[上海 21日 ロイター] – 中国の温室効果ガス排出量は昨年から減少傾向にあるものの、気温上昇を抑える長期的目標と国の政策が完全に一致していないため、ピークに向けまだ増大する余地があるとの見解が、21日公表された中国の専門家への調査で示された。
フィンランドの研究機関、エネルギー・クリーンエア研究センター(CREA)が、CO2排出データを検証し、中国のエネルギー専門家26人にアンケート調査した。中国は世界の年間排出量の約3分の1を排出しており、同国の気候目標達成の成功は「世界の気候変動との戦いにおいて唯一、最も重要な要因の可能性がある」とした。
報告書によると、中国はクリーンエネルギーや電気自動車(EV)などで「目覚ましい成果」を上げるものの、石炭火力発電や鉄鋼の分野では依然「軌道から外れた」状態。重工業中心の経済成長を支えるエネルギー消費は今も急速に伸びており、気候目標の達成を困難にしていると指摘した。
中国が目指す2030年までの排出量ピークアウトは達成が比較的容易とみられている。だが専門家は中国政府がエネルギー安全保障と経済安定確保の観点から石炭火力発電所、その他炭素集約型インフラを新設するに伴い、排出量がこの10年でさらに大幅に増加する恐れがあると懸念する。
CREAは、排出量のピークが高くなればその分、60年の炭素中立(カーボンニュートラル)達成が難しくなると指摘し、中国が目標の達成にとどまらず、それ以上に削減を図ることが「決定的に重要」と指摘した。
調査で回答した専門家の多くは、中国の排出量がまだピークに達していない可能性があるとみている。
CREAの主任アナリストはブリーフィングで「ピークが過ぎたというのは、非常に現実的な可能性だ」とし、電力需要の伸びが4%以上かそれ以下が重要な目安になるとの見方を示した。
グローバル・カーボン・プロジェクト(GCP)は今月発表した年次報告書で、22年の中国の排出量が0.9%減少するとの予想を示した。ただ、ゼロコロナ政策で経済活動が大きく制限されたことが要因だとしている。