ロシアは2月24日、ウクライナに対する軍事侵攻に踏み切り、ロシア軍とウクライナ軍の戦闘が続いています。
現地の戦闘の状況や、関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる3月1日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

G7財務相 中央銀行総裁 ロシア経済制裁 連携継続で一致

ウクライナ情勢をめぐり、G7=主要7か国の財務相・中央銀行総裁会議が、日本時間の1日夜、オンラインで開かれ、軍事侵攻を続けるロシアへの経済制裁の効果が最大限発揮されるよう連携を続け今後も速やかにさらなる行動をとることで一致しました。

また、会議では冒頭、ウクライナのマルチェンコ財務相も参加し、G7各国の経済支援に対して謝意が示され、ウクライナ政府や国民との連帯を確認したということです。

ロシア外相演説前に各国代表が退席 国連人権理事会

スイスのジュネーブで開かれている国連の人権理事会で1日、ロシアのラブロフ外相のビデオ演説にあわせて、多くの国の代表が一斉に退席し、軍事侵攻に抗議の意思を示しました。

退席した各国の代表らはロビーでウクライナの大使を囲むように集まり、大使がウクライナの国旗を掲げながら「ロシアがウクライナにしたことは、国連そのものに対する攻撃だ。国連は憲章の原則を守るため、極めて厳しい立場を取らなければならない」と訴えました。

一方、ロシアのラブロフ外相はこのビデオ演説の中で、EU=ヨーロッパ連合が移動の自由を認めなかったことで対面での出席ができなかったと批判するとともにロシアの正当性を主張しました。

キエフ 地下のシェルターの仮設診療所で産まれた赤ちゃん 

ウクライナの首都キエフでは地下シェルター内の仮設の診療所で女性が赤ちゃんを出産しました。

首都キエフに住むイバン・コロルさんは先月25日、生まれたばかりの娘を抱いた写真をSNSに投稿しました。

コロルさんは「防空警報やサイレンが鳴り響くなか、妻は娘を出産しました。困難のなか、まるで暗闇の中に輝く星のようです」とのコメントを添えています。

コロルさんはNHKの取材に対して「地下は気温が0度ほどととても寒かったです。いまは別のシェルターに避難していますが、何度もサイレンが鳴り、寝ることができません。ぜひウクライナの状況を日本の皆さんに伝えてほしいです」とのメッセージを寄せました。

ロシア人の世界的指揮者 ゲルギエフ氏解任 ドイツ ミュンヘン

ドイツのミュンヘン市は1日、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団で首席指揮者を務めるロシア人で、世界的な指揮者のワレリー・ゲルギエフ氏を解任したと発表しました。

ロイター通信などによりますと、ミュンヘン市はゲルギエフ氏に対してロシアによるウクライナへの軍事侵攻に対して明確に反対するよう求めたものの返答がなく、解任を決めたということです。

ゲルギエフ氏はロシアのプーチン大統領の長年の友人として知られ、先月アメリカ・ニューヨークで行われたウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の公演で指揮をする予定でしたが、そちらも公演の開始前日に交代が発表されました。

ウクライナから国外避難 67.7万人に UNHCR

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のグランディ難民高等弁務官は1日の記者会見で、ロシアによる軍事侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は、前日から15万人増えて67万7000人にのぼったと明らかにしました。

このうち半数がポーランドに避難したということです。

このほか、ハンガリーがおよそ9万人、モルドバがおよそ6万人、スロバキアがおよそ5万人、ルーマニアがおよそ4万人としています。

「インド人の学生が砲撃を受けて死亡」インド外務省

インド外務省の報道官は1日、ツイッターに「けさハリコフでインド人の学生が砲撃を受けて死亡したことを深い悲しみとともに確認した」と投稿しました。
ただ、どのような状況で砲撃を受けたのかなど、詳しいことは明らかにされていません。

インドとロシアは長年、友好関係にあり、軍事面での結びつきも強いことから、先月25日に国連安保理でロシア軍の即時撤退などを求める決議案が採決にかけられた際にはインドは棄権し、ロシアに対する制裁にも慎重な姿勢を示しています。

