
【キーウ=笹子美奈子】ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は15日、2014年にロシアが併合した南部クリミアの「脱占領」に向けた諮問機関を設置する大統領令に署名した。
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大統領令では武力も含め、どのように奪還するかについては触れていないが、クリミアを再統合した後、住民の権利の回復や都市整備などについて議論することを視野に入れているとみられる。クリミア西部のサキ軍用飛行場では9日の大規模な爆発で、露軍に大きな被害が出たとみられており、ロシアのプーチン政権への揺さぶりを強める意図もありそうだ。
諮問機関はゼレンスキー氏が議長を務め、国家安全保障国防会議書記や情報機関のトップらが参加する。ウクライナが昨年、クリミアの奪還を目指して創設した多国間の外交枠組み「クリミア・プラットフォーム」と連動する方針も掲げた。クリミア・プラットフォームは23日に2回目となる首脳会議をオンライン形式で開催する予定で、ウクライナを侵略しているロシアを刺激するのは必至だ。
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また、ウクライナの最高会議(議会)は15日、戒厳令と総動員令を11月下旬まで3か月延長することを承認した。ゼレンスキー氏が提案していた。ウクライナ軍は南部の露軍占領地域への反撃を強化しており、長期戦で領土奪還を図る姿勢を鮮明にした。