[モスクワ 31日 ロイター] – ロシア大統領府は31日、前日に死去したゴルバチョフ元ソ連大統領を冷戦終結に貢献した非凡な国際政治家として称える一方、「血に飢えた」西側との和解を目指したことは大きな誤りだったとの見解を示した。

91歳で死去したゴルバチョフ氏は1985年にソ連共産党書記長に就任。「ペレストロイカ(改革)」や「グラスノスチ(情報公開)」政策でソ連の政治、経済の改革を断行した。米国と軍縮合意を結んだほか、第2次世界大戦後に欧州を分断していた「鉄のカーテン」を開いて東西ドイツ統合を実現するため、西側とのパートナーシップを構築。90年にノーベル平和賞を受賞した。

一方、グラスノスチ政策で党や国家に対する批判が可能になったと同時に、国内の民族主義を刺激し、91年のソ連崩壊につながった。

プーチン大統領は2005年、ソ連崩壊は20世紀における「最大の地政学的悲劇」と表現。機会があれば元に戻したいと語っていた。

プーチン氏は31日、ゴルバチョフ氏の家族らに弔電を送り、ゴルバチョフ氏は世界の歴史の流れに多大な影響を与え、ソ連の改革に努めたとして、哀悼の意を伝えた。

弔電では「ゴルバチョフ氏は複雑で劇的な変化と大規模な外交政策、経済、社会の課題があった時期にわが国を率いた」と事実を述べただけで、1985─1991年のゴルバチョフ氏の政権運営の評価はしなかった。

ペスコフ大統領報道官は、ゴルバチョフ氏は冷戦終結に貢献した非凡な政治家だが、その歴史的役割には賛否両論があると発言。「ゴルバチョフ氏は冷戦が終わり、新生ソ連と世界、西側諸国との間に永遠のロマンスが訪れると心から信じたかった」と述べた。その上で、「それは間違いだった。100年のハネムーンも実現せず、血に飢えた相手の本性が顔を出した。このことに気づき、理解できたことは良かった」と語った。