学生が死亡したニュースをインドのメディアは大きく伝えていて、今後ロシアの軍事侵攻に対する批判の声が国内で強まることも予想されます。

欧州議会 ウクライナ大統領がEU加盟へ支持訴える

ヨーロッパ議会では1日、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について討論が行われ、冒頭、ゼレンスキー大統領がオンラインで演説しました。
この中でゼレンスキー大統領は「われわれは国と自由のためにたたかっている。EUに加盟するためにもたたかっている。EUなしにはウクライナは孤立する。われわれはみずからの強さを示した。どうかわれわれとともにいることを示してほしい」と述べてEU加盟への支持を訴えました。

このあと登壇したEUのフォンデアライエン委員長は「EUとウクライナの関係はかつてなく深まっている。まだこの先、道のりは長い。まずこの戦争を終わらせ、その次のステップについて話をしなければならない。しかし、われわれヨーロッパの価値観のためこれほど勇敢に立ち上がった人たちがヨーロッパの一員でないとは誰も思わないだろう」と述べ、ウクライナの将来的な加盟を支持する立場を示しました。

米バイデン大統領 岸田首相に謝意

政府関係者によりますと、アメリカのバイデン大統領から28日、岸田総理大臣に対し、ウクライナ情勢での一連の日本政府の対応に謝意を示す書簡が送られたということです。

この中では「ロシアにおけるウクライナ侵略への対応における岸田総理大臣のリーダーシップに特に感謝している。日本の強力な対応は、ロシアによる理不尽で不当な攻撃に対し、国際社会が連帯して立ち向かうメッセージとなった」としています。

ロシア大統領府 ゼレンスキー氏「ウクライナの大統領だ」

ロシア大統領府のペスコフ報道官は1日、ロシアは、ゼレンスキー氏をウクライナの大統領と見なしているのかと記者団に聞かれたのに対して「そうだ。ウクライナの大統領だ」と述べました。プーチン大統領は先月25日、ウクライナ軍に対して、ゼレンスキー政権を見限り、権力を奪取するよう促す発言をしていましたが、ゼレンスキー政権との間で、交渉を継続する意思を示したものとみられます。

日仏首脳が電話で会談 強力な制裁の必要性を確認

岸田総理大臣とフランスのマクロン大統領が今夜、電話で会談し、ロシアによる軍事侵攻は、ヨーロッパにとどまらず東アジアを含む国際秩序全体を揺るがす事態だという認識を共有し、強力な制裁措置をとっていく必要性を確認しました。

ウクライナの駐米大使「ロシア軍が燃料気化爆弾を使用」と非難

アメリカに駐在するウクライナのマルカロワ大使は2月28日、首都ワシントンで記者団に対し「ロシア軍が燃料気化爆弾を使用している」と主張し、強く非難しました。

「燃料気化爆弾」は猛烈な爆風と熱が発生する威力の強い爆弾で、以前から人権団体などが規制すべきだと批判しています。

中国外務省「死傷者が出ていることは遺憾」

中国外務省の汪文斌報道官は、1日の記者会見で「死傷者が出ていることは遺憾で、現在の状況はわれわれが目にしたくなかった事態になっている。当面の急務は関係国が自制し、ウクライナ情勢がさらに悪化して制御できなくなることを防ぐことだ」と述べ、各国に改めて自制を促しました。その上でロシアとウクライナの名指しを避けながらも「民間人の生命と財産、そして安全は守られるべきであり、とりわけ大規模な人道的危機が起きることを防がなければならない」と述べ、懸念を示しました。

ウクライナ ハリコフの州知事“ミサイル攻撃受けた”SNSに投稿

ウクライナ第2の都市ハリコフの州知事は1日、自身のSNSに投稿し、中心部や住宅街がロシア軍によるミサイル攻撃を受けたと明らかにしました。

投稿された映像では、州政府の庁舎が、ミサイルによるものと見られる攻撃を受け、大きな爆発が起きています。

あたりは一面が吹き飛ばされ、がれきが散乱する様子が映されています。

今のところ死傷者がいるかなど詳しい状況は分かっていないということです。

ウクライナ内務省の高官は一連のロシアによる攻撃で少なくとも10人が死亡し、35人がけがをしたとしています。

今回の攻撃についてゼレンスキー大統領はビデオ声明を発表し「ミサイルはロシア西部のベルゴロド州から発射されたもので、これは戦争ではなくロシアによる国家テロだ」と強く非難しました。

