金利が下がると株価が上昇するという論理は、ドットコム・バブル破裂、金融危機、そして新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)に対応した各利下げサイクルなど、過去の事例で実証済みです。しかしその逆、つまり金利が上昇すると株価が下がるという見方に、ブルームバーグ・オピニオンのコラムニスト、ニール・カイザー氏は異論を唱えます。1954年以降13回に及ぶ利上げサイクルのうち、S&P500種株価指数がインフレを相殺するほどに上昇しなかったのは2回だけ。景気が弱い中で制御不能なインフレへの対応を余儀なくされた1970年代と80年代初期だけだと指摘しています。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
戦略変更か
米エヌビディアはソフトバンクグループ傘下の英半導体設計会社アームの買収を断念する方向で調整していることが、複数の関係者への取材で分かった。関係当局の認可が下りないことから、総額400億ドル(4兆5500億円)規模の案件の実現が難航していた。エヌビディアは関係各方面に買収が完了することは期待していないと語ったという。一方、ソフトバンクGはエヌビディアによる買収の代替案として、アームの新規株式公開(IPO)の準備を進めていると別の関係者は語った。
冷静を訴え
ウクライナのレズニコフ国防相はロシアによる本格的な侵攻のリスクについては深刻視していない姿勢を示した。ロシアの脅威は8年前から大きく変わっていないと主張し、最近の緊張の高まりは国際メディアに一部責任があると指摘した。同相は戦争を前提としたレトリックに反発し、冷静さを求めた。バイデン米政権は、ロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻の準備をしている恐れがあると警告している。一方でレズニコフ氏は、そうした規模での攻撃が差し迫っている訳ではないと指摘。「現時点でロシア軍は侵攻を実行できるような攻撃部隊を編成していない」と記者団に語った。
半導体不足
バイデン政権は世界的な半導体不足が少なくとも2022年下期も継続するとの調査結果をまとめた。自動車やコンシューマーエレクトロニクスなど米国のさまざまな業界で、半導体不足の長期化が確実だという。レモンド商務長官は自動車用と医療機器用の半導体価格が不当につり上げられている可能性があるとの報告について、当局が調査する計画だと明らかにし、「半導体の供給問題に関して、危機を脱したと言える状況にはまだ近づいてもいない」と述べた。
右肩下がり
国際通貨基金(IMF)は2022年の世界成長見通しを4.4%と、昨年10月時点で見込んだ4.9%から下方修正した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が3年目に入る中で、米国と中国の見通し軟化と当初想定より長引きそうなインフレを理由に挙げた。22年の日本の実質国内総生産(GDP)の成長率見通しはプラス3.3%と、昨年10月の予想から0.1ポイント上方修正した。想定される金融政策面からの支援継続などが景気回復を促すとみている。
課題と功績
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の2期目とレガシーは、経済を過熱から救うことができるかどうかに左右されるだろう。労働市場の回復を失速させることなく、過去数十年ぶりの物価高をどのように沈静化させるかという難題に対処している。失敗のリスクは大きい。物価抑制に性急に動けば新たなリセッション(景気後退)を招く一方、動きが遅過ぎれば高インフレの定着につながる。マクロポリシー・パースペクティブズのジュリア・コロナド氏は米連邦公開市場委員会(FOMC)として金融情勢への量的引き締め(QT)の影響や「利上げとの同等効果を巡ってはそれほどコンセンサスがない」と語った。
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