米金融当局者が相次いで米国がリセッション(景気後退)に陥ることはないとの見通しを示しました。振り返ってみると、個人消費支出(PCE)価格指数の前年比の伸びが当局の目標である2%を上回ったのは2021年3月。にもかかわらず、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長がインフレ高進について「一過性」という表現を撤回し、利上げに道を開いたのは、それから半年以上たった同年11月でした。金融当局が再び読み違える可能性も念頭に置いておいた方がいいかもしれません。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
リセッションはない
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、7月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)ないし75bpの利上げが議論されるとした上で、決定は経済データに左右されるとの見解を示した。失業率は上昇すると予想しつつ、リセッションは見込んでいないと述べた。サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は「経済成長が2%を下回ることは意外ではないし、実際には私の想定内だが、マイナスの領域へと落ち込むことはない」と述べた。
インフレの影響
6月の米消費者信頼感指数は98.7と、約1年ぶりの低水準となった。インフレが消費者の景況感を引き続き暗くしている状況が浮き彫りに。今後6カ月の見通しを反映する期待指数はほぼ10年ぶりの低水準。消費者が景気と労働市場、所得の先行きをさらに悲観的にみていることが判明した。ただ、自動車や大型家電製品を購入する意向だとの回答は、前月より割合が高くなった。
NATO加盟に向け
フィンランドとスウェーデンが目指す北大西洋条約機構(NATO)加盟は、トルコが交渉への反対を取り下げたことで主要な障壁が除去された。トルコは両国のNATO加盟を支持し、その詳細はマドリードでの首脳会議で調整されると、フィンランドが声明で明らかにした。NATO首脳会議は28-30日の日程で開催される。
とんとんのはずが
ゴールドマン・サックス・グループの幹部は2020年初期、投資資金を引き寄せようと新たなメインストリート(実体経済)を対象とした「マーカス」事業に関する明るい見通しを示した。同部門は赤字の状態から22年には収支とんとんになるとの見立てだった。だが、同コンシューマー事業の損失は今年12億ドル(約1630億円)余りに増大することが内部予測で示されていると、関係者が明らかにした。景気悪化に伴い貸倒引当金の積み増しを強いられる場合、損失はさらに拡大する可能性があるという。
10年ぶり低水準
調査会社コックス・オートモーティブは生産の制約を理由に、今年の米自動車販売予想を17.3%減の1440万台に引き下げた。実際にそうなれば、10年ぶりの低水準。ただ、コックスのチーフエコノミスト、ジョナサン・スモーク氏は「リセッションが不可避だとは考えていない」と発言。「小売りの分野ではなお繰り延べ需要がある」と述べた。
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