【ワルシャワ=寺口亮一、ワシントン=田島大志】ロシアがウクライナへの侵攻を始めてから、17日で3週間となった。短期間で決着をつけられなかったロシア軍は各地で無差別攻撃を続け、民間の犠牲者は増えるばかりだ。両国は停戦協議も重ねているが、妥結には至っていない。

 ロシア軍が包囲する南東部マリウポリでは16日、住民約1000人が避難していたとみられる劇場が露軍機の空爆を受け、倒壊した。英BBCによると、住民らは地下に隠れており、地元議員は「大半が生き残ったようだ」と話している。

 14日に撮影された衛星写真では、劇場周辺の地面に、大きくロシア語で「子どもたち」と書かれていた。ロシア兵は、民間人の避難先だとわかっていながら劇場を攻撃した可能性もある。

 国連人権高等弁務官事務所は16日、ロシアの侵攻後、ウクライナの民間人726人が死亡し、1174人が負傷したと発表した。実際はさらに多いとみられる。

 両国の代表団は2月28日以降、断続的に停戦協議を重ねてきた。ウクライナの「中立化」などを条件にロシアが停戦と撤退に応じるなど、15項目の合意案が軸となっているが、両国の主張の隔たりは大きく、進展するかどうかは予断を許さない。