ウクライナのクレバ外相はツイッターに投稿し、「ハリコフで中央広場と住宅街がミサイルの攻撃を受けた。プーチンは、多くの市民を殺害し戦争犯罪を重ねている。圧力を強めて、ロシアを孤立させてほしい」と訴えました。

永世中立国のスイス ロシアへの制裁適用を発表

スイス政府は28日、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐり、プーチン大統領やラブロフ外相の資産を凍結するなど、EU=ヨーロッパ連合が科した制裁を適用すると発表しました。

また、ロシアを出発する航空機に対しては外交や人道的な目的を除いて領空の飛行を禁止するとしています。

スイスは永世中立国ですが、声明では「ロシアがヨーロッパの主権国家に対して前例のない軍事侵攻を行ったことが、これまでの姿勢を変える決め手になった」としています。

ウクライナ EU加盟申請めぐりさまざまな反応

ウクライナのゼレンスキー大統領が28日、EU=ヨーロッパ連合に正式に加盟を申請したことについて、EU側の公式な反応はまだありません。

EUのフォンデアライエン委員長は27日、フランスに拠点を置くテレビ局とのインタビューで「いずれ、ウクライナはわれわれの一員となる。彼らに加わってほしい」などと述べ、加盟を支持すると受け取ることができる発言をしました。

これについてEUの報道官は「委員長の発言は、ウクライナがヨーロッパの国だという意味だ。委員長はあわせて、加盟には手続きがあるとも述べていて、これが重要なポイントだ」と強調し、実際の加盟までには時間がかかることを示唆しました。

一方、東ヨーロッパのチェコやポーランド、バルト3国など8か国の大統領は28日、公開書簡を発表し、「ウクライナはすぐにEUに加盟できるという展望を示されるに値する」として、すみやかにウクライナとの加盟交渉を始められるよう各加盟国に支持を訴えました。

ゼレンスキー大統領がビデオ声明「ロシア側から合図受け取った」

28日に行われたロシアとウクライナの代表団による会談のあと、ウクライナのゼレンスキー大統領はフェイスブックにビデオ声明を投稿し、「私たちが望むような結論はまだ出ていない。ロシアはみずからの立場を主張し、停戦のための議論をした。ロシア側からは確かな合図を受け取った。キエフに交渉団が戻ったら、分析をしたうえで、2回目の交渉をどのように進めるか決断する」と述べました。

米 民間企業 「キエフから約27キロ」ロシア軍車列の画像公開

衛星を運用するアメリカの民間企業「マクサー・テクノロジーズ」は現地時間28日の午前11時に撮影されたロシア軍の車列の画像を公開し、「ロシア軍の車列の先頭は、ウクライナの首都キエフの中心部から北西におよそ27キロ離れたアントノフ空港に沿った高速道路上にある」と分析しました。

また、ロシア軍は、この27日に撮影された画像と比較すると、キエフに向けてさらに南下したとしていて、車列には、装甲車や戦車など数百台の車両が加わっており、その長さは20キロ以上に及んでいるとしています。

米国防総省「(侵攻は)想定よりも数日遅れている」

アメリカ国防総省のカービー報道官は28日、記者会見で、ロシアによるウクライナへの侵攻について「彼らが想定していたよりも数日遅れている」と述べてロシア側の計画どおりに進んでいないとの見方を示しました。

その理由についてカービー報道官は、ロシア軍の部隊がウクライナ側から想定していた以上の激しい抵抗を受けているのに加えて、燃料など作戦に必要となる物資の不足に直面していると指摘しました。

また、ロシア軍と対じするウクライナ軍について「非常に効果的に抵抗している」としたうえで、アメリカなどが供与した兵器を使ってロシア軍を押し返していると分析しました。

ただカービー報道官は「ロシア軍がこのまま停滞したままでいるとは考えられず、ウクライナ軍の抵抗や物資をめぐる課題を乗り越えようとするだろう」と指摘しました。

また、アメリカ国防総省の高官は28日、記者団に対し、ロシア側が首都キエフへの侵攻の遅れに「いらだっている」と指摘し、作戦がより攻撃的なものに見直される可能性があるとして警戒感を示しました。

