▽FRB、バランスシート縮小終了まで「数年」=パウエル議長<ロイター日本語版>2023年2月8日6:01 午前
[7日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は7日、FRBの資産圧縮について、バランスシートの縮小の終了まで「数年かかる」との見方を示した。
パウエル議長はバランスシートの縮小をどこで止めるかについて「特定の目標は設定していない」としながらも、適切な水準に達するまでに「数年かかる」と述べた。また、資産圧縮に向けた債券の売却は「積極的な対応のリストに入っていない」と述べた。
▽〔情報BOX〕パウエル米FRB議長の発言要旨<ロイター日本語版>2023年2月8日3:21 午前
[7日 ロイター] – パウエルFRB議長は7日、ワシントン経済クラブでインタビューに応じた。発言の要旨は以下の通り。パウエルFRB議長は7日、ワシントン経済クラブでインタビューに応じた。2013年7月撮影(2023年 ロイター/Jonathan Ernst)
*先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)でのメッセージは、インフレ鈍化のプロセスは始まったが、まだ先が長いというものだ
*インフレ低下プロセスにはかなりの時間がかかる。
*プロセスには紆余曲折あり、さらなる利上げが必要となる可能性
*雇用統計は予想よりかなり強い
*強い雇用統計は、われわれが相当な期間を要すると考える理由を示している
*継続的な利上げが適切と予想、まだ十分に抑制的な水準には到達していない
*予想以上に強いデータが続けば、それに応じて追加利上げを実施する
*2%のインフレは世界の標準、FRBは変更を検討せず
*2023年はインフレが大幅に鈍化する年になる見通し
*インフレを2%に近づけるには来年までかかるだろう
*経済が堅調なため、労働市場も堅調
*雇用市場にダメージを与えずディスインフレが始まったのは良いこと
*新型コロナのパンデミック(世界的大流行)、米国の労働力供給に永続的な影響を残した。労働者不足は「構造的」と感じられる
*労働市場は現時点で最大雇用を超えていないとしても、少なくとも最大雇用の状態
*現在のインフレの大部分はパンデミックに伴う活動の停止と再開に関連
*バランスシート縮小の終わりに近づくまでに「数年」
*債務上限は財政当局の問題
*債務上限巡る議論、議会の上限引き上げによってのみ終わらせることが可能で、そうなる必要がある
*債務上限が引き上げられなかった場合、FRBがその影響から経済を守ることができると考えるべきでない
*FRB、長期的に2%のインフレ目標達成に向けた手段を有しているが、インフレは世界的なイベントに影響される
*忍耐強くある必要
*サービス部門の大部分でまだディスインフレは見られず、忍耐が必要
*住宅部門でディスインフレはまだ見られていないが、今年下半期に起きる可能性
*ディスインフレがいつ大規模なサービス部門に定着するか最も懸念、外部要因も懸念
*労働市場の状況に多少の軟化が見られると予想
*労働市場は堅調だが賃金の伸びは緩やか、今回のサイクルはこれまでと異なる可能性
*賃金上昇、持続可能な水準近くまで低下
*労働市場が軟化するとの見方は変わらない
*われわれはデータに反応する
*好調な労働市場や高インフレ示すデータが続けば、織り込み済み以上の利上げが必要になる可能性
*力強い雇用統計、インフレ対応に長い道のりが残っているとの先週のメッセージを強調
*インフレが痛みなしに直ちに解消することはない
*一段の利上げを行い、その後に十分かどうか見極める必要
▽FRB議長発言:識者はこうみる<ロイター日本語版>2023年2月8日6:21 午前
[7日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は7日、ワシントン経済クラブでインタビューに応じた。市場関係者の見方は以下の通り。パウエルFRB議長は7日、ワシントン経済クラブでインタビューに応じた。2022年1月撮影(2023年 ロイター/Joshua Roberts)
<B・ライリー・ウェルスのチーフ市場ストラテジスト、アート・ホーガン氏>
先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)後のパウエル議長の発言は非常にバランスが取れていた。ディスインフレが始まったが、FRBにはまだやるべきことがあるという内容で、今回の発言もそれを繰り返した。
(政策金利の到達点に関する)コンセンサス予想は3日の雇用統計発表後に既に変化していた。従来は4.75─5%だったが、これが5%から5.25%に切り上がった。また、年末の125ベーシスポイント(bp)の利下げ予想は排除された。つまり、パウエル氏のコメントは市場の期待とほぼ合致した。
<ウェドブッシュ証券の株式トレーディング担当マネジングディレクター、マイケル・ジェームズ氏>
パウエル議長はこのインタビューで先週の発言を撤回するようなことはしていない。これは本質的にインフレがピークに達し、データはディスインフレを示し続けるという期待を強気派が維持する好材料だ。
市場は今後2回の会合で少なくとも25bpの利上げを織り込んでいるが、より強気なバイアスを持つ向きはデータに基づいて、次回会合で25bp利上げを予想し、5月会合では利上げは実施されないとみている。これがきょうの市場で強気な展開が続いた要因だと解釈している。
<チェリーレーン・インベストメントのリック・メクラー氏>
パウエル議長の発言は、期待ほどハト派ではない。そうした発言を行うのは、市場を大きく動かしたFOMC後の会見に次いで今回が2回目だ。
パウエル氏は、自身の見解ではインフレが頂点に達しているという事実を繰り返し述べている。市場参加者が最も恐れていたのは、これだけ利上げしてもインフレ抑制に実質的な進展がないとFRBが見ていることだった。しかしパウエル氏は「効果はある」と述べている。これが、市場に戻るタイミングをうかがっていた人たちに多くの安心感を与えた。
ある程度正常化した金利水準の下で市場が上昇しない理由はない。パウエル氏は確かに、すぐに以前のような環境に戻るとは言っていない。しかしこの金利水準にとどまっていれば、経済が回復し、株価が上昇を続けるには十分なのかも知れない。
<TDアメリトレードのヘッドトレーディングストラテジスト、ショーン・クルーズ氏>
パウエル議長はインフレ低下が訪れると見ており、政策引き締めの面でタカ派的ではなくなるかもしれないことを改めて強調した。
すぐに利下げするわけではないが、道筋は良好で、達成すべきことが達成されると見込んでいる。
一部の予想よりも一段と上昇するという感じは消えつつあるため、市場の追い風になるだろう。
一方、ボラティリティーの上昇を警戒する必要がある。来週は消費者物価指数(CPI)の発表があり、ボラティリティーの原動力になるだろう。