[ニューヨーク 24日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では、一連の米経済指標で米連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑制に向け積極的に対応するとの観測が裏付けられたことで、ドルが上昇した。

この日発表の米経済指標では、19日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)が1969年9月以来52年半ぶりの低水準となり、労働市場のスラック(緩み)が急速に解消し賃金インフレの上昇が続く可能性が示唆された。

商務省発表の2月の耐久財受注統計は、民間設備投資の先行指標とされるコア資本財(非国防資本財から航空機を除く)の受注が0.3%減少したものの、S&Pグローバル発表の3月の米総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は58.5と、昨年7月以来8カ月ぶりの高水準となった。

ケンブリッジ・グローバル・ペイメンツ(トロント)のチーフ市場ストラテジスト、カール・シャモッタ氏は「経済指標で年内に複数回の50ベーシスポイント(bp)の利上げが実施される公算が高いことが示された。これにより債券市場で米短期債利回りが押し上げられ、外為市場ではドルが他の主要通貨のほか、資源国通貨に対しても上昇した」と述べた。

FRBのパウエル議長は21日の講演で、インフレ抑制にFRBは「迅速に」行動する必要があるとし、必要に応じて通常より大きな幅での利上げを実施する可能性があると発言。

その後もFRB当局者からタカ派的な発言が続いており、この日はシカゴ地区連銀のエバンズ総裁が、インフレ高進がインフレ期待に組み込まれ、それを取り除くのがさらに難しくなる前にFRBは今年から来年にかけて利上げを行う必要があると述べたほか、ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は、過去半年間でインフレに対する自身の見解が「劇的に」変化したとした上で、インフレ抑制に向け年内に0.25%ポイントの利上げが7回実施されるという見通しを示した。

モルガン・スタンレーのチーフ米国エコノミスト、エレン・ゼントナー氏は今年の利上げペースについて、5月と6月の連邦公開市場委員会(FOMC)でそれぞれ50bpの利上げが決定され、その後は毎回の会合で25bpの利上げが決定されるとの見方を示している。

主要6通貨に対するドル指数は0.163%高。

ユーロは0.06%安の1.0997ドル。

円は対ドルで5営業日連続で下落し、122.40円と、2015年12月以来の安値を付けた。

英ポンドは0.17%安の1.318ドル。

ドルは対スイスフランで0.04%高。スイス国立銀行(中央銀行)は政策金利をマイナス0.75%に据え置き、世界的に金融政策が引き締め方向にシフトする中、超緩和政策を維持した。

ドルは対ノルウェークローネで0.03%高。ノルウェー中央銀行は政策金利を予想通り25ベーシス(bp)引き上げ0.75%とした。景気を減速させインフレに歯止めをかけるため、従来の想定よりも速いペースで利上げを行う方針を示した。

暗号資産(仮想通貨)では、ビットコインが3.85%高の4万4006.48ドル。

ドル/円 NY終値 122.33/122.36

始値 121.64

高値 122.40

安値 121.55

ユーロ/ドル NY終値 1.0996/1.0998

始値 1.0988

高値 1.1013

安値 1.0966