日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁の「家計の値上げ許容度も高まってきている」との発言が波紋を広げている。資源高や円安で物価上昇が進む中、家計には負担が重くのしかかっている。7日には円安が再び加速し、約20年ぶりに1ドル=133円台をつけた。黒田氏はこの日、発言を謝罪して収束をはかったが、物価の対応は夏の参院選でも争点になる可能性があり、余波はおさまりそうもない。

 「値上げ許容度を様々な指標で測っていたので、その言葉を使ったが、必ずしも適切でなかった」

 講演で「家計の値上げ許容度が高まっている」と述べてから一夜明けた7日。黒田総裁は午前10時に始まった参院財政金融委員会で釈明に追われた。6日の講演で家計の値上げ受け入れの変化の一例としてあげた東大の渡辺努教授の調査について、「許容しているのか、そこまではこの調査は具体的に述べていない」などと一部修正した。

 質問に立った野党議員からは「総裁の発言に、生活者不在と感じた」などと厳しい指摘が相次いだ。黒田氏は3日の参院予算委員会でも「スーパーに行ってものを買ったこともあるが、基本的には家内がやっている」と答弁。買い物で物価高を感じる機会はあまりないと説明し、批判の火に油を注いだとみられる。

 午後6時前には、黒田氏は官…

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