整が引き続き続いているということであります。引き続きこの調整を続けて、いずれにせよできるだけ早く日米首脳会談は実現したいと思っています。
それ以外の国について考えているのかという御質問ではありましたが、まずはこの日米首脳会談実現に向けて全力を尽くした上で考えることであると思います。まずは日米首脳会談に向けて最大限努力をしていきたいと思っています。
(内閣広報官)
次の方。ランダースさん。
(記者)
ウォール・ストリート・ジャーナルのランダースと申します。
先ほどの財政の話の続きですけれども、経産省の消費・流通政策課長を務めている中野さんという方が、自国通貨を創造できる国家には歳出の予算制約はないと、高いインフレではない限りは財政赤字自体には何の問題もないと言っています。総理はこの中野さんの論理について正しいと思いますか。
(岸田総理)
まず、財政についてはいろいろな考え方があり、いろいろな議論があると承知をしています。私自身の考え方としては、これはもう従来から申し上げているように、財政は国の信頼の礎であり、中長期的に財政健全化に取り組む必要があると考えています。
そして、いろいろな議論がある中で、この自国通貨建ての国債を発行する国の政府は幾らでも国債を発行して支出することができる、こういった意見の方もおられると承知してはおりますが、ただ、政府としては、こうした考え方は採ってはおりません。先ほども申し上げましたが、この順番を間違えてはならない。コロナ禍を乗り越えて、経済を再生し、そして財政健全化を考えていく、こういった道筋をしっかりと大事にしながら、財政健全化についても考えていきたいと思っています。
(内閣広報官)
それでは、下久保さん。
(記者)
中国新聞社の下久保です。よろしくお願いします。
総理は先ほど御挨拶の中でも核兵器のことを触れられました。また、国会でも核兵器なき世界を訴えられたと思います。これは被爆地広島選出の政治家の姿勢だと思いますが、その点でお伺いしたいのが、広島原爆の黒い雨の被害者救済について、どのようなお考えをお持ちか。
また、併せて、被害者が望んでいる核兵器禁止条約の締約国会議オブザーバー参加についてですが、先日、アメリカ政府のほうから日本政府のほうにオブザーバー参加しないようにという要請があり、日本政府もこれに同調したと報じられています。この事実関係についてお伺いしたいのと、総理は「聞く力」を掲げられて、いろいろな車座対応をされていますが、こうした核兵器を持たない国のオブザーバー参加によっていろいろな声を聞くのも「聞く力」の一つだと思いますが、核兵器禁止条約のオブザーバー参加についてもお聞かせください。
(岸田総理)
まず、この黒い雨訴訟に関する判決に関することですが、今後の被爆者健康手帳の認定の方針について、これまで広島県、広島市、長崎県、長崎市、そして厚生労働省、こうした関係者での協議、2回行われたと承知をしています。そして、12月8日の協議において厚生労働省から基本的な考え方をお示しし、参加した広島市等から様々な意見を頂いたと聞いております。そして、次回の協議において国としての方針を示すことになっていると承知しています。
この件につきましては、被爆者が高齢化していることを踏まえて、早急に次回協議を実施し、遅くとも令和4年度当初には、可能な限り多くの方の救済を開始できるよう、スピード感を持って取り組んでいかなければならないと認識しております。
それから、2問目の核兵器禁止条約オブザーバー参加の話でありますが、私の考え方は、先日の予算委員会の審議の中でも申し上げたとおりであります。核兵器禁止条約、これは核兵器のない世界を目指す上で出口に当たる大切な条約だと思いますが、残念ながらこの核兵器国は一国も参加していない、こういった状況にあります。外務大臣、4年8か月経験する中で、核兵器のない世界に向けて現実を動かしていくためには、現実に核を持っている国、これが変わらなければ何も現実は変わらないという思いを強く持っておりました。よって、我が国としては、唯一の同盟国である米国、世界最大の核兵器国である米国、これを動かしていく、こうした努力をしていくことが唯一の戦争被爆国の責任として重要であると認識しています。そして、まずは米国との信頼関係をしっかり核兵器のない世界に向けて築いた上で、様々な活動を考えていくべきであるということを申し上げています。それができる前にオブザーバー参加ということについては、我が国としてこれは慎重でなければならないというのが私の考え方であります。
