[東京 26日 ロイター] – 日銀が26日に公表した6月16-17日に開催された金融政策決定会合の議事要旨によると、急激な円安の悪影響を懸念する声も出たが、足元の物価上昇は一時的で、経済の下支えや賃上げ促進などの観点から政策の現状維持を決めた議論が示された。新型コロナ感染症対応金融支援特別オペ(コロナオペ)の取り扱いについて次回会合で判断すべきとの意見が出されたことが分かった。

<物価観に変化の兆し>

議事要旨によると、足元の急激な円安進行について「不確実性を高め、企業による事業計画の策定を困難にするため経済にマイナス」(一人の委員)との声が出た。物価の上昇は「消費マインドの悪化等を通じて個人消費を下押しするリスクや、感染症の負の影響が長期間残存するリスクを懸念している」(ある委員)との指摘もあった。

物価上昇について一部委員は「物価や賃金は上がらないという経済主体の物価観にも変化の兆しがみられ始めている」「感染症の影響が和らぎ企業や家計の物価感に変化の兆しがみられる」などの意見を表明した。

<緩和継続、賃上げ後押しに有効>

しかし委員らは、「当面物価はエネルギー・食料品価格の上昇により2%程度で推移するとみられるが、その後はエネルギ―価格の押し上げ減衰により、プラス幅を縮小する」との見方で一致した。「日本経済は資源価格上昇による下押し圧力を受けており、金融面からしっかり支える必要がある」との見解でも一致した。

一人の委員は「足元の物価上昇は一時的、物価目標の安定的達成は難しい」、ある委員は「前向きな循環のもとでの物価目標が達成されたとは言えず、政策の現状維持が適当」と説明した。「金融緩和の継続は持続的な賃上げを後押しするために有効」との意見も出た。

何人かの委員は、「10月以降のコロナオペ取り扱いについて次回の会合で判断すべき」と述べた。一人の委員は「感染症動向に不確実性残るが、コロナオペの応札実績は少額」と指摘している。

日銀は同会合で政策の現状維持を決めたが、声明文には、為替について「金融・為替市場の動向やその日本経済・物価への影響を、十分注視する必要がある」との言及が盛り込まれた。