米政府 ロシア外交官12人の国外追放を決定

アメリカの国連代表部は28日、「アメリカに居住する権利を乱用し、アメリカの安全保障に悪影響を及ぼす諜報活動を行ったロシアの12人の情報工作員について、追放のプロセスを開始するとロシア側に通知した」と発表しました。

これについて、ロシアのネベンジャ国連大使は28日の記者会見で「アメリカの当局がわれわれに対し、新たな敵対的な行動をとったという情報がいま入った」と述べ、ニューヨーク駐在のロシア国連代表部の12人が、退去するようアメリカ当局から命じられたと明らかにしました。

ネベンジャ大使によりますと、12人はペルソナ・ノン・グラータ=「好ましからざる人物」として3月7日までにアメリカから退去するよう求められたということです。

この後、ネベンジャ大使は安全保障理事会の会合で、「われわれは外交的な解決が必要だと言われ続けているが、その外交活動の機会が制限されている」と述べてアメリカを非難し、対応を協議する考えを示しました。

ウクライナ大統領 EUに正式に加盟申請

ウクライナのゼレンスキー大統領は28日、EU=ヨーロッパ連合に正式に加盟申請しました。

ゼレンスキー大統領は自身のSNSで、加盟申請の文書に署名する写真とともに「実現すると信じている」と投稿しています。

ウクライナは2014年、南部クリミア半島をロシアに併合された直後に、EUとの貿易自由化を含む関係強化に向けた協定に署名しましたが、正式に加盟申請するのはこれが初めてです。

ゼレンスキー大統領としてはロシアに対抗するために欧米の支援が不可欠で、EUへの加盟申請を行うことでその姿勢をより明確にするねらいがあるとみられます。

また、ゼレンスキー大統領は28日、EUのフォンデアライエン委員長と電話で会談したことを明らかにし、以前から希望しているEU加盟を重ねて求めたとしています。

米 バイデン大統領 核戦争への懸念「必要ない」

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続く中、プーチン大統領は先月27日、核戦力を念頭に抑止力を特別警戒態勢に引き上げるよう、国防相などに命じました。

これについてアメリカ国防総省の高官は28日、記者団に対し「ロシア側を監視しているが、プーチン大統領の命令を受けた具体的な動きはまだ確認されていない」と指摘しました。

バイデン大統領も記者団から「アメリカ国民は核戦争について心配すべきか」と問われたのに対し、「その必要はない」と応じました。

またホワイトハウスのサキ報道官は会見で「核兵器を念頭にした挑発的な発言は思い違いによるリスクを招く恐れがあり危険だ」とプーチン大統領を批判したうえで、「アメリカもNATO=北大西洋条約機構もロシアと戦うつもりはない。プーチン大統領の命令を精査しているが現時点でわれわれが警戒レベルを変更する理由は見当たらない」と述べ、冷静に対応する姿勢を強調しました。

国連安保理 ウクライナの人道状況協議の緊急会合を開催

国連安保理は28日午後、ウクライナの人道状況について協議する緊急の会合を開きました。

この中で会合の開催を提案したフランスのドリビエール国連大使は「ロシアの攻撃によってウクライナの人道状況に著しい影響が出ている。子どもを含む民間人の犠牲者が 増え続けている」と述べ、ロシアを非難しました。そして「ウクライナ国民のため、国際人道法の尊重や民間人の保護、人道支援を妨げないことなどを求める決議案を準備している」と明らかにしました。

これに対して、ロシアのネベンジャ国連大使は、「軍事作戦の5日間にロシア軍の過失で民間人が死亡したという証拠はない」と反論し、「ウクライナ軍から絶え間なく攻撃を受けたウクライナ東部の住民に支援を続けたのが唯一、ロシアだ」と述べ、フランスなどが準備している決議案に慎重に対応する姿勢を示しました。

キエフ近郊 戦闘で荒廃 町には人影ほとんどなし

ウクライナの首都キエフから北西におよそ20キロ離れたブチャでロイター通信が28日、撮影した映像では▽焼け焦げた軍用車両や自動車が路上に放置されている様子や▽道路が大きく陥没している様子が確認できます。