そして、先日、米国からオブザーバー参加しないようにという要請を受けたという御指摘がありましたが、日米の間でどういったやり取りをしているのか、これについては、結論についてはしっかりと外交上、国民の皆さんに説明するというのが常識ですが、それまでのやり取りとか経緯について何か申し上げるのは控えなければならない。これが相手国との関係、外交の常識であると認識をしています。よって、具体的なやり取りについては申し上げませんが、米国との間において緊密に意思疎通を図って信頼関係を作っていく。これはトップの間だけではなくして、あらゆるレベルでこうした意思疎通を図っていく、こうしたことは大事なのではないかと考えます。
以上です。
(内閣広報官)
それでは、その次、山本さん。
(記者)
テレビ朝日の山本です。よろしくお願いします。
総理、日中関係についてお伺いします。北京の冬季大会、この対応も現在検討が進められていると思いますけれども、来年は日中国交正常化50周年の節目の年でもあります。総理は先ほど、来年は首脳外交を進める1年にしたいとおっしゃっていましたけれども、習近平主席との会談、あるいはその日中関係、これについては今後どういうふうに進めていくお考えでしょうか。
(岸田総理)
日中関係についてですが、まず、結論からいって、首脳会談等は、今、何もまだ決まっていない、予定はないということであります。ただ、日中関係、これは我が国にとりまして大変重要な二国間関係である、これは言うまでもないわけです。
中国に対して、自由や民主主義、法の支配、人権といった普遍的な価値に基づいて言うべきことはしっかり言う。さらには、東シナ海を始め、我が国の国益に関わる課題についてはしっかり物を言っていく。これは重要なことだと思います。こうした言うべきことはしっかり言いながら、日中関係、この大切な二国間関係をいかにコントロールしていくのか。これが我が国の国益として大変重要であると思っています。
是非この日中関係において言うべきことは言いながら、安定的な関係を実現するべく努力を続けていく、こういった姿勢は大切であると思っています。こういった基本姿勢に従って、来年、日中国交正常化50年、こうした年に向けてどうあるべきなのか、しっかり外交を考えていきたいと思っています。
以上です。
(内閣広報官)
それでは、次に、秋山さん。
(記者)
日本経済新聞社の秋山です。
経済政策についてお尋ねします。冒頭発言でもありましたが、デジタルとか、気候変動とか、成長戦略の施策を掲げていらっしゃいますが、これを具体的に日本の成長力の底上げにどのようにつなげていくのか、その辺の道筋を教えていただきたいのと、政府はGDP(国内総生産)600兆円を目指すという目標があったかと思うのですけれども、これについては今どのようにお考えで、目指すのであればいつ頃を目標とされるのか、その辺を教えてください。
(岸田総理)
まず、成長については、これまで安倍政権においても菅政権においても様々な政策努力を続けてきました。過去10年ということで振り返っても、コーポレートガバナンス改革、規制改革、労働市場改革、エネルギー市場改革、社会保障改革など、政権の総力を挙げて政策努力をしてきたところです。そして、今、申し上げている成長と分配の好循環、これを本格的に回すためにも成長は不可欠であり、私の内閣においても成長のための施策、総力を挙げて取り組んでいきたいと思っています。
そして、その際にデジタルあるいはグリーンなど世界的な経済社会全体の急速な変容、また、人的投資やスタートアップ、あるいはイノベーション、こうした重要性が飛躍的に高まっている、こうした世界全体の大きな流れに沿って我が国の成長力を底上げしていきたいと考えます。
