ロシアがウクライナに対する軍事侵攻に踏み切り、現地では今もロシア軍とウクライナ軍の戦闘が続いています。
戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる7日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

国際司法裁判所で審理も ロシア側は出席せず

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐり、国連の主要な司法機関、国際司法裁判所で審理が行われました。

ウクライナはロシアの軍事行動をただちにやめさせるよう暫定的な命令を出すことを裁判所に求めていますが、ロシア側は審理に出席しませんでした。

“ロシアとウクライナの外相招き10日に三者会談” トルコ外相

トルコのチャウシュオール外相は、日本時間の7日夜、地元の記者団に対し、ロシアのラブロフ外相とウクライナのクレバ外相を招いて今月10日にトルコで三者会談を行うと発表しました。

チャウシュオール外相は「ロシアとウクライナとの会談について、双方から私の同席を希望された」と述べました。

実現すれば、軍事侵攻が始まって以降、ロシアとウクライナの双方の外相が向き合う初めての会談になります。

外務省 リビウの連絡事務所の大使館員 一時的に国外に移動

ウクライナ情勢の一層の緊迫化を受け、外務省は7日、ウクライナ西部のリビウに設けている連絡事務所に勤務するすべての大使館員を、一時的に国外に移動させたと発表しました。

外務省では、連絡事務所を閉鎖するわけではなく、今後、情勢が落ち着きしだい現地に戻り、業務を再開させたいとしています。

リビウの事務所が不在の間は、隣国のポーランドにある日本大使館などからリモートで、ウクライナ国内に在留しているおよそ90人の日本人の安全確保や出国支援に最大限取り組んでいくとしています。

停戦への3回目の交渉 ロシア代表団がベラルーシに到着

ロシアとウクライナの停戦に向けた3回目の交渉について、ロシアの国営メディアは、7日、ロシアの代表団が、ポーランドと国境を接するベラルーシ西部に到着したと伝えています。

ベラルーシの国営メディアは、関係者の話として交渉は、7日午後、日本時間の7日夜行われるという見通しを伝えました。

交渉をめぐってプーチン大統領は、ウクライナの「非軍事化」と「中立化」といったロシアの要求が受け入れられないかぎりウクライナへの攻撃はやめないと強調しています。

交渉の中で、停戦につながる具体的な話し合いが行われるか厳しい見方が出ています。

中国外相「ロシアとのパートナーシップ 絶えず前進」

中国の王毅外相は記者会見でロシアとの関係について「世界で最も重要な2国間関係の1つとして、われわれの協力は両国の国民に利益をもたらすだけでなく、世界の平和と安定、発展にも寄与している」と述べました。そのうえで「両国の友情は盤石であり、双方の協力には非常に将来性がある。国際情勢がどんなに悪化しても中国とロシアは新時代の包括的な戦略的パートナーシップの関係を絶えず前進させていく」と強調しました。

一方でロシアによるウクライナへの軍事侵攻について「対話と話し合いを通じて、平和的な方法で争いを解決しなければならない」と述べ引き続き対話による解決を訴えるとともに「必要な時に、国際社会とともに必要な仲裁を行いたい」と述べました。

ロシア政府の偽情報使用 官房長官「非難する」

松野官房長官は午後の記者会見で「ロシアで報道の自由を制約する法律が成立し、外国メディアが活動を停止せざるをえない状況となっていることを強く懸念している。ロシア政府や政府系メディアなどが、ウクライナに対する軍事侵略を支援するために偽情報を広範に使用していることを非難する」と述べました。

ロシア国防省 “避難ルート設置で一時停戦”発表

ロシア国防省はウクライナの首都キエフ、第2の都市ハリコフ、東部の要衝マリウポリ、北東部のスムイでそれぞれ市民のための避難ルートを設置し、これらの地域で一時的に停戦すると発表しました。一時的な停戦は7日午前9時(日本時間7日午後4時)から行う予定だとしています。
ただ、東部マリウポリではこれまで2回合意したにもかかわらず、いずれも一時的な停戦が実現できず、今回も実際に市民の避難につながるかは不透明です。

ウクライナ教育科学相「211の学校 全壊や損傷」

学校施設の被害状況をめぐってウクライナの地元メディアは、ウクライナの教育科学相が「ロシアの軍事侵攻以降、これまでに211の学校が全壊したり、損傷を受けたりした」と明らかにしたと7日、伝えました。そして、その数は今後も増え続けるという見通しを示したとしています。

