ウクライナのゼレンスキー大統領=21日、広島市
ウクライナのゼレンスキー大統領=21日、広島市

ロシアの侵略を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は29日の声明で、「本日、軍司令部との会議を開き、われわれが前進するタイミングに関する報告を受けた。われわれはやる。決定は下された」と述べた。ウクライナ軍による本格的な反攻作戦の着手が近いことを示唆したかたち。ウクライナ側はこれまで、反攻の時期について「最終決定されていない」としていた。

ウクライナは従来、最前線の東部ドネツク州バフムトなどで露軍を損耗させつつ、欧米諸国から供与された兵器の戦力化を待って反攻を開始する構想を示してきた。バフムトは半年以上にわたる激戦の末に露軍側が制圧したものの、露軍も多大な損害を出したとされる。この間に、欧米製兵器の引き渡しや習熟が進み、ウクライナは反攻の好機だと判断した可能性がある。

一方、露西部ベルゴロド州のグラトコフ知事は29日、同州へのウクライナ軍の攻撃が続いているとし、「最良の解決策は(隣接するウクライナ東部)ハリコフ州をベルゴロド州に併合することだ」と述べた。タス通信が伝えた。ベルゴロド州では露軍拠点を標的としたウクライナ軍の長距離攻撃が続いてきたほか、今月にはロシア人義勇兵部隊による越境攻撃も起きた。

ただ、露軍は昨年9月、ウクライナ軍の反攻に遭い、ハリコフ州のほぼ全域から撤退。同州で再度前進する余力が露軍にあるかは疑問視されている。グラトコフ氏の発言について、ペスコフ露大統領報道官は「軍事作戦上の問題で、コメントしない」とした。

これに対し、ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は29日、「ロシアの再侵攻を防ぐために、戦後は露国内の国境地帯に幅100~120キロの非武装地帯が設置されるべきだ」などとツイッターで述べた。

一方、治安機関「ウクライナ保安局」(SBU)のマリュク長官は29日までに、ロシアの実効支配下にあるウクライナ南部クリミア半島と露本土を結ぶクリミア橋の爆発について、ウクライナ側の関与を事実上認めた。ウクライナメディアが伝えた。