そのためには、市場機能だけに任せるのではなくして、官民が協働し、外部不経済の克服、あるいは無形資産の投資、こうしたものをしっかりと加速化する、こうしたことが鍵になると考えております。新しい資本主義実現会議において、こうした大きな絵をしっかり示していきたいと考えます。
そして、GDP600兆円について御質問がありましたが、まずは我が国においては、コロナ前の水準に我が国の経済をしっかり戻していく、立て直していく、これにしっかり専念しなければならないと思います。もちろん中身はコロナ前とは違うわけですが、少なくとも数字的にもコロナ前にしっかり戻していく、そして更なる高みを目指していく、そういったことではないかと私は考えています。
(内閣広報官)
それでは、手柴さん。
(記者)
共同通信の手柴です。よろしくお願いします。
来年夏には参院選が予定されていると思うのですけれども、総理は参院選の目標、勝敗ラインをどのようにお考えかというのと、また、参院選で総理が設定される目標を達成すれば総理の続投というのは当然のことだと思うのですが、過去の総理は参院選で敗北した際に、続投する総理、もしくは退陣する総理と対応が分かれていると思うのですけれども、総理御自身は参院選と進退の関係はどのように位置づけていらっしゃいますでしょうか。よろしくお願いします。
(岸田総理)
参議院議員選挙について御質問いただきましたが、参議院議員選挙は来年の夏でありますので、まだ半年以上先のことです。半年以上先の選挙について勝敗ラインとか身の処し方を申し上げるというのは、ちょっと気が早過ぎるのではないかとも感じています。
参議院議員選挙に向けては、まずは今の政権に課せられた課題、コロナ対策ですとか、日本の経済の再起動ですとか、そして外交・安全保障、こうした重大な課題についてどう向き合って、どう結果を出していくのか、それをまず考えていくべきではないかと思います。その上で、しかるべき時期が来たら勝敗ラインですとか身の処し方という話が出てくるのかと思います。まずは今の政権においてやるべきことをしっかりやり、そして、より具体的に結果を出して、国民の皆さんから信頼や共感をいただけるような政治を進めていくことが大事ではないかと考えます。
(内閣広報官)
次に桐生さん。
(記者)
宮城県の河北新報社の桐生と申します。
本日、内閣府が日本海溝・千島海溝地震について被害想定を公表しました。最大で19万人が亡くなるという被害であって、ただ、一方で津波避難タワーを整備することで大体8割の被害を抑えることができるとされています。ただ、現行の特措法では、こういったタワーなどを整備する財源というものが裏付けがございません。こういった財源措置には特措法の改正というのが必要になってくると思うのですけれども、来年の通常国会で取り組むお考えはありますでしょうか。お願いします。
(岸田総理)
まず、御指摘の日本海溝・千島海溝で起きる巨大地震の被害については、今回公表された最大死者数約19万9,000人という被害想定、これは最大クラスの地震が発生した場合における最悪のケースであると承知しています。東日本大震災の教訓を踏まえ、何としても命を守ることを主眼として、防災対策を検討するために推計したものであると承知をしています。
重要なことは、巨大地震が発生した際に起こり得る事象を正しく恐れるということであり、防災教育・訓練の充実、避難路・避難施設の整備、この防災対策を徹底することによって被害を大幅に減らすことができる、こうしたことも今回の報告の中に含まれているということであります。そして、減らすために、今、御指摘があったように、様々な設備、インフラが必要であるということで、財源が確保できるのかという御質問だったわけですが、人の命や暮らしを守る、これは政治にとって最も大切な課題であり、使命だと思っています。そのために必要なものがあるとしたならば、これは当然のことながら法改正をしてでも用意するということなのだと思います。実際、何が必要なのか、何が求められるのか、これについてはいま一度しっかり確認をしたいと思いますが、一般論として申し上げるならば、今、申し上げたとおりではないかと思います。
