インフレの時代に家計を最も圧迫するのは、切り詰めようのない家賃ではないでしょうか。金融政策は「敏しょう」でなくてはならないとパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が表明しても、家賃は長ければ2年先まで契約で決まっています。コロナ禍前の生活に戻る過程にあるニューヨークでは、マンハッタンで家賃3000ドル(約35万円)未満のアパートを見つけるのは絶望的です。同時にウォール街では人材引き留め策としての報酬引き上げ競争が激化。こうした波が家賃を上昇させ、賃金インフレのサイクルを形成する兆候が出てくるかどうかも含め、各種経済統計が注目されます。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
50ベーシス
米アトランタ連銀のボスティック総裁は英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)とのインタビューで、インフレ抑制でより積極的なアプローチが必要な場合、政策金利の50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き上げを選択することもあり得るとの見解を示した。3月から計3回の25bp利上げが最も可能性の高いシナリオだとしながらも、消費者物価が高止まりする場合、より大きな幅の利上げを正当化し得るとした。賃金の伸びは今後数カ月に鈍化するとみているものの、賃金上昇が物価を有意に押し上げるかどうかに注目していると語った。
侵攻前に制裁も
ロシアはウクライナ国境地域に集結させている部隊を週末さらに増強しており、プーチン大統領が侵攻を決定した場合の選択肢を増やしたと、米国防総省のカービー報道官が述べた。米上院はロシアに対する制裁の詳細を詰めており、プーチン大統領がウクライナに軍隊を送る前の段階で科す制裁も含まれると、上院外交委員会のメネンデス委員長がCNNで述べた。一方でロシアのラブロフ外相は国営テレビで、他国の安全保障を損なうような自国の安全保障強化を否定した欧州安保協力機構 (OSCE)の義務について、北大西洋条約機構(NATO)とOSCEの加盟国がどう守るつもりなのか説明を求めると述べた。
中国景気の温度
中国国家統計局が発表した1月の製造業購買担当者指数(PMI)は50.1と、ブルームバーグ集計のエコノミスト予想中央値の50をかろうじて上回った。季節的な活動鈍化や新型コロナウイルスの感染急増、住宅販売の低迷などが企業活動の重しとなっている。建設業とサービス業を対象とする非製造業PMIは51.1に低下したが、市場予想はやや上回った。同日発表された民間の財新製造業PMIは1月に49.1に低下し、約2年ぶりの低水準となった。
安定のコンビ
イタリアのマッタレッラ大統領が再選された。ドラギ首相は留任することになり、投資家の間で安心感が広がりそうだ。ドラギ政権は2023年までに行われる次回選挙までに改革を推進する時間的余裕を得る。引退の意向を表明していたマッタレッラ氏はローマで新たな住まいまで借りていたが、ドラギ氏に続投を要請され、行き詰まりを打破するために応じた。
25bpを5回
ゴールドマン・サックス・グループのエコノミストは連邦公開市場委員会(FOMC)が今年、25bpの利上げを5回行うと現時点で予想している。以前は4回の利上げを見込んでいた。6月にはバランスシート圧縮開始が発表されると見込む。ゴールドマンはリポートで、「賃金の伸びがFRBのインフレ目標と合致する水準を上回って推移していることを示す証拠が強まった」とし、「パウエル議長のコメントは、FRB指導部がより積極的な引き締めペースにオープンな姿勢であることを明確にした」と指摘した。
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