町には人影がほとんどなく、スーパーマーケットでは窓が激しく壊れ、瓶のようなものが床に散乱しているのも確認できます。

ブチャには、27日にロシア軍の戦車が入り、ウクライナ軍と散発的に銃撃戦になったということでここに住む男性は、「ウクライナはこの戦いに勝ってプーチンを止めます。これは卑劣で残虐な行為で人間にこんなことはできません」と怒りをあらわにしていました。

アメリカ国防総省が28日、発表した最新の分析によりますと、ロシア軍はキエフから北におよそ25キロの地点にいて今後さらに前進を続け、数日のうちにキエフを包囲しようとしているということです。

岸田首相 “国際社会が結束し きぜんと対応を”

ウクライナ情勢をめぐり、アメリカのバイデン大統領の呼びかけでG7=主要7か国などの首脳らによる電話会議が、日本時間の1日未明行われ、岸田総理大臣も参加しました。

これについて岸田総理大臣は1日朝、総理大臣官邸で記者団に対し「私からは、ロシアのウクライナ侵略は国際秩序の根幹を揺るがすものであるということ、また国際社会が結束して、きぜんと対応することが重要であることなどを訴えた」と述べました。

また「唯一の戦争被爆国、とりわけ被爆地・広島出身の総理大臣として、核による威嚇も使用もあってはならないと強調した」と述べました。

さらに会議では、各首脳らが「ロシアによるウクライナ侵略は武力の行使を禁止する国際法の深刻な違反だ」として厳しく非難した上で、国際社会が一致して強力な制裁措置をとっていく必要性を確認するとともに、引き続きウクライナ政府や避難民への支援で協力していく方針で一致したと説明しました。

ゴルバチョフ氏が代表務める財団 即時停戦と和平交渉訴え

ロシアのプーチン政権によるウクライナへの軍事侵攻について、旧ソビエトの大統領で、1990年にノーベル平和賞を受賞したミハイル・ゴルバチョフ氏が代表を務める財団は28日までに声明を出し、即時停戦と速やかな和平交渉の必要性を訴えました。

声明では「人の命ほど尊いものはこの世に存在しないし、存在し得ない。相互の尊重と配慮に基づく交渉と対話のみが最も深刻な問題を解決し得る」として、プーチン政権に対して強硬姿勢を改め交渉による事態の打開を求めています。

北欧諸国 方針転換しウクライナに兵器供与へ

アメリカやイギリス、ドイツなど各国がウクライナへの軍事支援を進めるなか、これまで紛争中の国に兵器を供与しない立場をとってきた北欧諸国も方針を転換し、同様の措置を打ち出しています。

このうちロシアの隣国で、1939年に当時のソビエトの侵攻を受けたフィンランドは28日、ウクライナにライフル2500丁や1500の対戦車兵器などを供与すると発表し、マリン首相は記者会見で「歴史的な決定だ」と述べました。

また、スウェーデンも27日、ウクライナに5000にのぼる対戦車兵器とヘルメットや防護服などを送ると発表しました。

スウェーデン政府によりますと、兵器の供与はかつてソビエトの侵攻を受けたフィンランドに供与して以来だということで、アンデション首相は「ウクライナへの支援はスウェーデンの安全保障上の利益となる」とコメントしています。

シェル 石油・天然ガス開発事業「サハリン2」から撤退

イギリスの大手石油会社シェルがロシア・サハリンの石油・天然ガス開発事業「サハリン2」から撤退すると発表しました。

サハリン2は、サハリン北部の天然ガスからLNG=液化天然ガスを生産するなどの国際的な開発事業で、ロシア最大の政府系ガス会社ガスプロムが主導する合弁会社にイギリスのシェル、そして日本の三井物産と三菱商事がそれぞれ出資しています。

シェルは声明で、「世界各国の政府と協議しながら関連する制裁を遵守する」と述べており、シェルの撤退で日本側の対応が問われることになりそうです。

サハリンで生産されるLNGの多くは日本向けに輸出されており、日本にとってはエネルギー安全保障の観点から重要なエネルギーの調達先となっています。

G7などの首脳ら電話会議 強力な制裁措置の必要性を確認

ウクライナ情勢をめぐり、G7=主要7か国などの首脳らによる電話会議が行われ、日本から岸田総理大臣も参加しました。
各首脳らは、ロシアによる軍事侵攻を厳しく非難し、国際社会が一致して強力な制裁措置をとっていく必要性を確認しました。

