1月の米雇用者数は市場予想を上回る増加となった。新型コロナウイルスの感染拡大やそれに伴う事業の一時休止にもかかわらず大きな伸びを見せ、2022年に入っても雇用の勢いが続いていることが示された。賃金も予想を超える伸びを示し、米金融当局に利上げを求める圧力が強まった。
キーポイント |
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・非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比46万7000人増 ・ブルームバーグ調査のエコノミスト予想全てを上回る-予想中央値は12万5000人増 ・昨年12月と11月も上向きに修正され、両月合わせて70万9000人の上方修正 ・家計調査に基づく失業率は4%に上昇-前月3.9%市場予想3.9% |
1月の雇用統計では新型コロナのオミクロン変異株感染拡大や季節調整、体調を崩して自宅で療養している人を統計上どう扱うかなど、さまざまな要因からデータの解釈が難しくなっている。ただ1月の大幅増に加え、昨年11月と12月の雇用者数も大きく上方修正されたことは、労働市場が新たに勢いを得ていることを示している。
市場は、米当局による年内6回目の0.25ポイント利上げの可能性もわずかながら織り込み始めた。3月の利上げは引き続き確実視されており、利上げ幅については0.5ポイントの確率がやや高まってきている。
ムーディーズ・アナリティクスの金融政策調査責任者、ライアン・スイート氏は「今回の統計により3月の利上げは決定的となった」としつつ、利上げ幅が0.5ポイントとなる可能性はなお低いと付け加えた。その上で「金融当局はこの統計から、米経済が完全雇用に向けて勢いよく前進するとの結論に至るだろう。当局が巧みにソフトランディング(軟着陸)に導くのは一層困難になりそうだ」と述べた。
労働参加率は、最新の人口推計を反映させた調整後ベースで62.2%に上昇。反映させない調整前ベースでは61.9%と前月から変わらずだった。
平均時給は前月比0.7%増と、20年12月以来の大きな増加率。前年同月比では5.7%増で、いずれも市場予想を上回る伸びとなり、根強いインフレへの懸念をあおる格好となった。週平均労働時間は減少した。
賃金が予想以上の伸びとなったことから、米金融当局が今年インフレ抑制に向けて一段と積極的な姿勢で臨むとの懸念が強まる可能性がある。
雇用者数の伸びは予想より良かったものの、オミクロン変異株の感染拡大は1月の労働市場に極めて大きな影響を与えた。雇用されているが病気により働けなくなった人は360万人と、12月の2倍余りに上った。また、コロナ禍を理由に雇用主が事業を休止または閉鎖したことで働けなかった人は1月に600万人と、こちらも前月の約2倍となった。
1月は幅広い分野で雇用の伸びが見られた。特に増えたのは娯楽・ホスピタリティーの分野で15万1000人増。このほか運輸・倉庫、小売り、プロフェッショナル・ビジネスサービスでも堅調な伸びとなった。
統計の詳細は表をご覧ください。
原題:U.S. Jobs Surge Defies Omicron, Puts More Pressure on Fed(抜粋)