ウクライナの警察当局によりますと、北西部の都市ジトーミルでは4日に学校の校舎がロシア軍による砲撃を受けたということです。現地からの映像では、校舎の外壁がえぐれるように大きく崩れていて周りには多くのがれきとともに教科書なども散乱しているのが確認できます。この砲撃によるけが人など人的被害の情報は明らかになっていません。

米国防総省高官「この一日では限られた動き」

アメリカ国防総省の高官は6日、現地で続く戦闘について「この一日では限られた動きしか確認されていない」としたうえで、首都キエフ、第2の都市ハリコフ、北部のチェルニヒウを孤立化させようとして進軍するロシア軍はウクライナ側の強い抵抗にあっていると指摘しました。

住民を避難させる試みが続いている東部の要衝マリウポリでは街を包囲しようとするロシア軍との戦闘が継続していて、大規模な停電や断水も続いているということです。ただ、停戦合意が破られたかどうかの確認はできていないとの認識を示しています。

米国務長官 ポーランド通じウクライナへの戦闘機供与を検討

アメリカのブリンケン国務長官は6日、訪問先のモルドバで、ポーランドを通じてウクライナへの戦闘機の供与を検討していると明らかにしました。ポーランドがウクライナ軍の兵士が操縦に慣れている旧ソビエト製の戦闘機を提供し、その代わりにアメリカがポーランドに新たな戦闘機を送る枠組みを検討しているとしていて「時期については言えないが、とても前向きに検討している」と強調しました。

ただ、ポーランドの首相府は6日、ツイッターに「ウクライナには戦闘機を送らないし空港の使用も認めない」と投稿しているほか、ロシア側は空軍基地の使用などの協力は「軍事衝突の当事者とみなすこともありうる」と警告するなど、緊張が一層、高まることにつながりかねないとの懸念も出ています。

ネットフリックス ロシアでサービス提供停止

アメリカの動画配信大手、ネットフリックスは6日、NHKの取材に対しロシア国内の状況を踏まえサービスの提供を停止したと明らかにしました。ネットフリックスは、一定規模以上の動画配信サービス企業に対し政府系テレビ局などの放送の配信を義務づけるロシアの新しい法律には従わないとしています。
アメリカメディアによりますと、ロシアでの現在の会員数はおよそ100万人に上るということです。

ベラルーシのノーベル賞作家 ロシアによる軍事侵攻批判する声明

ベラルーシのノーベル文学賞作家、スベトラーナ・アレクシェービッチ氏が、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を批判する声明を発表しました。

イギリスの新聞、ガーディアンが5日、伝えたところによりますと、声明にはアレクシェービッチ氏やロシアの作家や詩人など合わせて17人が名を連ね「ロシアの国営メディアは今回の侵攻を偽装し、うそを伝え続けてきた。独立したメディアはほぼ壊滅し、国営のプロパガンダ組織だけがフル稼働している」と指摘しています。
そして、ロシア語を話す人々に対して「電話やメッセージ、電子メールといったあらゆる手段を使ってロシアの市民に真実を伝えてほしい」と呼びかけました。

アレクシェービッチ氏は、チェルノブイリ原発事故の被害者を取り上げた作品などが高く評価され、2015年にノーベル文学賞を受賞しました。近年は、強権的なベラルーシのルカシェンコ政権に対抗する、反体制派の知識人として活動しています。

米国務長官 “ロシアからの原油輸入禁止を検討”

アメリカのブリンケン国務長官は6日、CNNテレビに出演し、ロシアからの原油の輸入を禁止する可能性について「ヨーロッパ各国や同盟国との間で、ロシア産原油の輸入の禁止と世界への適切な供給について協調して議論している」と述べ、具体的な検討を進めていることを明らかにしました。

これを受けて、ニューヨーク原油市場では原油価格の国際的な指標となるWTIの先物価格が一時、1バレル=130ドルを超えて2008年7月以来、13年8か月ぶりの高値水準まで急激に上昇しました。市場で供給不足への警戒感が一段と強まっています。

ボリショイ劇場の指揮者辞任「紛争支持せず反対し続ける」

ロシアの音楽ニュースサイトは6日、クラシックバレエの殿堂、ボリショイ劇場で首席指揮者と音楽監督を務めるトゥガン・ソヒエフ氏の辞任のメッセージを伝えました。ソヒエフ氏は「どんな形であれ、私は紛争を支持したことはないし、これからも反対し続ける」と軍事侵攻に否定的な立場を示しました。

そして「ロシアの音楽家とフランスの音楽家の片方だけを選べという、無理な選択を迫られている」として、所属しているフランスのトゥールーズにあるオーケストラの音楽監督も辞任する意向を明らかにしました。

