[東京 20日 ロイター] – 日銀の雨宮正佳副総裁は20日、衆院予算委員会の第3分科会で、金融緩和からの出口戦略で難しいのは、金融調節上の技術的な対応より、賃金と物価の好循環が本当に始まったかどうかの判断と市場との対話だとの認識を示した。
階猛議員(立憲民主党・無所属)の質問に答えた。
雨宮副総裁は、当面は2%物価目標の達成に向けて「適切な政策運営を図っていくことが重要だ」と述べた。実際に賃金・物価の好循環が始まれば出口の議論になってくるが「オペレーションの技術はいろいろ対応のしようがある」と指摘。例として国債残高の処理の仕方について、買い戻し条件を付けないで売るということだけではなく、償還の活用や残存年限を短期化した上で現先取引で処理する手法などを挙げた。
その上で、出口戦略に当たっては金融調節の技術より、「本当に出口に至ったか、賃金・物価の好循環が始まったかどうかという判断と、市場とのコミュニケーションの2つが難しい重要な課題だ」と述べた。
雨宮副総裁は3月19日で任期満了となる。階議員から退任に当たっての所感を問われたが、「退任の所感を述べるのは時期尚早」と応じた。取り組むべき課題が多く残っているとして3月9日から開催する金融政策決定会合などを挙げたほか、「日々の金融市場調節は大変難しい局面が続いている」と語った。
(和田崇彦 編集:田中志保)