【イスタンブール時事】英国防省は18日付のウクライナ情勢をめぐる戦況報告で、ロシア軍が民間施設を標的にする事例が過去7日間で増加したという見方を示した。各地でウクライナ側の反攻が続く中、「ウクライナの人々や政府の士気をくじく」のが狙いだと分析し、警告を発した形だ。
報告は「ロシアは前線で失敗に直面する中、攻撃対象を広げたようだ」と指摘。ウクライナ南部のダムや送電設備が攻撃される一方、「直ちに軍事的影響が出ないような施設」も標的になっているという。
北東部ハリコフ州のシネグボフ知事は18日、州内の病院から患者を避難させようとしていた医療関係者4人がロシア軍の砲撃で死亡し、患者2人が負傷したと述べた。
ウクライナ軍は最近、ロシアが3月から占領していたハリコフ州の各地で進撃を強化。11日までに同州の要衝イジュムを奪還した。イジュムではその後、民間人ら400人以上が埋葬されたとみられる集団墓地が発見された。
ウクライナのゼレンスキー大統領は17日のビデオ演説で「ウクライナ軍が解放したハリコフ州の各地では10以上の拷問施設が見つかった。ナチスと同じ行為だ」と非難した。ロシア軍をめぐっては2月のウクライナ侵攻開始以降、占領地で住民殺害に関与した疑いが繰り返し指摘されている。
一方、国際原子力機関(IAEA)は17日、ロシア軍が占拠するウクライナ南東部のザポロジエ原発について、主要送電線の一部が2週間ぶりに復旧したと発表した。敷地内の6基の原子炉については、冷温停止状態が続いている。