米国防総省の高官 “ロシア軍 数日のうちにキエフの包囲ねらう”

アメリカ国防総省の高官は28日、記者団に対し、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の状況について最新の分析を明らかにしました。

それによりますとロシア軍はウクライナの国境周辺に展開していた戦闘部隊のうち、これまでに75%近くの戦力をウクライナ国内に投入したほか、380発以上のミサイルを発射したということです。

そしてロシア軍は首都キエフに向けてこの1日で5キロ前進し、キエフから北におよそ25キロの地点にいるということです。

この高官はキエフへの侵攻は依然としてロシア軍の主要な作戦だとして、今後、さらに前進を続け、数日のうちにキエフを包囲しようとしていると指摘しました。

また、ロシアのプーチン大統領が27日、国防相などに対して、核戦力を念頭に、抑止力を特別警戒態勢に引き上げるよう命じたことについて「われわれは監視を続けているが、プーチン大統領の命令を受けた具体的な動きはまだない」と指摘しました。

プーチン大統領 “停戦条件 ウクライナ非軍事化と中立化”と強調

ロシアのプーチン大統領とフランスのマクロン大統領は28日、電話会談を行い、ロシアが軍事侵攻を続けているウクライナの情勢について意見を交わしました。

ロシア大統領府によりますと会談でプーチン大統領は停戦の条件について「ウクライナ国家の非軍事化と、中立的地位の確保など、ロシアの安全保障上の利益が無条件に考慮された時にのみ可能だと強調した」として、あくまでもウクライナの非軍事化と、NATO=北大西洋条約機構の加盟阻止につながる中立化を求めていく姿勢を示しました。

ロシアとウクライナの会談 交渉継続合意も停戦実現楽観できず

ロシアとウクライナの代表団が28日、ロシア軍の侵攻が始まってから初めてウクライナと国境を接するベラルーシ南東部でおよそ5時間にわたって交渉にあたりました。

▽ウクライナ側は即時停戦と軍の撤退を求めているのに対し、
▽ロシア側はウクライナの非軍事化と中立化を要求していて、
双方が歩み寄りを見せるかが焦点になっています。

交渉のあとロシア代表団のトップのメジンスキー大統領補佐官は「あらゆる議題が詳細に話し合われ、いくつかの点では共通の土台を見いだせる」と述べ、双方がいったん帰国し、数日以内に再びベラルーシとポーランドの国境地帯で交渉する見通しを明らかにしました。

一方、ウクライナ代表団のポドリャク大統領府顧問もツイッターで、「ロシアから突きつけられていた 最後通ちょうは無くなった」として一定の進展があったことを示唆しました。

ただ、「交渉は難しい。ロシア側は自分たちが始めた破壊的なプロセスにこだわっている」として、ロシアが強硬な姿勢を崩さず双方の主張の隔たりが大きいことをうかがわせていて、今後の交渉が停戦につながるのかなお楽観できない情勢です。

ウクライナからの国外避難 50万人以上に UNHCR

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所は28日、ロシアによる軍事侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数が50万人以上に上ったと明らかにしました。

AP通信がUNHCRのまとめとして伝えたところによりますと、
▽避難した人が最も多いのはポーランドで28万人以上、
▽ハンガリーがおよそ8万5000人などとなっています。

ポーランドとの国境に近い、ウクライナ西部の都市リビウの駅は、ポーランドなどへ向かう列車に乗ろうとする人々であふれかえっていて、国外に逃れるため、目的地の変更を強いられる人も出てきています。

ウクライナの首都キエフからルーマニアに到着した男性は、3日待ってもポーランドに入ることができなかったと話し、「危険なのでキエフを離れざるを得ませんでした。ポーランド国境を通ろうとしましたが、人が多くて通ることができず、ようやくここに来ました」と疲れた様子で話していました。

エアビーアンドビー 避難民に一時的な住居10万人分 無償提供へ

アメリカの民泊仲介サイト大手、「エアビーアンドビー」は、ウクライナから近隣諸国へ避難している人たちに対し、一時的な住居10万人分を無償で提供すると発表しました。

会社は、28日、ポーランド、ドイツ、ハンガリー、それにルーマニアの指導者たちに書簡を送り、支援を表明したということで、各国のニーズに応じて、長期的な滞在も支援したいとしています。

