ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる12日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ブチャ市長「12日時点で403人の遺体確認」

多くの市民が殺害されているのが見つかったウクライナの首都キーウ近郊のブチャの市長は12日の記者会見で「警察や軍などが市内各地に放置されていたり、埋められたりしていた遺体を確認した結果、12日の時点で403人の遺体が確認された」と述べました。遺体は市内の施設に運ばれていて、身元の確認を進めているということです。

プーチン大統領「目的達成まで軍事作戦は継続」

ロシアのプーチン大統領は12日、ロシア極東でベラルーシのルカシェンコ大統領と会談を行ったあと記者会見を開き、ウクライナとの停戦交渉について「ウクライナが当時の合意から後退し、こう着状態に陥った」と非難したうえで「交渉で最終合意に至り、目的が達成されるまで軍事作戦は継続する」と述べ、現時点では停戦に応じず、軍事侵攻を続けていく考えを強調しました。

化学兵器の使用めぐり主張対立

マリウポリで戦闘を続けるウクライナ軍のアゾフ大隊は11日、SNSの「テレグラム」に「ロシア軍がマリウポリでウクライナ軍の兵士と市民に対し、有毒な物質を使い、複数の人が呼吸困難の症状を示している」などと投稿しました。

一方、親ロシア派の武装勢力のバスリン報道官は12日、インターファクス通信に対し「われわれはマリウポリでいかなる化学兵器も使用していない」と否定しました。

東部ドネツク州から避難の女性「家に帰りたい」

NHKの取材班は12日、キーウ中央駅で東部ドネツク州から避難してきた家族に話を聞きました。ゾヤ・バスティナさん(69)は50人以上が死亡したクラマトルスクの駅の攻撃の前日に同じ駅を使って避難し、先に避難していた娘や孫と合流しました。これから知人の家で避難生活を送るということですが「家に帰りたい。少なくとも夏の始まりぐらいには」と話し一刻も早く平和が戻ることを願っていました。

プーチン大統領「ベラルーシと統合を深めること重要」

ロシアのプーチン大統領は、ロシア極東でベラルーシのルカシェンコ大統領と会談を行ったあと記者会見を開き「欧米諸国がロシアとベラルーシに対して制裁の全面戦争を仕掛けている現状では、両国が統合を深めていくことが重要だ」と述べ、ロシアとベラルーシの経済統合などを巡る協議を加速させたい考えを強調しました。

通信機器大手 ロシア事業から撤退など相次ぐ

ロシア事業からの撤退などを決める通信機器大手が相次いでいます。フィンランドの通信機器大手「ノキア」は12日、ロシア事業から撤退すると発表しました。

また、スウェーデンの「エリクソン」も11日、ロシアでの事業を無期限で停止すると発表しました。

マリウポリ市長「地獄が存在した」

ウクライナ東部の要衝マリウポリのボイチェンコ市長は11日、NHKのオンラインインタビューに応じ「侵攻するロシア軍の兵力が、防衛している私たちの兵力を明らかに上回っている。これまで46日間、マリウポリを防衛してきたが、非常に困難な状況だ」と戦局の厳しさを語りました。

市長は「先月21日の時点で、市民の犠牲者は5000人以上と確認した。大統領も述べているように、いまでは2万1000人の市民が殺害された。まさにマリウポリには地獄が存在した」と述べました。

ロシア プーチン大統領「軍の目標達成に疑いはない」

ロシアの国営通信社によりますと、プーチン大統領はウクライナでの軍事侵攻について「東部の住民を救うためほかに選択肢はなかった」と改めて正当化したうえで「軍が目標を達成することに疑いはない」と述べたということで、苦戦が伝えられる中にあって自信を示しました。

461万人余が国外に避難 国連難民高等弁務官事務所

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシア軍の侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は、11日の時点で461万人余りとなっています。

主な避難先は、ポーランドがおよそ264万人、ルーマニアがおよそ70万人、ハンガリーがおよそ42万人、モルドバがおよそ41万人などとなっています。

また、ロシアに避難した人は、およそ43万人となっています。

ロシア追加制裁 アルコール飲料など38品目の輸入禁止へ

政府はロシアに対する追加の制裁措置として、アルコール飲料や木材など合わせて38品目のロシアからの輸入を4月19日から禁止することを決めました。ロシアからのモノの輸入を禁止するのは初めてです。

