[東京 1日 ロイター] – 日銀が1日発表した「債券市場サーベイ」の2月調査によると、債券市場の機能度に対する市場参加者の見方を示す機能度判断DIはマイナス64となった。前回11月調査(マイナス51)から悪化し、調査を開始した2015年2月以降で最低を更新した。 3月1日 日銀が1日発表した「債券市場サーベイ」の2月調査によると、債券市場の機能度に対する市場参加者の見方を示す機能度判断DIはマイナス64となった。写真は日銀本店。1月17日、都内で撮影(2023年 ロイター/Issei Kato)
昨年12月、日銀は市場機能改善を狙って長期金利の変動幅を拡大したが、市場機能はさらに悪化したと市場では受け止められている。
機能度判断DIは機能度が「高い」と答えた割合から「低い」と答えた割合を差し引いた数字で、マイナスの数字が大きいほど市場機能が低下していると判断している市場参加者が多いことを意味する。調査期間は2月1─7日、日銀の国債売買オペ先や大手機関投資家など70社を対象に調査を行った。
機能度や流動性についての各論7項目の現状判断DIは前回から全て悪化した。全項目の悪化は22年8月調査以来。7項目のうち、ビッド・アスク・スプレッドのDIはマイナス57、意図した価格で取引できているかの判断DIはマイナス13でいずれも過去最低。金融機関からは、1月の金融政策決定会合の前後で金利に上昇圧力が掛かり、日銀が大量に国債を買い入れたことで一部の銘柄で需給が逼迫し、「取引の価格目線がそろわなかった」「意図した価格での取引ができなかった」との声が多く出ていたという。
日銀の担当者は、市場調節が市場機能に及ぼす影響、国内外の経済・物価情勢、市場参加者の取引スタンスの変化といった金融市場の状況について「さまざまな市場データや市場参加者へのヒアリングを通じて丁寧にフォローしていきたい」と述べた。
機能度判断DIのうち「3カ月前と比べた変化」はマイナス55で、16年2月調査以来の低水準。
<金利見通し、上方シフト>
金利見通しでは、長期金利(新発10年国債利回り)の先行き見通しの中央値が変動幅拡大を受けて上方にシフトした。22年度末で0.50%(前回は0.25%)、23年度末で0.75%(同0.30%)、24年度末で0.75%(同0.40%)。
超長期ゾーンも軒並み見通しが引き上げられた。20年債利回りでは、22年度末が1.30%(同1.10%)、23年度末が1.40%(同1.20%)、24年度末は1.40%(同1.25%)。30年債利回りでは、22年度末が1.55%(同1.50%)、23年度末は1.70%(同1.55%)、24年度末が1.70%(同1.60%)。
(和田崇彦)