「TikTok」ロシアでの動画投稿サービスを停止

動画共有アプリ「TikTok」は6日、ロシアでの動画投稿サービスを停止すると発表しました。ロシア軍の活動について意図的に誤った情報を拡散した個人や団体に罰則を科すとする法律の改正案にプーチン大統領が署名したことを受けた措置で、従業員とユーザーの安全を最優先し、法律の影響を検討する間、サービスの提供を停止せざるをえないとしています。

プーチン大統領「原発の掌握は挑発行為を排除するため」

プーチン大統領は6日、フランスのマクロン大統領と電話で会談し、マクロン大統領がザポリージャ原子力発電所がロシア軍に掌握されたことに懸念を示したのに対し、プーチン大統領は安全は確保されているとこたえたということです。また、原発を掌握する目的について、プーチン大統領は「ウクライナのテロリストが悲劇的な結果を伴う挑発行為を起こす可能性を排除するためだ」と主張したとしています。

そのうえで、原子力の安全について協議するためのIAEA=国際原子力機関とロシア、それにウクライナの代表が出席する3者会合の開催について、プーチン大統領は「有益な可能性がある」と述べた一方、開催場所はウクライナではなくビデオ会議か第三国とするよう求めたということです。

米ワシントン ロシアへの抗議とウクライナ支援訴えるデモ

アメリカの首都ワシントンでは6日、ウクライナの国旗を掲げたり、民族衣装を身につけたりしたウクライナ系の人たちおよそ数百人が集まり、ロシアに対する抗議とウクライナへの支援の拡大を訴えるデモが行われました。

東部ペンシルベニア州から参加した男性は「ロシアからの原油の購入はウクライナを攻撃する武器の資金源となるおそれがあるのでアメリカなど国際社会は停止してほしい」と話していました。

外務省 ロシアほぼ全域の危険情報レベル引き上げ 渡航中止を勧告

ウクライナとの国境周辺の地域を除くロシア全域について、外務省は、「危険情報」を渡航中止を勧告するレベル3に引き上げました。ウクライナとの国境周辺地域では先週、「危険情報」が最も高いレベル4に引き上げられ、退避が勧告されています。

外務省は、各国によるロシアの航空機に対する飛行禁止の措置などを受けて、今後、移動手段が一層、制限されるおそれがあるとしています。このため、滞在する日本人に商用便での出国の検討を求めるとともに、目的にかかわらず渡航をやめるよう呼びかけています。

ロシア国内でも抗議活動の勢い衰えず

ロシアでは、ウクライナへの軍事侵攻に反対する抗議活動が6日も各地で続き、市民がプーチン政権に対して戦争反対の声をあげました。首都モスクワでは、数千人が中心部をゆっくりと歩きながら「戦争反対!」とシュプレヒコールをあげました。

プーチン大統領は「軍事行動の停止の呼びかけや軍の信用失墜につながる活動」を禁止する法律の改正案に今月4日署名し、抗議活動への締めつけを一段と強化しています。しかし抗議活動の勢いは衰えず、ロシアの人権監視団体によりますと、6日の抗議活動はロシア全土の63都市で行われ、4500人余りが拘束されたということです。

“核物質を扱う施設に砲撃” ウクライナが強く非難

ウクライナの原子力規制当局は6日、第2の都市ハリコフの国立物理技術研究所の敷地内にある核物質を扱う施設がロシアによる砲撃を受けたと発表し、「また核に対するテロを行った」と強く非難しました。詳しい状況は明らかになっていないものの、少なくとも建物の表面や変電所などに被害が出たとしています。

日本の旧ソ連非核化協力技術事務局によりますと、研究所には旧ソビエト時代に搬入された核物質が保管されているということです。ウクライナの内務省は「核物質のある施設への攻撃は大規模な被害につながるおそれがある」と警告しています。

住民避難の試み 2日連続で実現せず

ロシア軍が攻勢を強める東部の要衝マリウポリでは6日、前日にできなかった双方の合意に基づく住民の避難が始まる予定でした。しかし、マリウポリ市によりますと、一時停戦は守られず2日連続で避難の試みは実現しませんでした。

ウクライナ側とロシア側はそれぞれが相手が攻撃を行ったと批判していて、避難を支援するICRC=赤十字国際委員会は「マリウポリの人々は恐怖の中で暮らし、安全を切望している」と強い懸念を示しています。

