タス通信によると、ロシア国防省は14日、黒海艦隊旗艦のミサイル巡洋艦「モスクワ」がえい航中に沈没したと発表した。ウクライナにとって大きな「戦果」となる一方、ロシアには「痛手」だ。プーチン大統領のいら立ちは強まりそうだ。

ウクライナの攻撃否定せず 沈没のロシア旗艦―米高官

 「モスクワ」について、ウクライナ側は13日、巡航ミサイル「ネプチューン」による攻撃で「極めて重大な損傷」を与えたと主張していた。これに対し、ロシアは同艦の弾薬が爆発したと反論し、攻撃を受けたと認めていない。

 沈没を確認したロシア国防省は「目的の港にえい航中、弾薬の爆発による火災で損傷した船体が安定性を失った」と説明。「海が荒れる中、沈没した」と述べた。

 乗組員は退避した。ロシア軍は艦船からウクライナへのミサイル攻撃を行い、黒海沿岸の掌握を狙ってきたが、こうした戦略にも影響が出そうだ。

 一方、ウクライナ最高会議(国会、定数450)は14日、侵攻したロシア軍が行ってきた一連の市民殺害を「ジェノサイド(集団殺害)」と非難する決議を採択した。賛成票は363だった。

 決議は「ロシア軍の行為は侵略という単なる犯罪にとどまらない」と指摘。「ウクライナ国民そのものに対する組織的で一貫した破壊、自己決定権や独立した発展の権利を奪うという目的を追求している」と批判した。

 また、東部ハリコフ州のシネグボフ知事は14日、ロシア軍が2月24日に侵攻を開始してからの州の犠牲者が少なくとも503人に上ると明らかにした。「罪のない市民ばかりだ。死ぬまでロシア人を許さない」と通信アプリ「テレグラム」に書き込んだ。