国政選に初挑戦した「参政党」が参院選比例代表で1議席を得た。得票率も2%を超え、公職選挙法上の政党要件を満たした。動画投稿サイト「ユーチューブ」や短文投稿サイト「ツイッター」を駆使して、政府や既存政党と対決する姿勢をアピール。政治に不満を抱く若者らの受け皿になったとみられる。
参政党は比例で議席を得た元大阪府吹田市議の神谷宗幣事務局長(44)が発起人となり、2020年に結党した。次世代の党などに所属していた元衆院議員の松田学氏ら3人が共同代表を務めている。綱領には「先人の叡智を活かし、天皇を中心に一つにまとまる平和な国をつくる」などと記している。
選挙では、外国資本による企業や土地の買収を難しくする法律の制定を訴えたほか、外国人参政権への反対、外国人労働者の雇用抑制を主張。こうした保守的な主張に加え、子どもの教育充実、食の安全の確保、環境保全などを訴えた。また、政府の新型コロナウイルス対策に異を唱え、マスク着用やワクチン接種の推進に疑問を呈した。
与党については、特定の組織や団体への利益を優先していると指摘し、安倍晋三元首相が進めた経済政策「アベノミクス」は効果がなかったと強調。野党は政権担当能力がないと批判した。
参政党の特徴の一つは、党員の意見を党運営に反映させる仕組みの導入だ。党のルールでは、月4000円の党費を払えば党の政策に加え、国政選などの公認候補決定に賛否を表明し、党運営に関与することができる。神谷氏は本紙の取材に「所属議員には党員らの要望に沿った活動をさせる」と話した。
参院選では比例で176万票余りを獲得し、いずれも約125万票だった社民党とNHK党を上回った。選挙区では、45の全選挙区に候補者を擁立したが全員、落選した。(大野暢子)