[リビウ/ハリコフ(ウクライナ) 23日 ロイター] – ロシアによるウクライナ侵攻開始からまもなく1カ月が経過する中、23日もロシア軍による首都キエフに対する爆撃が続いた。西側諸国の首脳が対応強化を協議する一方、ロシアでは大統領特使のアナトリー・チュバイス氏が辞任。プーチン政権内部に亀裂が出始めている可能性が示唆された。

<ロシア「非友好国」へのガス販売をルーブル建てに変更>

ロシアのプーチン大統領はこの日、諸外国によるロシア資産凍結は信頼を失わせる行為だと指摘し、「非友好国」にルーブル建てで天然ガスを売却し始める方針を表明。契約通りに天然ガスの供給を継続するが、支払い通貨をロシアルーブルに変更するとした。

こうした中、複数の関係筋がロイターに明らかにしたところによると、ソ連崩壊後のロシアの経済改革を主導したアナトリー・チュバイス氏がロシア大統領特使を辞任し出国した。関係筋によると、チュバイス氏はウクライナ紛争を理由に出国し、ロシアに戻るつもりはないという。

<西側の対応>

バイデン米大統領はこの日、ロシアのウクライナ侵攻や対ロシア制裁などを巡り協議するため、ベルギーとポーランド訪問に向け、米国を出発した。24日にブリュッセルで北大西洋条約機構(NATO)緊急首脳会議や先進7カ国(G7)首脳会議、欧州連合(EU)首脳会議に出席し、ウクライナ支援に向けた国際的な取り組みを協議する。

NATO緊急首脳会議に先立ち、ストルテンベルグ事務総長は記者会見で、ロシアに近い欧州東部の防衛力増強が決定される公算が大きいと表明。ウクライナを巡る危機でNATOが長期的な抑止力と防衛態勢を再考する必要があることが明らかになったとし、この件については6月にマドリードで開かれる次回の定例首脳会議で討議されると述べた。

ただストルテンベルグ氏は、NATOがウクライナに派兵することはないと言明。「ウクライナに支援を提供することは極めて重要だ。同時に、この紛争がNATOとロシアとの全面戦争に発展するのを防ぐことも極めて重要だ」と述べた。

このほかこの日は、ジョンソン英首相がウクライナへの支援を確約。ジョンソン首相と会談したゼレンスキー大統領はツイッターで「24日の重要な会議の前夜にジョンソン氏の支援に対する確約を得た。敵対行為の経過とウクライナへの防衛支援について協議した」と明らかにした。

<ウクライナへの攻撃継続>

ロシアによる侵攻開始以来、ウクライナでは人口4400万人の約4分の1が住み慣れた土地を離れざるを得なくなっている。

首都キエフのクリチコ市長は「ロシア軍は首都に対する攻撃を続けている」とし、キエフで264人の民間人がロシア軍の攻撃で死亡したと述べた。ただ、キエフ近郊のマカリフとイルピンはウクライナ軍が奪還したと明らかにした。