[フランクフルト 15日 ロイター] – 欧州中央銀行(ECB)は15日の理事会で政策金利の0.50%ポイント引き上げを決定した。利上げは4会合連続。
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▽ECB、利上げ幅0.5%に減速 来年3月から資産圧縮<ロイター日本語版>2022年12月15日10:42 午後
理事会後のラガルド総裁の記者会見での発言は以下の通り。
<今後も利上げ継続>
われわれのターミナルレート(利上げの最終到達点)予想を考えると、これだけでは十分ではない。安定したペースでインフレとの戦いを続ける必要がある。現在の情報に基づけば、次回の理事会でさらに0.50%ポイント、おそらくその次の理事会でも、そしてそれ以降も利上げを行うことが予測される。
しかし、全てはデータの見直しによって決まるため、必ずしも1回あたり0.50%ポイントと決めつけないでほしい。あと何回利上げするかは分からないため、これを新常態と見なすべきではないが、現状ではこれが着実なペースでの正しいアプローチであると信じる。
<方針転換ではない>
ECBが方針を転換したと考える人は間違っている。われわれは転換したわけではなく、揺らいでいるのでもなく、インフレ抑制の道のりを行く決意と継続力を示している。
米連邦準備理事会(FRB)に比べ、ECBはより多くの地点をカバーし、より長い道のりを行く必要がある。その事実を反映するため、声明に非常に明確にメッセージを追加した。
これは転換ではなく、減速しているわけでもない。われわれは長期戦に突入しているのだ。
<中央銀行のバッファー>
歴史上や世界中の事例を見ると、中銀は赤字の状態でも運営可能で、中にはマイナス資本で運営している中銀もある。
私の理解では、現時点では多くの中銀が現在の危機を乗り切るために潤沢なバッファーを蓄積し、十分な引当金を積んでいる。しかし先述したように、それぞれの中銀で状況は異なる。これまでかなりの利益を生んできた場合には、ある意味でリバランスが行われていると言える。
<ECB理事会、インフレ抑制に焦点を当てた戦略で合意>
実際の戦術について全員が合意したわけではない。しかし、忍耐力を発揮し着実なペースで進むべきという意見には、非常に多くが賛同していると思う。戦略の面でも方向性の面でも、理事会側では完全に一致していたと断言できる。ある者はもう少しやりたいと思ったかもしれないし、ある者はもう少しやりたくないと思ったかもしれないが、最終的には今回の決定を巡っては非常に幅広く多数が支持した。
<市場期待>
(利上げを)もっとやる必要があり、その結果、新しい市場期待が将来のスタッフ予想に組み込まれ、2%のインフレ目標に適切な時期に到達できると示せることを期待する。
<0.50%ポイントの利上げ>
現時点のデータに基づけば、「安定したペースでの大幅な上昇」が意味するところは、一定期間0.50%ポイントのペースで金利を引き上げることと想定することはかなり明らかだ。
<金利を制限的な水準に保つ>
金利を制限的な水準に保てば、時間をかけて需要を減衰させることでインフレを抑制する。インフレ期待の持続的な上振れリスクからも守られる。
<インフレリスク>
主に上向きだ。短期的には、エネルギーと食料の小売り価格が予想以上に上昇する可能性がある。しかし中期的には、インフレ期待が目標を上回って持続的に上昇する、あるいは賃金上昇が予想を上回るなど、主に国内要因に起因するリスクが存在する。対照的に、エネルギーコストの低下や需要のさらなる鈍化は物価上昇圧力を抑制するだろう。
<長期的インフレ>
長期的なインフレ期待を示すほとんどの指標は現在2%前後で推移しているが、一部の指標で目標値をさらに上回る改定があったため、引き続き監視する必要がある。
<ユーロ安>
今年のユーロ安は、消費者物価にも反映され続けている。
<賃金の伸び拡大>
堅調な労働市場と高インフレに連動した賃金上昇を要因として、賃金の伸びは拡大している。
<ボトルネック、ペントアップ・デマンド(繰越需要)>
供給のボトルネックは徐々に緩和されつつあるが、特にモノの価格を押し上げ、依然としてインフレの一因となっている。パンデミック(世界的な大流行)に関連した規制解除も同様だ。弱まっているとはいえ、滞留していた需要による影響は特にサービス価格を押し上げている。
<高い基調インフレ率>
エネルギーと食品、アルコール、たばこを除くインフレ率は11月に5%と横ばいであり、他の基調インフレ指標も高水準にある。
<強い物価上昇圧力>
経済全体へのエネルギーコストの高騰の影響もあり、物価上昇圧力は全セクターで引き続き強い。
<成長に対する下振れリスク>
経済成長の見通しに対するリスクは特に短期的には下向きだ。インフレ見通しに対するリスクは主に上向きだ。
<インフレ悪化>
エネルギー価格高騰の影響から経済を守るための財政支援策は、一時的で的を絞ったもの、かつ省エネへのインセンティブを維持するよう調整されるべきだ。この原則を満たさない財政措置はインフレを悪化させる可能性が高く、より強力な金融政策対応が必要となる。
<失業率上昇>
賃金の上昇は失われていた購買力を回復させ、消費を支えるだろう。しかし経済が弱含むにつれ、雇用創出は減速し、失業率は今後数四半期にわたって上昇する可能性がある。
<消費減退>
高インフレと金融引き締めは、家計の実質所得を減少させるとともに企業のコストを押し上げ、支出と生産を減少させている。
<世界経済>
地政学的な不確実性が続く中で、世界経済も減速している。