エアビーアンドビーのチェスキーCEOは、ツイッターで、「避難民に住居を提供できるという人はぜひ支援してほしい。住居を提供できなくても寄付で助ける方法もある」などと呼びかけています。

ベラルーシ 憲法改正へ 核兵器配備につながらないか欧米側は懸念

ウクライナと国境を接するベラルーシでは、28日、国民投票の結果、憲法が改正されることになりました。

改正される憲法では「自国の領土を『非核兵器地帯』にして『中立国家』を目指す」というこれまでの憲法に明記されていた条文の一部が削除されています。

ベラルーシは、ロシアと軍事面での連携を強化していてルカシェンコ大統領は、NATO=北大西洋条約機構の加盟国などを念頭に「敵国が愚かなことをしてくるのであれば核兵器の配備もありうる」として、威嚇する発言を行っていました。

ベラルーシで改正される憲法で「中立国家」と「非核兵器地帯」という文言が削除されたことで、ベラルーシ国内にロシアの核兵器が配備されることにつながらないか欧米側からは懸念の声が上がっています。

アメリカ国務省 ベラルーシにある大使館の業務停止

アメリカ国務省は28日、ウクライナの隣国のベラルーシにある大使館の業務を停止し、職員に対し国外退避を命じたと発表しました。

ベラルーシは、ロシア軍によるウクライナ侵攻の拠点のひとつとされていて、現地のアメリカ人に対しても速やかに出国するよう求めています。

また、国務省は、ロシアの首都モスクワにある大使館の一部の職員について、希望すれば国外への退避を認めることを決めました。

そして、ロシア国内に住むアメリカ人に対しては、治安当局による嫌がらせなどのおそれがあるとして、ロシアを出発する航空機が運航しているうちに、速やかな出国を検討するよう呼びかけています。

国連の人権理事会 ロシア非難相次ぐ

スイスのジュネーブで開かれている国連の人権理事会では28日、各国の代表からロシアによる軍事侵攻を非難し、ウクライナの現状に懸念を示す発言が相次ぎました。

このうちカナダのジョリー外相は「平和と法律に基づく国際的な秩序、それに、第2次世界大戦以降世界が築き上げてきた国連憲章に対する挑戦だ。ロシアはこうした体制をあざけり、『力は正義』という世界に逆戻りさせようとしているが、許してはならない」と強い口調で述べました。

一方で軍事侵攻についてロシアの代表は、親ロシア派が事実上支配している地域について、ロシアが独立国家として承認したあともウクライナ側からの砲撃がやまず、むしろ状況が悪化したからだとした上で「惨事を防ぐため、特別な作戦を行うほか選択肢はなかった」と述べ、軍事侵攻を正当化しました。

日本時間0:00すぎ 国連総会の緊急特別会合始まる

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐり、すべての国連加盟国が参加できる国連総会の緊急特別会合がアメリカ・ニューヨークの国連本部で始まりました。

緊急特別会合は数日間開かれ、アメリカは、ロシアを非難する決議案を採決し圧力を強めたい考えです。

ロシア政府 36の国と地域の航空会社対象に運航制限

ロシア政府の航空運輸局は28日、ヨーロッパ各国がロシアの航空会社の運航を禁止したことへの報復措置として36の国と地域の航空会社を対象に運航を制限すると発表しました。

対象にしたのは、イギリスやドイツ、フランス、スペイン、イタリアなどヨーロッパの主要国のほかカナダなどの航空会社で、こうした国や地域からの運航には航空運輸局かロシア外務省の特別な許可が必要だとしていて、空の便でも影響が広がっています。

ウクライナ第2の都市ハリコフ 市街地砲撃 民間人5人含む7人死亡

ロシア軍との激しい戦闘が伝えられているウクライナ第2の都市ハリコフの当局によりますと28日、市街地が多数の砲撃を受け、44人が病院に運ばれ民間人5人を含む7人が死亡したということです。

ウクライナ軍が公表した動画では、建物の壁面にいくつものせん光が見え、煙が立ち上る様子が確認できます。

ハリコフの当局によりますと、けが人は今後増えるおそれもあるということです。