【北京、ワシントン時事】中国の習近平国家主席とバイデン米大統領が28日に行った電話首脳会談では、経済安全保障の観点から中国経済とのデカップリング(分断)を進める米国の方針に、中国側が強く反発したもようだ。米議会では、中国の半導体産業への投資を規制する内容を含む新たな法案も可決されており、両国間の新たな懸念材料として浮上している。
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「デカップリングを進め、サプライチェーン(供給網)を断つことは、米経済の活性化につながらず、世界経済をより弱くする」。習氏は首脳会談で、米国側の姿勢を強く非難した。
その半面、中国側は、米国による対中制裁関税の引き下げに期待を寄せていた。中国は習氏の3期目入りが懸かる共産党大会を秋に控えており、経済が悪化する中、政権基盤を安定させるためにも、対中制裁関税の引き下げを成果として勝ち取りたい考え。しかし、期待とは裏腹に今回の首脳会談では議題とならず、対話継続で両国が一致するにとどまった。
米上下両院では28日までに半導体関連法案が可決された。その狙いは、半導体分野で競争力を高める中国に対抗し、米国内の関連産業を強化することにある。バイデン政権は、経済面での対中依存度の低減を外交優先課題に掲げており、5月には中国を除外した新たな経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の発足を表明。経済面での対中包囲網を構築しつつある。
ただ、バイデン氏も、国内では高インフレを背景に支持率が低迷し、足元は不安定な状況。11月の中間選挙を前に日用品などの対中関税引き下げを求める声も出ており、両国間の交渉が今後一気に加速する可能性もある。