今回発表された被害想定を踏まえて、中央防災会議の下に設置したワーキンググループにおいて最終報告をまとめ、防災・減災対策が着実に進められるよう、今後速やかに必要な措置を講じていくとされておりますので、その過程の中で何が必要なのかしっかりと検討し、国民の皆さんの安心につなげていきたいと思います。
以上です。
(内閣広報官)
それでは、国貞さん。
(記者)
京都新聞の国貞と申します。
選挙関連なのですけれども、一票の較差を是正するいわゆる衆議院小選挙区の10増10減についてお伺いします。
総務省は先月、2020年国勢調査の確定値公表を受けて試算した衆議院の都道府県定数を明らかにしました。人口の多い東京など首都圏を中心に5都県で定数が10増える一方、宮城とか滋賀とか、あと総理の地元である広島とか、10県では各1ずつ減るということになるため、地方の声がより国政の場に届きにくくなるのではないかというような指摘もあります。先日、自民党のほうでも会合で3増3減という、そういう案も出たようですけれども、総理は10増10減の定数配分を予定どおり次の衆院選に向けて進めるべきだというふうにお考えでしょうか。
それと併せて、地方選出の国会議員が減っていくということになれば、一段と過疎化が進んだり、都市と地方の偏在というものが進む懸念もあるわけですけれども、そういう危惧について総理はどのようにお考えでしょうか。
(岸田総理)
まず、おっしゃるように定数については様々な議論があります。正に自民党の憲法改正4項目のたたき台素案の一つの一票の較差の問題について問題提起したものであると思います。こうした議論はあるのだと思いますが、ただ、政府の立場から言いますと、現行の法律、これをしっかりと履行し、対応していかなければならないと思います。2016年に議員立法で改正された衆議院議員選挙区画定審議会設置法、これでは大規模な国勢調査が実施された場合の都道府県別定数配分の計算方式として、いわゆるアダムズ方式が規定されている。そして、それを2020年の国勢調査に当てはめた場合に10増10減となって、そして来年6月までに、この関係審議会が区割り改定案を勧告する、こういったことになっていると承知をしています。政府としては、その勧告に基づく区割り改定法案を粛々と国会に提出するというのが現行法に基づく対応であると認識をしております。
2016年のこの設置法の改正案も議員立法でありますので、様々な議論があるのかもしれませんが、政府の立場から申し上げるならば、今言った姿勢で、法律に基づいて取り組んでいくことを想定しているということであります。
(内閣広報官)
それでは、大変恐縮ですが、あと2問とさせていただきます。
江川さん。
(記者)
フリーランスの江川紹子と申します。よろしくお願いします。
さっきの中国新聞の方の質問のお答えがちょっとよく分からなかったので、ちょっと確認をしたいのが1つあります。
それは、核兵器禁止条約のオブザーバー参加の問題で、まずはアメリカと信頼関係を構築していくということをおっしゃったのですけれども、なぜオブザーバー参加をするとアメリカとの信頼関係が構築できないのかというのがよく分からなくて、ドイツができるのに日本の岸田首相ができないはずがないというふうに思うのですけれども。
(岸田総理)
ドイツはどういった形でオブザーバー参加をし、そして米国と信頼関係を築くのか、それは承知しておりませんが、日本としては、バイデン大統領との間、バイデン大統領自身も、自らの大統領選挙において核兵器のない世界を目指すと。これを明言された大統領ですので、そのバイデン大統領との信頼関係を築くことによって、アメリカ自体も動かすことができるのではないか。日本も信頼関係を作ることによってしっかり役割を果たすことができるのではないか、こういったことを申し上げています。
オブザーバー参加については、いろいろな意見があります。それについても、まずは信頼関係を作ってから、オブザーバー参加ということについても考えるべきではないか。先ほどもあったように、私自身、対面での首脳会談は是非実現したいと模索しているところですので、今の課題も含めて、まず信頼関係を作って、それから考えたいということを申し上げさせていただいております。
