• 8月米CPI、市場に厳しい現実、1ポイント利上げ予想する声
  • 世界最大ハイテクETFが犠牲に、株式への配分は過去最低
A trader works on the floor of the New York Stock Exchange. Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

米消費者物価指数(CPI)は8月に再び加速し、インフレがピークを付けつつあると楽観していた市場に冷や水を浴びせる形となりました。また、インフレ調整後の実質平均時給は昨年4月から17カ月連続のマイナス。別の統計では、2021年に米貧困率が2年連続で上昇したことも明らかに。消費者心理を明るくする材料はかなり限られています。16日発表の9月のミシガン大学消費者マインド指数はどんな数字が出てくるでしょうか。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

CPIショック再び

8月の米総合CPIは前年同月比8.3%上昇と市場予想を上回り、変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIも予想以上の伸びとなった。食品コストは前年同月比で11.4%上昇と、1979年以来の大きな伸び。電気代は同15.8%上昇し、1981年以来の高い伸び率。ガソリン代の負担はいくらか軽減されたものの、生活費がなお高騰している状況を浮き彫りにした。米金融当局のインフレ目標達成が前途多難であることを示唆している。

リアリティーチェック

8月の米CPIは市場関係者に厳しい現実を突き付けた格好となり、米株式相場は急落。アバディーンの投資ディレクター、ジェームズ・アシー氏は、最近の株式相場反発は信じられないほど軽率で時期尚早だったと指摘。ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズのマット・ペロン氏は、株式およびセクター配分で守りの姿勢を維持するのが妥当と考えられると述べた。

1ポイント利上げ

米短期金融市場は来週の連邦公開市場委員会(FOMC)での0.75ポイント利上げを完全に織り込んだ。ノムラ・セキュリティーズのエコノミストは、インフレ上振れリスクの顕在化により、1ポイントの利上げ決定が見込まれると指摘。ターミナルレート(利上げの最終到達点)については2023年2月までに4.50-4.75%に達するとし、従来予想から0.5ポイント引き上げた。

早くも犠牲に

予想より強い8月CPIに意表を突かれたのは、エコノミストだけではない。統計発表の前日、世界最大のハイテク上場投資信託(ETF)「インベスコQQQトラスト・シリーズ1」(QQQ)には、2月以来で最大の26億ドル(約3750億円)が流入していた。しかし、より積極的な金融引き締めを警戒し、13日の株式相場は大きく反落。前日までは4日続伸していた。

「極度に弱気」

投資家はリセッション(景気後退)懸念の中で株式から逃避し、株式への配分は過去最低、現金は過去最高となっている。バンク・オブ・アメリカ(BofA)の調査が示した。マイケル・ハートネット氏率いるストラテジストのリポートによれば、景気への懸念は高まり、リセッションを予想する回答は2020年5月以来の高水準だった。エネルギー危機が一段とリスク意欲を後退させ、センチメントは「極度に弱気」だという。

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