ペロシ米下院議長が2日に台湾を訪問する見通しであると伝わり、米国債買いの一因となりました。実際に訪台した場合、中国メディアは中国が台湾上空に戦闘機を派遣する可能性も示唆しています。上空とは、中国軍機が頻繁に侵入している防空識別圏というグレーゾーンではなく、領空を意味するのかどうか。定かではありませんが、情勢が一気に緊迫化するリスクが意識されているようです。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
訪台の見通し
ペロシ議長は台湾を訪問する見通しだと、複数の関係者が明らかにした。中国が台湾を自国の領土と見なしていることを踏まえれば、軍事衝突のリスクを高めることになる。訪台が実現すれば、現職の下院議長としては1997年のギングリッチ氏(共和)以来25年ぶり。関係者によれば、蔡英文総統との会談は3日に予定されている。ただ別の関係者によると、同総統との会談はまだ流動的。中国メディアは中国人民解放軍が積極的な対応をとると示唆している。台湾上空に戦闘機を派遣する可能性もあるという。
2年ぶり低水準
米供給管理協会(ISM)が発表した7月の製造業総合景況指数は52.8に低下し、2020年6月以来の低水準となった。低下は2カ月連続。新規受注は前月に続き縮小圏にとどまり、在庫指数は1984年以来の高水準。これを受け、製造業者は生産のペースを落としており、生産指数も約2年ぶりの水準に低下。
上昇の余地なし
米国では金融引き締め政策が続く中で、経済がリセッション(景気後退)に向かう可能性があると、マイケル・ウィルソン氏率いるモルガン・スタンレーのストラテジストが予測した。企業利益が予想よりも弱い傾向があり、株価に上昇余地はほぼないという。米金融政策当局がインフレを抑制すると債券市場は見込んでいるとリポートで指摘。債券には有利だが、株にとっては不利な展開で、リセッションといった「通常よりも重い代償を伴う可能性がある」と述べた。
批判合戦
エコノミストのオリビエ・ブランシャール氏とサマーズ元米財務長官は、米労働市場にとってソフトランディングは可能性の高いシナリオだとしたウォラー連邦準備制度理事会(FRB)理事のリポートについて、「誤解を招く結論や過ち、事実誤認」が含まれると批判した。ウォラー氏とFRBの調査・統計担当アソシエートディレクター、アンドルー・フィグラ氏は7月29日に発表したリポートで、サマーズ氏ら3氏が共同執筆した論文のアプローチを批判。3氏は米金融当局が「痛みを伴う」失業率上昇をもたらすことなく目標を達成する可能性は低いと論じていた。
アップル起債
米アップルが4本建ての社債発行を開始した。事情に詳しい関係者によれば、償還期限が最も長いのは40年、米国債に対する上乗せ利回り(スプレッド)は150ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)程度の可能性がある。調達資金は自社株買いおよび配当向け資金など一般的な事業目的に使用されるという。投資適格級の米社債発行市場は7月後半から再び活発になっており、大手金融機関の多くが決算発表後に大規模な社債発行を手掛けている。
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