[ワシントン 14日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)は13─14日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.50%ポイント引き上げ、4.25─4.50%とした。利上げ幅は過去4会合連続での0.75%から縮小した。決定は全会一致。誘導目標レンジは、2007年末以来の高水準となった。

FRBは失業率が悪化し、経済成長が失速するとの見通しも示した。

同時に発表された新たな金利見通しでは、23年のFF金利予想中央値が5.1%となり、少なくとも0.75%ポイントの追加利上げが実施されることを示唆。FF金利予想中央値は市場予想をわずかに上回った。

FOMC参加者19人のうち来年のFF金利が5%を下回ると見込んだのは2人のみ。当局者が依然として高インフレとの戦いに傾注する必要性を感じていることが示された。

声明で「委員会はインフレのリスクを非常に注視している」としたほか、「徐々にインフレ率を2%に戻すのに十分な制約的な金融政策姿勢を達成するために、目標誘導レンジの継続的な引き上げが適切になる」とし、11月FOMC時の声明文をほぼ踏襲した。

パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で、現時点では利上げのスピードはそれほど重要ではないとし、FRBがどこまで利上げを実施し、いつまで金利をその水準にとどめるかが重要になっていると述べた。

その上で、最近のインフレに関する良好な指標で物価上昇圧力のピークが示されたと判断する準備はできていないと指摘。「10月と11月のインフレデータで物価上昇ペースの低下が示されたが、インフレが持続的に低下していると確信するには一段の強い証拠が必要だ」と述べた。

また、政策当局者はインフレの後退はサービス部門で他の部門よりも時間がかかり、インフレを全体として抑制するために政策金利を引き上げる必要があるとの見方を示していると指摘。このため、目的達成に一段の利上げが必要になる可能性があるとの考えを示した。

「FRBの現時点での焦点はインフレ率を長期的に2%の目標に確実に戻すために政策スタンスを十分に制約的にすることだ」と述べ、利下げについて言及するのは時期尚早との見解を示した。

この日の米株市場は、下落して終了。米国債利回りはほぼ変わらず、ドルは主要通貨に対して下落した。

コーペイのチーフマーケットストラテジスト、カール・シャモッタ氏は「今回の声明と経済見通しを合わせると、単純だが説得力のあるストーリーが見えてくる。それはインフレ圧力が反転する持続的かつ決定的な証拠を確認するまでは、FRBはいかなる有意な方法でも方針を転換する用意はないというものだ」と述べた。

<最善の方法>

FRBはインフレとの戦いが続くと想定する中、経済がリセッション(景気後退)に近い状況に陥ると見込んだ。

インフレ率は来年末までなお3%を下回ることはなく、少なくとも25年末まではFRB目標の2%を上回って推移すると想定。失業率は今年の3.7%から4.6%に悪化すると予想した。これは歴史的にリセッションと関連付く水準を上回っている。

国内総生産(GDP)成長率は、来年は22年と同じ0.5%にとどまると予想。24年には1.6%、25年には1.8%と米経済の長期的な潜在成長力とされる水準で推移すると見込んだ。

パウエル議長は、FRBの措置は経済へのコストを伴うことになるとの認識を示し「物価の安定を取り戻すのに完全に痛みのない方法があれば良いが、それはない。われわれは最善の方法を取っている」と述べた。