【ソウル時事】韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮は27日、平壌の順安空港一帯から日本海に弾道ミサイルと推定される飛翔(ひしょう)体1発を発射した。北朝鮮によるミサイル発射は今年8回目。岸信夫防衛相は、飛翔体が最高高度約600キロで約300キロ飛び、日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下したとの分析を明らかにした。
北朝鮮は1月に7回にわたってミサイルを発射。直近では同月30日に中距離弾道ミサイルを発射していた。友好国の中国に配慮する形で今月4日の北京冬季五輪開幕後はミサイル発射を自制したが、閉幕を受けて活動を再開させた。潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の地上発射型中距離ミサイル「北極星2」などを高角度の「ロフテッド軌道」で発射した可能性も指摘されている。
韓国大統領府は国家安全保障会議(NSC)常任委員会を緊急招集し、「深い懸念と厳重な遺憾」を表明。「ウクライナ戦争を解決するため全世界が尽力している状況で、決して望ましくない」と批判した。米国務省報道担当官は北朝鮮の弾道ミサイル発射が「国連決議違反だ」と非難し、核・ミサイル問題の解決に向けて北朝鮮に対話に応じるよう求めた。
ウクライナ情勢に米国をはじめ国際社会の注目が集まる中、自らへの関心を喚起するとともに、着々とミサイル能力向上を図っているもようだ。北朝鮮は4月15日に故金日成主席の生誕110周年を迎える。制裁や新型コロナウイルス対応で経済が苦境にある中、軍事面で成果を誇示しようとしているとみられる。また1月には、凍結している核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射の再開を示唆している。