(記者)
いや、それで、その外交なのですけれども、私がこれから伺いたいことは、その外交のテーマに、この人権というのがすごく大事なテーマになってきておりますね。先ほどもおっしゃいました。首相補佐官に国際人権問題担当の方も置かれたということもありました。
人権という普遍的な価値観を重視していくというのは、私もすごく大事だと思います。同時に、そうなると、日本の国内の人権状況も気になるところでありまして、例えば他国の人権状況について意見をすれば、おたくはどうなのかということにもなるわけです。例えば入管の収容施設で命や人権に関わる問題が起きているとか、あるいは収容の判断に司法の関与がなされるべきだとか、あるいは難民と認められるべき人が認められていないとか、いろいろな指摘がございます。それ以外にもいろいろな様々な人権問題があり、この日本の人権、国内の人権状況についてどうお考えになるのか。そして、国内の人権問題担当の補佐官も置いて、国内の人権についての施策をより重視していくというお考えはないでしょうか。よろしくお願いします。
(岸田総理)
御指摘は大変重要なことですし、だから、人権担当の補佐官を設けた。これは別に、外国に対して物を言うだけのための補佐官ではなくして、人権問題は国の内外に関わる、それから各省庁の所管にまたがる大変幅広い課題でありますので、国内においても、そして海外においても、この省庁の縦割りを排して、この問題に取り組むために、総理の下に人権担当の補佐官を置いたということですので、問題意識は、今おっしゃったこと、私も共有をしています。
現実、なかなかこの人権問題、大事であるがゆえに、これは難しい課題がたくさん山積しています。ただ、そういった問題に対する問題意識はしっかり掲げながら、できるだけ多くの方々の力も頂きながら、少しでも前進させるべく努力をしていきたい。このように思っています。一つ一つ、そういった課題に取り組んでいきたいと考えます。
(記者)
では、補佐官は外向きだけではなくて、国内も含めての補佐官だということですか。
(岸田総理)
だから、省庁はほとんど国内の省庁ですから、そういった課題はいろいろ持っています。こういった課題も含めて、しっかり考えてもらいたいと思っています。
(内閣広報官)
それでは、最後の質問、では、西村さん。
(記者)
ラジオフランス及びリベラシオン新聞、西村と申します。よろしくお願いします。
水際対策について質問させていただきます。1年8か月前からほとんどの外国人、留学生は日本に入国できません。彼らにとっては、もう限界です。諦めている人は結構増えています。なぜ、例えば施設で1か月隔離、ワクチンパスポート、毎日PCR検査など厳しい条件をつけて、入国を認めませんか。物理的に不可能でしょうか。
(岸田総理)
外国の方の入国については、もちろんいろいろな対応が考えられると思いますが、それはオミクロン株という未知のリスクの実態、少なくとも、今までの私たちの経験の中で、どのぐらいのリスクがあるのか。これが確認できた上で考えていかなければならないと思います。
現状、まだまだ科学的に確認できていない状況でありますので、この段階においては慎重の上にも慎重でなければならないということで、G7の中でも最も厳しい水際対策を用意させていただいている、こういったことです。
今後、オミクロン株の実態が明らかになってくる。あるいは世界の感染状況が明らかになってくる、こういったことが確認されれば、科学的な見地から、専門家の意見も聞きながら、具体的な対応を考えること、可能性はあるとは思いますが、現状においては、この慎重の上にも慎重の上に、最悪の事態を想定して対応を考えていかなければならないと思っています。
こういった対応をとりながら、情報収集、そして国内対策、しっかり用意していきたいと思っています。現状はそういう方針を続けたいと考えています。
(内閣広報官)
それでは、恐縮ですが、現在、挙手いただいている方につきましては、後ほど1問、担当宛てにメールでお送りください。後日、書面にて回答させていただきます。
以上をもちまして、本日の記者会見を終了させていただきます。
御協力ありがとうございました。