欧州連合(EU)は2日、ロシア産石油の部分的禁輸を含む制裁措置第6弾でようやく承認にこぎつけた。ロシア最大手行ズベルバンクを国際銀行間通信協会(SWIFT)の決済ネットワークから排除することも含まれる。石油禁輸については協議が難航していたが、ハンガリーが反対を取り下げたことでまとまった。
EU、ロシア産石油の部分的禁輸とズベルバンク制裁を承認 (1)
世界の石油供給を巡っては、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」が同日、石油供給を現行ペースに比べて約50%拡大することで合意した。
OPECプラス、現行比50%の供給拡大で合意-圧力高まる中 (2)
ウクライナ国立銀行(中央銀行)は政策金利を従来の10%から25%に引き上げた。インフレを食い止め、ロシアの軍事侵攻で打撃を受けた自国通貨を防衛する。
ウクライナ情勢を巡る最近の主な動きは以下の通り。
NATO事務総長、ウクライナの穀物輸送で護衛艦の派遣を支持
北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長はホワイトハウスでのバイデン米大統領との会談後、船舶などでウクライナからの穀物輸出を増やす方法を模索する加盟国の取り組みを支持すると記者団に語った。
リトアニアとエストニア、オランダは、ウクライナの港から出航する船舶の支援で護衛艦の派遣を検討していると明らかにした。同国の港湾はロシアによって封鎖されており、護衛艦派遣は戦争をエスカレートさせるリスクもある。
スウェーデン、ウクライナへの軍事支援を強化
スウェーデンはウクライナに対する財政・軍事支援を計10億クローナ(約130億円)増額することを、政府ウェブサイトで明らかにした。軍事支援には対艦ミサイルシステムや装甲車、自動小銃、弾薬などが含まれる。
ウクライナ外務省、ロシア海軍の撤退など要求-穀物輸送巡り
ウクライナ外務省のニコレンコ報道官は、自由な穀物輸送を実現するためには、ロシアがウクライナ近海から海軍を撤退させ、港湾や商船を攻撃しないと確約すべきだとフェイスブックで述べた。ロシアのラブロフ外相の発言に反論したもの。
ラブロフ外相は先に、ウクライナの穀物を積んだ船舶の自由な航行を認める前提条件として、ウクライナが港湾の機雷を除去することを求めていた。
ドイツ外相、ウクライナのEU加盟候補国としての地位を支持
ドイツのベアボック外相は、ウクライナにEU加盟候補国としての地位を与えることに支持を表明した。公共放送局WDRで「これは歴史的瞬間だ」と発言。欧州委員会はウクライナのEU加盟申請について6月に最終判断を下すが、「われわれドイツ人には特別な責任がある」と同相は語った。ただ、ウクライナが加盟プロセスの過程で特別な扱いを受けることはないとも言明した。
ゼレンスキー大統領、対ロシア制裁第7弾をEUに呼び掛け
ウクライナのゼレンスキー大統領はEUに対し、新たな対ロシア制裁措置の策定作業を開始するよう呼び掛けた。
ルクセンブルクの議会でビデオを通じて演説し、第7弾の措置では戦争に関連するあらゆる団体や個人を対象にすべきであり、「資産を凍結するだけでなく、この侵略によるすべての損害を補償し、復興のために使用する法的メカニズムを準備すべきだ」と訴えた。
ゼレンスキー氏は、ロシア軍がウクライナ領土の20%を支配していると述べた。
米高機動ロケット砲システム、運用訓練に3週間必要
米国防総省高官は米国のウクライナへの高度兵器供与の第一弾として、射程80キロの高機動ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」が届けられると述べた。
カール国防次官(政策担当)によると、同システムの運用の訓練に3週間を要する見通しで、さらに保守管理の訓練期間が2週間かかるという。ウクライナ国外で訓練を行った後、前線に送られるとした。訓練場所は明からにされていない。
デンマークがEU防衛政策参加へ-国民投票
デンマークで1日、EUの共通安全保障・防衛政策への参加の賛否を問う国民投票が実施された。公共放送DRの投票締め切り直後の予測によると、共通安保・防衛政策の適用除外権放棄への賛成が70%近くに上った。
ロシアに「支払い不履行」の信用事由発生
クレジットデリバティブ決定委員会(CDDC)は1日、ロシアが債務支払いに関する条件に違反したと判断した。ロシアが当初予定より遅れて5月初めに行った債務の支払いに190万ドル(約2億5000万円)の追加利息が含まれなかったとして、CDDCはCDSにおける「支払い不履行」のクレジットイベント(信用事由)が発生したと説明した。
支払われなかった利息はそれほど大規模ではないものの、この利息の支払い不履行により販売されたロシアのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)全てが対象となり、最大32億ドル相当のCDSに関して支払いが発生する見通しだ。最終的な決済額は入札で決まる可能性が高い。
トルコ、フィンランド、スウェーデンの高官協議、NATO事務総長が呼び掛け
北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は、スウェーデン、フィンランド、トルコの高官を集めた会合をブリュッセルで数日以内に開催する意向だと述べた。北欧2カ国のNATO加盟申請に対するトルコの懸念に対応するもの。事務総長は6月下旬にマドリードで開催されるNATO首脳会議までに問題解決を図る意向を示した。
原題:Ukraine Latest: EU Approves Oil Sanctions; Turkey Gifts Drone(抜粋)