• 胡春華副首相は政治局員から外れる-習総書記の権力掌握ぶり示す
  • ワンマン統治完成、中国は新しい時代入り-豪グリフィス大の馮輝氏
中国共産党の習近平総書記(10月23日) Source: Bloomberg

中国共産党の習近平総書記(国家主席)は23日、3期目の最高指導部である政治局常務委員の新たな顔ぶれを披露した。党のナンバー2には上海市トップの李強党委員会書記が抜てきされた。

  政治局常務委員7人では習氏(69)のほか、趙楽際氏(65)と王滬寧氏(67)が留任。李強氏(63)に加え、北京市の蔡奇党委書記(66)と丁薛祥・党中央弁公庁主任(60)、李希広東省党委書記(66)が常務委員に昇格した。

  李克強首相は来年3月に退任し、李強氏が次期首相に就くことが濃厚となった。李強氏は上海市のトップとして約2カ月に及ぶ新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)を導入し、食料不足や市民と衛生担当者の衝突などを招いていた。

報道陣の前に姿を現した中国共産党の新たな政治局常務委員7人(10月23日)Photographer: Noel Celis/AFP/Getty Images

  習氏は新たな最高指導部を報道陣に紹介し、「中国は世界から孤立していては発展できない。世界の発展も中国を必要としている」と述べた。

  また、「現在の中国経済は強靱(きょうじん)であり、潜在力も十分で、経済運営余地は大きい」とし、「長期的で健全な経済ファンダメンタルズ(基礎的諸条件)は今後も変わらない」と説明。「改革開放の全面的な深化を断固進め、質の高い発展をしっかりと推進する」とも表明した。

中国共産党の習近平総書記(10月23日)Source: Bloomberg

  ブルームバーグ・エコノミクスは今後10年の中国経済について、年金受給開始年齢の引き上げや都市部居住規制の緩和などすでに発表している改革が継続されれば、年4.6%程度の成長が可能だと推計している。

  常務委員会が習氏の側近で固められたことで、中国の政策立案でイデオロギー重視が進むとみられる。新型コロナを徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策や民間セクターに対する統制強化、強硬な外交政策など習氏が進めてきた方針を疑問視する声は最高指導部内で小さくなる。

  習氏の側近でない胡春華副首相(59)が政治局員から外れたことでも、習氏の「一強ぶり」がうかがえる。政治局員の定員はこれまでの25人から24人に削減された。女性の政治局員はこの25年で初めてゼロになった。

  中国は毛沢東氏が死去した1976年まで約10年続いた「文化大革命」で混乱。その後、党と政府機能が分離されたが、今後は党と政府の一体化が進み、習氏側近を中心に政府が事実上運営されそうだ。

  オーストラリアのグリフィス大学で上級講師を務め、中国人民銀行(中央銀行)に関する共著もある馮輝氏は「ワンマン統治がこれで完成した」と指摘。「誰が首相になるのかさえ、それほど重要ではなくなった。経済政策は実務型の政策立案が減り、政治に屈する形になる。中国は新しい時代に入った」との見方を示した。 

原題:Xi Allies Fill China’s Top Jobs in Move Toward One-Man Rule
Xi Says China Economy Is ‘Resilient,’ Will Deepen Global Links(抜粋)