日本銀行の黒田東彦総裁は16日、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策における長期金利の許容変動幅の上限0.25%について、「今は変えるつもりはないが、未来永劫(えいごう)絶対変えられないものではない」と語った。衆議院予算委員会・第一分科会での階猛氏(立憲民主)への答弁。
総裁は、指定した利回りで国債を無制限に買い入れる「指し値オペ」を3年半ぶりに発動した理由について、日本の長期金利の動きが、海外の長期金利上昇を受けて「やや急速に上がった異例の状況だった」と説明。今後も同様の状況になれば「当然、こうしたツールを使う」と上限を堅持していく考えを示した。
今回の指し値オペへの応札はなかったが、YCCでの国債買い入れ額の動向は「市場動向と国債需給で変わり得る」と指摘した。適切なイールドカーブに関しては、20年や30年といった超長期金利の低下は、景気刺激効果が限定的な一方、年金基金などの収益を悪化させるとし「極度にスティ―プ化する必要はないが、一定の傾きをもって長期ほど金利が高い形にする必要がある」と説明した。
日本の物価上昇率が0.5%程度にとどまる中で「金利を上げる必要があるとは考えていない」と改めて強調。大規模緩和は物価目標の早期実現に必要な措置であり、「間違っているとは思っていない」とし、目標未達の責任について「何かそれ以上のことを責任を取れといわれても、そうした立場にない」と語った。
他の発言
- 強力緩和継続が2%目標達成に最も適切
- YCCの下での国債買い入れは目標実現に必要な政策
- 大規模緩和は企業倒産減で金融機関の信用コスト減に寄与
- 大規模緩和なければ、経済停滞で金融機関経営にマイナス
- 気候変動オペは金融機関収益や緩和副作用への対応ではない
- 現時点で緩和からの出口を検討する段階にない