ロシアからの輸入が禁止されるのは合わせて38品目です。
具体的には、ウォッカ、ビール、ワインなどのアルコール飲料や、丸太やチップ、それに原木を切って削った単板などの木材のほか、自動車やオートバイとそれらの部品、金属加工機械、ポンプといった、機械類・電気機械が対象となります。

「最恵国待遇」撤回など法律改正案 衆院で審議入り

ロシアに対する制裁措置として、貿易上の優遇措置などを保障する「最恵国待遇」の撤回などを盛りこんだ法律の改正案が衆議院で審議入りしました。

改正案には、ロシアに対する制裁措置として貿易上の優遇措置などを保障する「最恵国待遇」を撤回することや、制裁の対象者が第三者に暗号資産を移転することを規制することなどが盛りこまれています。

岸田総理大臣は「これまでG7=主要7か国が広範な制裁措置を科してきたことでロシアの通貨や経済金融システムに深刻な打撃を与えてきている。ロシアでは、株価の下落や国債利回りの上昇が見られるほか、生活必需品を含め、消費者物価が急上昇するなど、さまざまな面で影響が出ている」と指摘しました。

“ロシア軍が有毒物質使用” 豪外相「確認されれば国際法違反」

東部マリウポリの防衛に当たるウクライナ軍が「ロシア軍が有毒な物質を使った」などとSNSに投稿したことについて、オーストラリアのペイン外相は12日「ロシアによる化学兵器の使用が確認されれば、国際法のさらなる違反となるだろう」と述べ、事実関係の確認を急ぐ考えを示しました。

また、イギリス国防省のヒーピー閣外相は、イギリスのテレビ局「スカイニュース」に対し、使用は確認できていないとしたうえで「仮に使用されたとすれば、西側にはすべての選択肢が遡上(そじょう)にあることをプーチン大統領は知ることになる」と述べました。

英国防省「ウクライナでの戦闘 今後さらに激化」

イギリス国防省は12日、ウクライナの戦況分析を公表し「東部での戦闘は今後2、3週間で激化するだろう」と指摘し、ロシア軍が引き続きドネツクとルハンシク周辺に攻撃を集中させると分析しています。

また、南部のヘルソンやミコライウ周辺のほか、東部のクラマトルスクでも戦闘がさらに激化するという見方も示しています。

そして「ロシア軍はベラルーシから撤収を続けていてウクライナ東部での戦闘を支援するために、再配置を行っている」としています。

ウクライナ 親ロシア派武装勢力「化学部隊が敵をいぶり出す」

ロシアの通信社によりますと、ウクライナ東部を拠点とする親ロシア派武装勢力のバスーリン報道官は11日、東部マリウポリにある「アゾフスターリ」製鉄所に、最大で4000人のウクライナ兵がいるという見方を示しました。

そして、製鉄所には地下の施設があるとしたうえで、今後の戦闘について「製鉄所を封鎖し、すべての出入り口を捜し出す。その後は化学部隊が敵をいぶり出す方法を見つけるだろう」と述べ、製鉄所を制圧するために化学兵器を使用する可能性に言及しました。

一方、マリウポリの市長補佐官は11日、ロシア側の化学兵器の使用について「今のところ、化学兵器を使った攻撃は確認されていない。軍から公式の情報が寄せられるのを待っている」とSNSに投稿しました。

ウクライナ軍 “ロシア軍が有毒物質使用” 米は「確認できず」

東部マリウポリで戦闘を続けるウクライナ軍のアゾフ大隊は11日、SNSに「ロシア軍がマリウポリでウクライナ軍の兵士と市民に対し有毒な物質を使い、複数の人が呼吸困難の症状を示している」などと投稿しました。

これについて、アメリカ国防総省のカービー報道官は11日、声明を発表し「われわれはロシア軍がウクライナのマリウポリで化学兵器の可能性があるものを使用したとするソーシャルメディア上の報告を承知しているが、現時点では確認できず、引き続き、状況を注視する」としました。

そのうえで「これらの報告がもし事実であれば深く懸念すべきことだ」と指摘しました。

また、イギリスのトラス外相はツイッターに「われわれは詳細の確認を急いでいる」と投稿しました。

化学兵器をめぐって、これまでアメリカのバイデン大統領は、ロシアがウクライナに対して使用した場合には「相応の対応をとる」と述べ、けん制していました。【詳しく】ロシア侵攻 生物・化学兵器が使用される可能性は?