プーチン大統領「要求満たされた場合のみ 軍事作戦停止が可能」

ロシアのプーチン大統領は6日、トルコのエルドアン大統領と電話会談を行い、ロシア大統領府によりますと「ウクライナ側が敵対的な行動を止め、ロシア側の要求が満たされた場合にのみ、特別な軍事作戦を停止することが可能だ」と強調したということです。
停戦の条件として、ウクライナの「非軍事化」や「中立化」などの要求を貫く姿勢を改めて示した形で、双方は、停戦に向けた3回目の交渉を7日にも行う見通しですが、事態打開のめどはたっていません。

IAEA “ザポリージャ原発はロシア軍の指揮下に”

IAEA=国際原子力機関が明らかにしたウクライナ当局の報告によりますと、ロシア軍に掌握されたザポリージャ原子力発電所は、職員によって稼働が続けられているものの、現在、ロシア軍の司令官の指揮のもとにあるということです。

また、ロシア軍が携帯電話の通信網やインターネットを遮断したため、通常のルートで信頼できる情報を入手することができない状態だということです。

ルーマニアへの避難 “1日最大1万4000人”

ウクライナと国境を接するルーマニア北部のシレットには、ウクライナから避難してきた大勢の人が集まっています。
地元自治体や援助団体は支援拠点を設置し、防寒具や食料などを配布しています。このうち民間の援助団体は、コートや手袋のほか、歯ブラシなどの生活用品を提供していました。
ルーマニア内務省危機管理局のマリウス・ルス報道官は、1日最大で1万4000人が避難してきているとして「さらに多くの人が逃れてくる場合に備え、国境沿いに多くのテントを準備している」と話しています。

キエフ近郊のイルピン 避難始める住民たち

首都キエフの中心部から西に20キロほどのところにあるイルピンでも、ロシア軍による攻撃が相次ぎ、多くの住民が避難を始めています。

5日にイルピンや周辺の地域を撮影した映像には、暗闇の中、あちこちで炎が上がる様子が確認できます。また、6日には砲撃を受けた住宅から炎が上がり、近くに住む人たちが急いで避難していました。イルピンでは破壊された橋のすぐ脇を通り、街を離れる人たちの姿が見られるほか、駅には列車に乗ろうと大勢の人たちが詰めかけています。

国連 “ウクライナで少なくとも市民364人が死亡”

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が始まった先月24日から今月5日までにウクライナで少なくとも364人の市民が死亡したと発表しました。このうち25人は子どもだということです。

また、地域別では亡くなった364人のうち88人が東部のドネツク州とルガンスク州で、ほかの276人は首都キエフや第2の都市ハリコフ、北部のチェルニヒウ、南部のヘルソンなど各地で確認されています。犠牲者の多くは砲撃やミサイル、空爆などの広い範囲にわたる攻撃によって命を落としたということです。さらにけがをした人は759人だということです。

米国務長官 ウクライナへ戦闘機の供与検討

アメリカのブリンケン国務長官は6日、ウクライナに対する戦闘機の供与をポーランドと協力して行うことを検討していると明らかにしました。ポーランドがウクライナ軍の兵士が操縦に慣れている旧ソビエト製の戦闘機を提供し、その代わりにアメリカがポーランドに新たな戦闘機を送る枠組みです。

ブリンケン国務長官は記者会見で「時期については言えないが、とても前向きに検討している」と述べました。戦闘機の供与はウクライナのゼレンスキー大統領がより強力な軍事支援として要請していました。

ウクライナ大統領 “空港が壊滅的な被害”

ウクライナのゼレンスキー大統領は6日、自身のSNSで、ウクライナの中部にある都市、ビンニツィアにミサイルが撃ち込まれ、空港が壊滅的な被害を受けたと明らかにしました。そのうえで「ロシア軍は、ウクライナの人々が何世代にもわたって築きあげてきたインフラや生活を破壊し続けている」と訴えました。

さらに「ロシアのミサイル、戦闘機、テロリストからウクライナの空域を守ってほしい。ミサイルや爆撃のない人道的な空域を作ってほしい」と述べて、自国国内の上空を飛行禁止区域に設定するよう改めてNATO=北大西洋条約機構に求めました。

UNHCR “ウクライナからの国外避難 戦後最速のペース”

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所は6日、ロシアによる軍事侵攻が始まってから10日間に、ウクライナから国外に避難した人の数は150万人以上に上ったと発表しました。UNHCRは「第2次世界大戦以降のヨーロッパで、最も速いペースで増え続けている危機だ」と指摘しています。

このうち、半数を超える88万人以上はポーランドに避難したということです。このほかハンガリーがおよそ17万人、スロバキアが11万人以上、モルドバが8万人以上などとなっています。