米国防総省 ロシア軍が東部で戦力強化の動き

アメリカ国防総省の高官は11日、ロシア軍がウクライナ東部にさらに多くの戦力を投入しようとする動きがみられると指摘しました。
この高官によりますと、ロシア軍がウクライナ東部の都市ドネツクの南西方向で、砲撃を行う部隊を中心に戦力を強化し始めているのが確認できるということです。

また、東部ハルキウ州にあるイジュームの北側にロシア軍の車列が確認できるとしたうえで、東部に展開する部隊に対し補給や戦力の強化を行うのが目的だという見方を示しました。

このほか、ロシア軍は軍事侵攻を開始して以降、1500発以上のミサイルを発射したとの分析を明らかにし、ここ数日間に行われたミサイル攻撃の大半は東部地域に集中していると指摘しました。

マリウポリ市長「市内の犠牲者は2万人超える」

ウクライナの東部マリウポリのボイチェンコ市長が11日、NHKのインタビューに応じ、これまでの攻撃による市内の犠牲者は2万人を超え、マリウポリの人口のおよそ5%にあたるという見方を示し「被害はあまりにも甚大だ。これこそが地獄だ」と述べました。

ボイチェンコ市長は、先月末にはおよそ5000人が死亡したと述べていて、ロシア軍の攻撃が激しくなる中、戦闘の巻き添えになる市民が増えているとみられます。
そして、今も10万から12万人の市民が避難できずにいると明らかにしたうえで「ロシア軍はバスや車が市外に出るのを認めず、検問所では市内に戻るよう命令している」と述べ、ロシア軍が市民の避難を妨害していると批判しました。
さらに、マリウポリのある東部でロシア軍が近く大規模な攻撃を始めるという情報について「私たちは欧米などの支援を受けて軍事力を高めている。勝利を信じている」と述べ、徹底抗戦する構えを見せました。

ウクライナ副首相 “ロシア軍 拘束した女性に非人道的な行為”

ウクライナのベレシチュク副首相は11日、ロイター通信のインタビューで「1000人以上のウクライナの市民がロシアの収容施設で拘束されていて、そのうち500人以上は女性だ」と明らかにしたうえで「ロシア側は彼女たちの髪をそったり、服を脱がせたりするなどして人間の尊厳を傷つけている。私は性的暴行の事実も把握している」と述べ、ロシア軍が拘束した女性に対し、非人道的な行為を続けていると非難しました。

反戦訴えたロシア国営テレビの女性 独でフリーの記者に

先月、ロシア国営テレビのニュース番組の放送中にスタジオに入って反戦を訴えたマリーナ・オフシャンニコワさんが、フリーの記者としてドイツの有力紙「ウェルト」に記事を執筆することになり、11日に初めての記事が掲載されました。

「ウェルト」の1面に掲載された記事で、オフシャンニコワさんは、みずからの反戦の訴えについて「ウクライナへの侵攻は一線を越えており、だまってはいられなかった。私の人生はそれ以前とそれ以後で全く違うものになった」などとつづっています。

そして、インターネット上も含め、嫌がらせが相次いだ一方、ジャーナリスト志望の大学生から「ジャーナリストという仕事に希望を感じられた」という感謝のことばを受け取ったなどと紹介し、ロシアでは自身の行動の受け止めが分かれていると伝えています。

“少なくとも1842人の市民が死亡” 国連人権高等弁務官事務所

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が始まったことし2月24日から今月10日までに、ウクライナで少なくとも1842人の市民が死亡したと発表しました。このうち148人は子どもだということです。

死亡した人のうち、1186人はキーウ州や東部のハルキウ州、北部のチェルニヒウ州、南部のヘルソン州などで、656人は東部のドネツク州とルハンシク州で確認されています。
また、けがをした人は2493人にのぼるということです。
多くの人たちは、砲撃やミサイル、空爆などによって命を落としたり、負傷したりしたということです。
今回の発表には、ロシア軍の激しい攻撃を受けている東部マリウポリなどで、確認がとれていない犠牲者の数は含まれておらず、国連人権高等弁務官事務所は、実際の数はこれよりはるかに多いとしています。